庭先に出て、四股を踏んだ。かつては四股の美しさで大向うをうならせる力士が少なくなかったが、あれで中々難しいものだ。上げた脚は真っ直ぐ伸びないし、下ろすにも中々ずしんと力強くはいかない。それでも、暖かくなってきた春の土を裸足で踏むのは、実に何とも気持ちがいい。大地をしっかりと踏み締めると、気宇広大、地の気が身体に満ちる感じがあって凛としてくる。もともと相撲は、豊作を祈願する神占いであったから、昔からリングは土の上。野見宿禰と当麻蹶速が、四股を踏んだかどうかは知らぬが、きっと共に大地から大いなる力を得たことだろう。さて、ひと汗かいて身体に気が通ったら、グラスにもピュアな気を通わせてやろうかと思う。
|