十二単がちょっとしたブームを呼んでいると聞いた。「娘の一生の記念に」と、母親からの問い合わせも多いという。単のうえの袿を十二領重ねたところから十二単の名でよばれているが、正しくは「女房装束」、つまり中性のワーキング・ウーマンが、禁中のオフィスで着用したフォーマルスーツだった。形式の定められたものだから、季節ごとの色の選びかたや重ねかたに、個人のセンスが問われたのだろう。加えて、御前でのミーティングでは、当意即妙の会話術や歌づくりの才能が要求される、結構シビアな職場環境であったらしい。などと平安絵巻に思いをはせながら、こちらは、十二の年を重ねたピュアモルトの絵巻をひもとこうかな、と考えている。
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