夏の女性の浴衣姿は中々いいものだ。昔から「小股の切れ上がったいい女」といういい方があるけれど、一説によれば、あれは浴衣の裾からのぞいた素足の足首がほっそり締まって美しいということなのだそうである。そういえば、浴衣は、他の着物に比べて裾が短い。そもそも浴衣は湯帷子(ゆかたびら)といって、麻の単を湯上がりの体にまとうものだった。今でいうならバスローブ。木綿地を普段くつろぐ時にも着るようになったのは、江戸の町人かららしい。ただし当時は男でも夕涼みなどに限られていて、婦人が浴衣で外出することはなかったという。さて今宵も、糊の利いた浴衣に袖を通す。封を切ったばかりの山崎を氷に注ぐ。よくぞ日本に生まれけり。
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