その昔中国の仙人は霞を食し、空を飛び、踵で息をしたという。秦の始皇帝や漢の武帝はこの不老不死の仙人に憧れ、金丹、玉液といった仙薬をのみ不滅の肉体づくりに腐心したというが、仙人になるにはその他に辟穀といって穀物を食べず、呼吸法を行い、禽獣の姿を真似た導引体操で気を養うなど大変な努力が必要だったようだ。仙薬には霊芝と呼ばれる茸や松の葉なども数えられているが、面白いことに桃も仙薬の一つだったのだそうだ。桃は古来鬼を払うとされ、桃の種の中の核や花びらを食べて、病気の原因となる悪鬼を追い出そうとしたらしい。さて私は日曜になると仙人になる。仙人になって黄金色のピュアモルトを口に含み、底の気を深々と呼吸する。
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