データの可視化から全社がつながるきっかけに
東芝グループの一員として、モータや変圧器などの産業用コンポーネントの設計開発から製造、販売までを手がける東芝産業機器システム株式会社。「健康経営優良法人(ホワイト500)」に2023年から2年連続で認定された同社は、従業員の健康習慣のきっかけになればと2022年からサントリープラスを導入しています。1,000人規模の事業所での運用方法など、現場での活用方法やその効果についてお聞きしました。
取材日:2024年3月18日
生駒 久美子さん
東芝産業機器システム株式会社
総務部
総務・安全担当スペシャリスト
小山 惣司さん
東芝産業機器システム株式会社
総務部
総務・安全担当参事
データの見える化は、コミュニケーションの活性化につながった
― サントリープラスの導入のきっかけを教えてください。
生駒さん:
きっかけは、健康活動が継続できているかをデータで見たかったからです。
元々、健康に関するイベントを社内で企画していました。特に年に1度、1ヶ月間開催される「全社ウォーキングイベント」は社内でも人気がありました。その期間は「みんなで歩こう!」と盛り上がるのですが、継続にはつながりにくくて。イベント開催に向けた事務局の準備が大変なのも悩みでした。正直、開催期間中は気を抜けなかったです(笑)。また、外部サービスと連携しての開催だったため、費用もそれなりにかかることから、年1回の実施がやっとでした。
また、当時の社長から「従業員がどれだけ継続できているかを数字で示してほしい」と指示があったこともあり、歩数登録サイトを内製したのですが、3か月経つとほとんど登録してもらえなくなってしまいました。
そんな中、継続や行動をデータで見られるサービスを探しているときに出会ったのがサントリープラスです。デザインの可愛さに加え、手間なく低コストで開催できるチーム対抗の社内ウォーキングイベント「歩こうフェス」や日々の健康的な習慣づくりを促す機能も魅力的でした。
小山さん:
従業員の平均年齢が45歳以上ということもあり、肥満や高血圧など、数値が改善しにくい項目において年々健康診断の値が高くなっていました。またウォーキングは転倒災害の防止など、安全対策にもつながるため、健康習慣のきっかけになればなと。
― 今回は、川崎事業所へトライアル導入し、その結果を持って三重事業所に導入されましたよね。
生駒さん:
川崎事業所ではアプリダウンロード(DL)率50%を目標に、導入を進めました。このとき、三重事業所で働く保健師たちにも普及に協力してもらったんです。東芝産業機器システムは本社のある川崎事業所と三重事業所、全国23の支社・支店で約1,400人の従業員が働いており、そのうち約1,000人が工場のある三重事業所で勤務しています。
三重で成功すれば、全社にも広めやすくなると思い、早い段階から巻き込みました。ちなみに、最初に川崎事業所から導入を始めたのは、この事業所は本社でもあることから一定数の従業員が働いていて、かつ自販機も他の施設より設置がしやすかったからです。結果的に、さまざまな方の協力で川崎事業所のアプリDL率は50%を超え、三重事業所にもサントリープラスを横展開できました。
小山さん:
三重事業所での導入を進めるなかで特に話し合ったのは自販機の設置場所です。大規模な事業所であることに加え、敷地面積は名古屋ドーム6個分相当でした。皆が集まりやすい食堂に設置する意見などもありましたが、人によっては食堂を利用しないケースもあります。従業員の動線と仕事での動きを考慮し、さまざまな人の目に留まりやすく、かつ習慣化しやすそうな場所に6台の自販機を設置しました。
― サントリープラス導入により、どのような効果がありましたか。
生駒さん:
これまでに2つの事業所で、約600人以上がサントリープラスに登録しました。特に効果を感じたのは、コミュニケーションの活性化です。DLが上手にできない人を周囲がフォローしたり、健康に関する話題が会話のきっかけになっていたり。
「歩こうフェス」を開催したときには、各部署の朝礼で話題になりました。期間中には「階段で行こうよ!」と誘い合う声も。川崎と三重、拠点の離れた事業所間で合同イベントとして開催できたのも嬉しかったです。
健康に向けた取り組みのハードルが少しずつ下がってきているなとも感じています。例えば「歩こうフェス」の期間中は、グループ順位と合わせ、健康支援センターからウォーキングをするメリットなどの健康情報を定期的に発信しています。その際に、各事業所で働く保健師の紹介も入れました。すると、これらの記事を読んだ従業員の中から、少しずつ自身の健康課題について相談する人が出てきたんです。
また1日の歩数が分からないという人はこれまで全従業員の約60%でしたが、2022年度には約30%にまで半減しました。従業員の健康に対する意識は明らかに高まっています。
他にも、元々サントリープラスとは別にメタボ対策を従業員に促す施策を行っていました。メタボのチェックリストを作成し「ついつい食べすぎてしまう」「濃い味付けが好き」「歩くことがきらい」など14項目のチェック数に応じてメタボの危険度をセルフチェックできるシートを作ったんです。このチェック項目を作ったときに気づいたのが、14項目中のほとんどがサントリープラスの日常タスクで補える項目だったことです。例えば「ついつい食べすぎてしまう」をチェックした方には「腹八分目に抑える」という日常タスクをおすすめしたりと、メタボ対策にもサントリープラスが活用できることが新たな発見でした。
組織や事業所の垣根を越え、全社で取り組む意義
― 東芝産業機器システム社は「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」に認定されていますが、認定を取ろうと思ったきっかけはなんですか。
小山さん:
きっかけは、東芝健康保険組合から背中を押してもらったことでした。会社としては4〜5年前から挑戦してみたいと思っていたものの、どうにも及び腰だったんです。その健保担当者は東芝のグループ会社で健康経営優良法人の取得に関わっていた人でした。この担当者からアドバイスを受けるうちに、「頑張れば自分たちでも認定が取れるかもしれない」と思ったんです。
生駒さん:
この頃から、ウォーキング中の風景を集めた写真展を企画したり、オンライン体操イベントを配信したりと、少しずつ健康施策に取り組み始めました。コロナ禍中だったこともあり、社員の横のつながりをつくるきっかけにもなればという思いも強かったです。
健康経営優良法人の認定に向けて、女性の健康に関する取り組みをしたり、より健康情報にアクセスしやすくなればと「保健室」というページを開設したりもしました。
こうした活動を進めるなか、健康経営優良法人の認定においてサントリープラスが特に貢献したのは「健康に対する意識改善」です。アプリをDLすれば誰でも気軽に始められるというように、気軽にという点が大きかったと思います。従業員の中には、どうしても健康に向けた行動や習慣化に対し、苦手意識を持つ人は少なくありません。サントリープラスのおかげで、このような気持ちを抱く人が減り、健康活動への障壁は下がっていきました。
― 健康経営を進めるなかで大事にしていることを教えてください。
生駒さん:
仲間外れを出さないことです。 東芝産業機器システムに関わる全ての人を巻き込みたいという気持ちで健康経営に取り組んでいます。実際にサントリープラスの取り組みやこれまでのイベントは、派遣や出向の方、構内常駐企業の皆さん全てにお声がけをしています。
健康面という意味でも、全員が参加できるかどうかは必ず意識している点です。例えば先ほどご紹介したオンラインの体操イベントでは、座ったままでもできるような工夫をしました。怪我や不調を抱えていても、その人ができる範囲で取り組めるような配慮とその方法をいつも考えています。
小山さん:
アイデアが浮かぶと、「全社でできるのか?」というのをまず話し合います。この背景には、東芝産業機器システムは、製造、営業と、別々の事業を担う会社の合併によって誕生したというのがあります。イベントをする度に「全社」を合言葉にするのは、組織や事業所の垣根を越え、お互いの融合を促進したいからです。
― 東芝グループの方と健康経営やその施策について話す機会はありますか?
生駒さん:
グループ会社の総務部長が集まる東芝健康保険組合の事業主会議において、サントリープラスを始めとする、私たちの健康施策に関する取り組みを活動事例として報告する機会がありました。その内容が評価され、グループの取り組みとして健保連神奈川連合会でも報告されました。また、東芝グループの中で健康経営優良法人の取得企業や取得を目指し活動しているグループ会社の集まりがあり、定期的に情報交換等を行っています。
従業員の健康に「継続した取り組み」で今後もアプローチ
― 今後、サントリープラスをどのように活用していきたいですか?
生駒さん:
全国の拠点で健康活動が盛り上がるよう、「歩こうフェス」などを活用していきたいです。まだまだ全社の取り組みとはいえないため、サントリープラスをより広げられたらと思います。
正直に言うと、利用者が少しずつ減ってしまう可能性もあるのかなと最初のころは心配していました。しかし、それは私の杞憂でした。最近も周囲からサントリープラスのイベントの話を聞いたり、「登録したんだよ!」とすれ違ったときに話しかけられたりするんです。
アクティブユーザーが減少しないこと、加えて実際に利用している従業員の口コミやサービスの評判を聞いた人たちも後追いでアプリをDLすることで、社内利用者は今も増え続けています。特に三重事業所においては、多くの従業員が行き交う場所に自販機を設置できたこともあり、「せっかくだし、試してみよう」という人が多いように感じます。三重事業所の面々も、「まだまだ利用者は増やせる」という気持ちでサントリープラスの普及活動を進めていることから、この勢いに乗って全社に広めていきたいですね。
日頃からサントリープラスNavi(管理画面)を通し、アクティブユーザーがどれだけいるかを確認しています。健康活動の継続をデータで確認する以外にも、皆さんの興味のある項目を知るきっかけにしたり、コメントなどを施策の参考にしたり。こうした生の情報は、今後の健康施策にも活かしていきたいです。
― 引き続き健康経営に取り組まれていくにあたり、お2人の思いを教えてください。
生駒さん:
歩くことへの意識が生まれている一方で、睡眠、食事、高齢者の健康など、課題はまだまだ山盛りです。肥満や高血圧などの数値に反映されるには引き続き継続が必要だとも感じています。健康診断の数値に結果が現れるような施策を考え、継続的に取り組んでいきたいです。
小山さん:
2024年のGWには「歩こうフェス」の開催がすでに決定しています。これはサントリープラスを導入したことで、ウォーキングイベントを気軽に定期イベントとして開催できるようになったためです。準備やチーム分けの工数がほとんどかからないため、事務局メンバーも参加者として楽しめています。お正月やGWなど、休暇太りしやすい時期にイベントを設定することで、従業員の健康に対する意欲を落とさず、全社を巻き込んだイベントを引き続き開催していきたいです。
※数値は全て取材時点での情報です
サントリープラス開発チームより
サントリープラスでは、多くの従業員が自ら楽しみながら参加・継続してくれる健康経営をサポートしています。東芝産業機器システム様のように会社に関わる全ての人を対象にしたいという思いにも応えられるよう、全面的な伴走支援を行なっております。また、自販機の設置箇所についても気軽にご相談ください。全国どのエリアにおいても自販機の適正設置場所の調査を弊社にて無料で行なっております。