昭和三年。ラジオの大相撲実況放送開始と同時に、仕切りに制限時間が設けられた。幕内十分、十両七分といった具合。立ち合いを円滑にするため、土俵の中央に仕切り線もひかれた。それまで仕切りは無制限で、延々と一時間近くも立たない力士さえいた。こうなると相手の呼吸がわかって、ますます立ちづらい。現在は幕内四分、十両三分と決められている。先場所から「待った」が認められなくなった。限られた時間の中で呼吸をあわせ、力を蓄えるのも、技のひとつになったということだろう。十二年間味を蓄え、香りを磨いたピュアモルトウイスキー。ひたむきな稽古を重ねてきた、芳醇な技はなかなか手強い。こちらも呼吸をあわせ、今宵は「待ったなし」。
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