草木染が流行っているそうである。どういうものか、昔から日本人は赤い色を好むといわれるが、草木染といえば、やっぱり紅花染のあの鮮やかな赤が目に浮かぶ。紅花の季節は丁度これからで、最上の紅畑ではもうすぐ朝摘みが始まることだろう。ところで紅花や藍など昔からの染めぐさは、大体が薬草なのだそうである。つまり衣類を染めるということは、それで身を守ることでもあったわけで、例えば紅花は肌を守る効果があるというし、藍は虫除けになり、だから田畑で働くときの野良着はみんな藍染めだった。昔の人の知恵というものはたいしたものだ。それはさておき、私の場合の草木染は、草木も眠る丑満時に、ひとりこっそり琥珀色に染まる楽しみ。
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