HISTORY

シングルモルトの歴史HISTORY

シングルモルトの個性を理解するにあたり、
スコッチウイスキーの歴史を
把握しておくことは欠かせない。

ウイスキーづくりの始まりから現在の
シングルモルト人気に至るまでの
簡単な歴史を紹介する。

  • HISTORY 01ウイスキーづくりの始まりから
    密造の時代

    スコットランドでいつからウイスキーづくりが始まったかは、不明で歴史の闇の中にある。ただ、ウイスキーに関する最古の文献は1494年スコットランド王室の出納記録に残っており、15世紀にはすでに王が嗜んでいたと考えられている。

    当時は主に修道院で薬酒として造られていたが、豪族や農民たちもおそらく細々と自家用に少量を蒸溜していたといわれている。やがて余剰の大麦を手っ取り早く換金する為、農家などで盛んにウイスキーがつくられるようになる。

  • ウイスキーに対する課税が初めて行われたのは1644年。その後、1707年、内乱によりスコットランドがイングランドに併合されると、ウイスキーに対する課税はさらに厳しいものになり、イングランドへの反感と課税を嫌う人々は山奥へ逃れ、密造が増え始める。これが19世紀初頭、1820年代まで続くことになる。

    この密造の時代に、ピートによる麦芽乾燥が始まり、樽熟成の発見があったとされている。大麦麦芽を乾燥させるのに、近くに無尽蔵に埋もれているピートを燃料として代用、蒸溜したモルト原酒を入れて隠すのに、シェリー酒の空き樽を流用するようになった。密造の副産物として、近代ウイスキー製造が確立したことになる。

    密造酒時代が終幕したのは、1823年に酒税法改正によって税率が下げられたからで、これを受けて1824年以降、多くの政府公認の蒸溜所が誕生した。

  • HISTORY 02ブレンデッドウイスキーの誕生

    スコッチウイスキーの歴史において、密造時代と同じくらい重要なのがブレンデッドウイスキーの誕生だ。

    1831年、近代的な連続式蒸溜機が発明され、特にローランドの業者は積極的にこの機械を導入した。さらに原価の安いトウモロコシなどに原料を切り替え、工業生産品ともいえるグレーンウイスキーを誕生させたのだ。

  • しかし、このグレーンウイスキーは単体で飲むには風味に乏しかったため、個性的で風味豊かなモルトウイスキーを混ぜることが考えられるようになった。

    ブレンデッドウイスキーはそれまでのウイスキーのイメージを変えたのだ。穏やかなグレーンウイスキーが、個性の強いモルトウイスキーの性格を柔らかくし、洗練された口当たりの良い味と香りに生まれ変わった。

    ブレンデッド開発の意図のひとつに品質の均一化があった。これにより、均一の味わいを大量に生産できるようになり、スコットランドの地酒でしかなかったウイスキーを世界に広げる大きなきっかけとなった。

    1880年代からは、後世まで飲み続けられるブレンデッドの名品が続々と誕生していった。

  • HISTORY 03多様化する市場と
    シングルモルトの隆盛

    ブレンデッドウイスキーの構成原酒として、大きな役割を果たしてきたシングルモルトウイスキー。

    当時、モルト蒸溜所にとって製造する原酒の売り先はほとんどがブレンデッド業者であったため、各モルト蒸溜所はブレンデッドのキーとなる原酒として、ブレンド用にそれぞれが変わらぬ個性と品質で供給することを求められていた。

  • つまりこの環境の下、ブレンデッドウイスキーに不可欠なものとして、それぞれの蒸溜所がそれぞれの個性を保ち、多様な蒸溜所の多様なシングルモルトが存在することになったのだ。

    そんなブレンデッドウイスキー全盛のなか、1963年グレンフィディックが世界で初めてシングルモルトとして販売を開始。

    当時は、ブレンデッドウイスキー主流の時代に何故だ?と疑問視されたが、予想に反してこのシングルモルトは売れに売れた。そして、1980年代になると、続々とシングルモルトが市場に出回るようになる。

    シングルモルトの個性の違い・蒸溜所ごとに、はっきりとしたアロマやフレーバーが多くの人の心をとらえ、着実にその市場が拡大。現在の世界的なウイスキー人気の火付け役となり、世界中で消費が拡大している。

シングルモルトとはABOUT

シングルモルトとは