ウイスキーのできるまで

ウイスキーが製品として完成するまでには様々な工程があります。

ウイスキーの製造工程はモルトウイスキーとグレーンウイスキーの2つに分かれるがここではブレンデッドウイスキーの風味の決め手であるモルトウイスキーについて説明しよう!
モルトウイスキーの製造工程は大きく図のようなステップに分けられる。

原料

麦芽

製麦(麦芽)

原料の大麦には、モルトウイスキーづくりに適した性質をもつ二条大麦が使われる。
酵母は糖分をアルコールに変えることはできても、大麦のでんぷんをそのままアルコールに変えることはできない為、糖化という工程が必要になる。が、その前に糖化の役目を担う酵素を大麦自身の中につくらせる為、まず発芽した麦を乾燥させ、麦芽を作る。
水

水

ウイスキーづくりにとって水はウイスキーの品質を決める大きな要素のひとつ。ウイスキーにとって良い水とは、異味、異臭がなく、飲んでおいしい水であるとともに、発酵の工程で重要な役割を果たす酵母の生育に好ましい適度なミネラル分がバランス良く含まれることが大切である。したがってウイスキー蒸溜所の立地の選定にはその土地の水質の良さが求められる。

仕込み(糖化)

仕込み(糖化)

仕込み槽

製麦で作った麦芽を粉砕し、温水した仕込み水と呼ばれる水と混ぜてお粥状態に。ここで麦芽中の酵素が働き、でんぷんを糖分に変える。これをろ過して、発酵にむかう為の麦汁をつくる。

発酵

発酵

発酵

仕込みで作った麦汁をアルコール分約7%の発酵液に変える工程を発酵という。発酵中の麦汁に酵母を加えると、酵母は麦汁中の糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスに変え、ウイスキー特有の香味成分をつくる。酵母の種類や発酵条件によって香りなどに特長がでる。約60時間で発酵は終了、これでできた発酵液をもろみと呼び、この段階でのアルコール分は約7%。

蒸溜

ポットスチルポットスチル

蒸溜

発酵の終わったもろみを銅製のポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器にいれて二度蒸溜し(一回目を初溜、二回目を再溜と呼ぶ)アルコール濃度を65〜70%に高める。この生まれたばかりのウイスキーをニューポットと呼ぶ。
仕組みとしては、アルコールが約80度で沸騰する性質を利用し(沸点の違いを利用)、蒸気を発生させこれを冷却、液体化させ、アルコールや香気成分などの揮発成分だけをとり出すわけである。サントリーでは様々なタイプのモルト原酒をつくるため、蒸溜釜の形と大きさ、そして蒸溜方法・加熱方式を使い分けている。

熟成(貯蔵)

熟成(貯蔵)

貯蔵庫

蒸溜で出来たニューポットを樽の中で長期間じっくり寝かせる。これが貯蔵という工程。
そして3年、5年、10年。ウイスキーの琥珀色、奥深い味わいの秘密はこの貯蔵、樽熟成にある。
樽は樽材、内面の焼き方、大きさなどの違いによってさまざまな種類があり、樽材にはホワイトオーク、スパニッシュオーク、ミズナラ、樽の大きさではパンチョン、シェリー樽は約480L、ホッグスヘッドは約230L、バーレルは約180Lなどがある。これら多様な樽で ウイスキー原酒は長い眠りにつき、貯蔵環境(気温、湿度)によっても熟成の度合いが微妙に変化し、複雑な反応を見せ、多彩なウイスキー原酒が生まれるのである。
樽熟成のメカニズムはまだ解明されていない部分もあり、「時の技」と神秘的に語られ、そのロマンがより味わいを深める理由であるといえよう。樽で熟成されたモルトウイスキーは麦芽の種類、酵母の種類、蒸溜方法、樽の種類、貯蔵場所、貯蔵年数などさまざまに組み合わされ、掛け合わされ、多岐にわたる。製品化する時はこれらの中から数十種類のタイプに分け、樽からウイスキーを取り出していく。

ブレンド

ヴァッティング

モルト原酒

モルト原酒同士を混和することをヴァッティングと呼ぶ。山崎12年の場合、山崎蒸溜所で蒸溜され、すべて12年以上貯蔵された山崎モルト原酒だけでつくられている。ちなみに熟成年数表示は、使用されたモルト原酒の中での最低年数を示しており、ヴァッティングされるモルト源酒の平均熟成年数はもう少し高くなる。
モルトウイスキー
ブレンド

ブレンダー

ブレンデッドウイスキーの場合モルト原酒と麦以外の原料で作ったグレーン原酒をブレンドする。個性の強いモルト原酒と個性の穏やかなグレーン原酒が新たなハーモニーを生み、ブレンデッドウイスキーの香味が仕上がる。
ブレンデッドウイスキー