領域も、規模もちがう、サントリーとスノーピーク。
この2つのブランドがどのようにして出会い、
一緒に新しいプロジェクトを始めることになったのか。
左/サントリー食品インターナショナル株式会社
執行役員 ジャパン事業本部 ブランド開発第一事業部長
沖中 直人
右/
株式会社スノーピーク
代表取締役社長
山井 太
「文明が進化すると人間性が低下する。
人間性回復の為に自分たちはキャンプを
やっている。」
最初の出会いは?
沖中 うちの会社で若手の勉強会っていうのを毎月やっていまして、その時に山井さんに来ていただいて、スノーピークさんの理念についてお話をお伺いしました。私が非常に衝撃を受けた山井さんの言葉が、「文明が進化すると人間性が低下する。人間性回復の為に自分たちはキャンプをやっている」と。おかげさまで天然水の売り上げは伸び続けていますが、その理由というのが、人間らしさが低下した都市に暮らすお客様に天然水が飲まれているのではないか。この腹落ち感を山井さんの言葉からいただきました。そして、これは同じゴールを目指しているんじゃないか、何か一緒にできないだろうかと思って、すぐに山井さんの燕三条のオフィスに伺いました。
山井
スノーピークも「人間性の回復」っていうのがテーマの会社ですけれども、天然水もすごくサントリーさんらしい、水源からちゃんと自然を守っているところを賛同できましたし、共有できる部分もすごいあるんじゃないかなって一番最初からそれは思いましたね。
個人的なサントリーさんとの出会いって、一人は開高健さんという我々アウトドアパーソンの憧れの人がサントリーさんのコピーライターだったという話なんですけど。
沖中 高度経済成長時代にあの「人間らしくやりたいナ」っていう素晴らしいコピーを書かれていて、あれから4、50年経っていても、結局みんなのインサイトに「人間らしくやりたいナ」みたいなところがやっぱりあるなと思いますね。
「自然をちゃんと守りながら保全しながら
そこで遊ばなきゃいけない」
人間性の回復について
沖中 都市に暮らすようになって、アスファルトの上しか歩かない、土の上を歩かない、それが当たり前になって、人間も自然の一部であるって感覚をどうしても忘れてしまうということが起きていると思います。
山井 キャンプというのは先進国の都市生活者の方々が意外にも主なユーザーさんなんですね。文明が行き過ぎて少し原始的な生活をして癒さないといけない。リアルな生活を自然な中で過ごすことによって人間性を回復するっていうのがキャンプの成立している条件だと思っています。
沖中 我々は清涼飲料の事業をやっていますが、何気ない日常で天然水があるとすごく心が軽くなるとか、リフレッシュできるとか、そういうカタチで貢献できるブランドだというふうに思っているんですね。スノーピークさんとは手段は違いますけれども、日常のデイリーな中で自分らしさ、人間性を回復していただくという中で天然水はこれからも貢献していきたいと思っていますし、商品のポートフォリオをもっと充実していきたいです。
山井 キャンパーっていうのは今日本の人口の6.5%とかだと。で、そういう人たちは週末キャンプに行って、人間性を回復されていると思うんですけれども、キャンプをやらない93.5%の方々はやはり何かで人間性を回復させる必要があるんだろうなと。それを日常の中でというのは、やはり飲料を飲んですごく精神的に開放される、というのがあると思います。サントリーさんと一緒にやれれば我々のミッションが非キャンパーにも展開できるんじゃないかなっというふうに思いますね。
「炭酸の破裂音がよく聞こえるように
特別にデザインされている。」
サントリー 南アルプススパークリングについて
沖中 このボトルの形状は、まだ3年目ぐらいのデザイン担当の女性のアイデアなんですよね。実は「山のむこう」っていうコピーも一番最初に彼女が持って来てくれまして。天然水ってやはり雪山と上には綺麗な青空があるので、炭酸を飲んだ時に、ぐっと飲んでですね、こう顎をあげて空をみてそこで人間性の回復っていう気分を感じていただきたい。それがその彼女からのボトルの提案だったんですね。
山井 シェイプとして今までなかった感じ。山はみんな大好きなんでデザイン的にはすごくいいですよね。
沖中 やはり世界に一つしかないものをつくろうということで、このボトルの形状に然り、ストーリーに然り、音まで含めて、炭酸水でよくここまで考えたなと。それはやはりスノーピークさんと組んだことによるシナジー効果だと思います。
山井 予想しなかったのが音だったんですよね。こうやってキャップを開けた時のあの音の素晴らしさっていうのは、本当に五感にくるというところまでちゃんとデザインされているんで。多分世界中で一番いい音がしますね。
今後の夢や想いは?
沖中 まずはこのスパークリングとかキャンプ場開発っていうところを成功させていくこと。その次はまた違うやり方でスノーピークさんと何か一緒にできるんじゃないのかなと。若い人たち、次の世代の人たちが私たちとは違うソリューションを考えていってほしいし、そうするともっともっと社会から必要とされるブランドであり企業になれるかなというのが夢ですね。
山井 「山のむこう」にはサントリーさんと我々スノーピークが、お互い開かれた会社だからこそ、2社で取り組みが出来てると思いますので、その開かれたっていうところをもっと他の会社にも広げていけたら非常に素敵なことだと思いますね。