朝顔は、大言海にも「朝ノ容花ノ意」とある位で、朝に花が咲くから朝顔というのだ、と思っていたら、朝咲くのは夏のうちだけなのだそうである。秋になると夜のうちに開いてしまうらしい。つまり花に生体時計というものがあって、これが日没になると、10時間後に花開くようにセットされる仕組みなのだ。それで、夜の短い夏のうちはちょうどいい按配に朝咲くが、秋の夜長になると待ち切れず夜開いてしまう。もちろん人間にも生体時計はあって、それが証拠に、夕暮れになると決ってうまいウイスキーが飲みたくなる。ところでウイスキーも生きものだから、生体時計があるのである。こちらの方は年単位で、樽に眠って数年過ぎると、グラスの中に花開く。
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