1400年ほど前、聖徳太子が日本で初めて制定した冠位十二階は、その冠や衣の色によって身分が一目でわかるようになっており、最も身分の高い人が身につけたのが紫だったそうです。以来、紫は高貴な色としてイメージが定着していったという説があります。
当時、布を紫に染めるには高価な紫草の根(紫根)が大量に必要で、特に濃い紫をつくるには大変な労力と時間がかかったこということもあったと言われています。
古代ヨーロッパでも、紫の衣服の着用を許されたのは皇帝や貴族だけだったと言われています。紀元前1600年頃の地中海沿岸には、アクキガイ科の貝にあるパープル腺から出る分泌液を使って紫に染める技術があったそうです。たった1グラムの紫の原料をとるために2000個もの貝を必要としたこともあって、古代ギリシャ・ローマ時代にはロイヤルパープル・帝王紫と呼ばれ、高貴な人だけが着る色となりました。