文章を書いていて、ふっとテンの位置に迷うことがある。句点はともかく、この読点には特にルールというものがないから困るのだ。源氏物語や枕草子に、もともとテンやマルはない。句点も読点も、初学者が漢文を読解するのに用いたものだそうだが、一般の文章に現われるのは明治になってからで、尾崎紅葉や二葉亭四迷らも、いろいろ新しい句読表示を試みたらしい。それにしても、新聞が完全に句読点をつけるようになったのは、戦後のことだと聞いてちょっと驚いた。さて、書くことなんかそっちのけで、こんな寄り道をしながらひと息入れるのが私の読点で、ついついテンが多くなってしまいがちなのだが、一日の締めくくりにはやっぱり琥珀色のマルが来る。
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