2019/04/16/TUE
無限に広がる『碧Ao』の魅力を味わう
ブレンダーとしてこだわり抜いた結晶『碧Ao』。世界5大ウイスキーそれぞれの魅力を愉しむヒントを福與本人に聞いた。
ウイスキーファンもビギナーも必見の味わい方とは。
語=
文=阿佐美良一
写真=井手康郎
世界5大ウイスキーを知る
きっかけとして
「コンセプトとしては、世界5大ウイスキーをブレンドして、それぞれの個性が愉しめるようにブレンドを考えました」。福與の言葉どおり、『碧Ao』を愉しみながら、その隣に世界5大ウイスキーの中から好みのものを選んで置き、一緒に味わうのもいいかもしれない。また、今回福與は『碧Ao』から各国の原酒を一つ一つ除いてテイスティングをするという試みにも挑んだという。その結果、『碧Ao』単体のテイスティングだけでは掴みきれない『碧Ao』における各国の原酒の役割も見えてきた。「コクとスモーキーさが際立つスコッチは味わいの深みに。素朴なアイリッシュは複雑な味わいに。バーボンは華やかな香りに。ピュアな軽やかさのカナディアンは柔らかな味わいに。そして独特のうまみを持つジャパニーズは味わいをまとめる役割に寄与することがわかりました」。各国のウイスキーの異なる味の違いや個性に触れる入口としても、『碧Ao』はとびきりの愉しみを提供してくれそうだ。
味わいの変化を愉しむ
『碧Ao』は、濃さ・温度・時間差ごとに味わいの見え方がかなり変わって感じられる今までにないウイスキーだと福與は自信をもって語る。「口に入れた瞬間は甘いけれど、後半になると少しスパイシーになって、余韻としてスモーキーさが残るなど変化に富んでいるのも特徴です」。また、シチュエーションや人によってもだいぶ印象が変わってくるとも予測している。「なかには甘いという人もいれば、スパイシーという人もいたり、素朴に感じる人もいれば、とても上品に感じる人もいたりするかも知れません」。人それぞれに捉えるポイントが違うので、真逆の印象を受けることがあるかもしれない。そんな『碧Ao』の変幻自在なところからも、ウイスキーとしての愉しみ方のポテンシャルの高さをうかがい知ることができる。
飲むたびに新たな
発見があるウイスキー
「私なら、まず大ぶりのグラスに『碧Ao』を注いでストレートを愉しんでみる、そこへ氷を一つ入れて味わい、氷が溶けてきたところへ少し水を足して、さらに変化を感じてみたいです」。飲み方としては徐々に氷や水で薄めていくのが段階的に味の変化を愉しむコツ。ただ、これが正解だと決めてかからず、色々な飲み方をためしてみて、味が変化すること自体を愉しんでほしい。「発売後は、いろいろな方にいろいろな『碧Ao』の魅力、我々自身が見つけられなかった魅力を発見していってほしい」と、福與は今後の展開に期待を寄せている。「そうした意見を取り入れながら、消費者の方々と一緒に『碧Ao』という新しいブランドを育てていきたい。まだまだ仕事は終わっていません」。最後に福與からみなさまへメッセージ。「ジムビームの華やかさと、アードモアのスモーキーと、山崎シェリー樽の味わいを探してみてください。この3つは比較的みつけやすいと思います」。この宿題を解く面白さも一緒に、ぜひ『碧Ao』の醍醐味を実感してみたい。
CHIEF BLENDER
1961年愛知県生まれ。名古屋大学農学部農芸化学科卒業。サントリースピリッツ株式会社 ブレンダー室長 チーフブレンダー。84 年サントリー株式会社入社。白州ディスティラリー(現在の白州蒸溜所)、ブレンダー室を経て、96年に渡英。ヘリオットワット大学(エジンバラ)駐在や、モリソンボウモア ディスティラーズ(グラスゴー)への出向勤務の後、02年帰国。03年に主席ブレンダー、09年にチーフブレンダーに就任。山崎の各種限定シリーズをはじめ、数多くのサントリーウイスキーを手掛ける。