紅葉を肴に飲みたくなって、ちょっといたずらしてみた。砂糖水をもみじの葉に塗っておくのだ。するとその葉だけ一足お先に赤くなる。紅葉の秘密は、秋になると葉の柄の基に離層ができて、葉に養分が貯まり過ぎるからだと聞いた。だから糖分を多めに与えると赤くなるというわけだ。ところでもみじの名の由来は、揉み出すように色付くからとも、紅絹地(もみじ)という紅色の布の名からきたともいわれているが、もとは秋に木々の葉が色付くことをいい、タカオモミジやヤマモミジなど楓類をもみじと呼ぶようになったのは鎌倉以後のことらしい。さて秋の日の午後、グラスを傾けつつ私はまだもみじにならない。ピュアモルトは少しずつ味わいながら飲むものだから。
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