深い森へ入ると、その静かさに心が落ちつく。この言い方、実は正確ではない。風にそよぐ木々や虫の声など耳を澄ますと聞こえてくる自然界の音には、人間の耳には聞こえない20キロヘルツ以上の音波まで豊かに含まれている。こうした超音波を含んだ音を聞くと、心地良さにつながる脳波、アルファ波が強まる。鉄筋コンクリートの建物の閉めきった部屋など、超音波を遮断した静かすぎる状態では、かえって人間は不安になるという。聞こえない音が人に心地良くする。それが自然の声なのかも知れない。森の中で十二年もの間、人には聞こえぬ子守歌に包まれて育った、ピュアモルトウイスキー。味わうごとに何とも言えぬ安らぎが広がってゆくのは、そのせいか。
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