いわてフィルハーモニー
「いわてフィルハーモニー定期演奏会および感謝交流事業」(計2公演)
第1回定期演奏会
- 実施日時
- 2013年2月23日(土)18:30開演
- 実施場所
- 岩手県民会館大ホール
- プログラム
-
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕前奏曲
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64
<アンコール>
チャイコフスキー:雪娘
ショスタコーヴィチ:ギャロップ
- 出演
-
寺崎嚴(指揮)、近藤薫(ヴァイオリン)、大島亮(ヴィオラ)
いわてフィルハーモニー
「いわてフィルハーモニー」は震災後、被災地からの支援要請を受けて結成されたオーケストラです。これまでプロ楽団がなかった岩手県は、震災の約10年前より地元音楽家中心のオーケストラ公演が実施出来るよう準備を進めていましたが、東日本大震災が起こり止む無く中断。しかし、岩手県北部沿岸地域からの支援要請により「いわて文化支援ネットワーク」を通じた被災地支援を受け活動を再開。2011年6月、子どもたちのために音楽鑑賞会をおこないました。その後も様々な活動を実施し、岩手県の芸術分野の復興におけるリーダー的役割を担ってきました。そして、今回ついに第1回定期演奏会を開催。現在は団員30名。他県を含む学生のエキストラ奏者やソリストを迎え、すばらしい演奏で約800名の聴衆を魅了しました。公演の中で、指揮者であり代表の寺崎氏は「地元の人間が立ち上がる事が復興です。今日も共感してくれる奏者が全国各地から集まってくれました。被災した方々みんなが本当に音楽を楽しめる日はまだ先ですが、今は種まきで何年か先に花が咲き、実がなるまで活動を続け、頑張ります。」と強い決意表明。アンコールには、故ロストロポーヴィチ氏から以前にプレゼントされた楽譜「雪娘」を演奏。氏から学んだ"消えてしまうものを慈しむ心"が表現され、大きな感動に包まれました。
故ロストロポーヴィチ氏との深いつながりは、2002年と2005年に氏(チェロ・指揮)と小澤征爾氏(指揮)が、寺崎氏や今日のソリスト2名をはじめとする若手演奏家とともにコンサートキャラバンを実施したことによります。生のクラシック音楽に触れる機会の少ない北東北に理解と関心を高めるため、岩手県・秋田県2000Kmを一緒に走り、無料コンサートをおこなったそうです。2004年と2006年にも参加メンバーで、室内楽のミニキャラバンを北東北で実施し、その後もソロや室内楽で活動。震災以降は多くの復興支援コンサートに参加されているそうです。
また、定期公演の後、25日(月)と26日(火)は廃校になる岩手県大槌町の4つの小学校の校歌をCD化して後世に残すための録音を、27日(水)は花巻市の宮沢賢治記念館での演奏と金星少年少女オーケストラ指導をされたそうです。こうした様々な活動は感謝交流事業の一環で、今後も、岩手県の音楽団体として、常に感謝の意を全国・全世界に発信していかれるそうです。
ウィーン・フィル管弦楽団メンバーのダニエル・フロシャウアー氏(ヴァイオリン)とヤン・リシュカ氏(チェロ)指導によるリハーサル
- 実施日時
- 2013年7月17日(水)14:00~17:00
- 実施場所
- 岩手県民会館中ホール
- 実施日時
- 2013年7月17日(水)18:00~20:00
- 実施場所
- 岩手大学サークル棟2階音楽室
- プログラム
- ブラームス:交響曲第2番
2月の第1回定期演奏会の後、様々な交流活動や8月開催予定の第2回定期演奏会に向けて日々練習を重ねているいわてフィルの皆さんのところへ、今回ウィーン・フィルのメンバー2名が急遽、指導に訪れました。
まずは、岩手県民ホール中ホールで、ヴァイオリンのダニエル・フロシャウアー氏とチェロのヤン・リシュカ氏もメンバーの中に入って約20名のメンバーと一緒に演奏。その後はヴァイオリン&ヴィオラ、低弦の2つに別れてそれぞれの指導のもとセクション練習を1時間半行いました。それぞれ熱心で丁寧な指導の後、再度合同演奏が行われました。初めの合同演奏の音との違いに驚きました。
続いて場所を岩手大学サークル棟音楽室に移動して、約30名が参加し、同様に指導が行われました。熱気溢れる音楽室で約2時間行われ、最後に2人が感想を。リシュカ氏は、「あの震災の被害の映像を見て本当に驚きました。日本に友達もいるし、何かしたいと強く思いました。自分に出来るのは、やはり音楽。翌年の3月に故郷のチェコでチャリティコンサートを行い日本に寄附をしましたし、11月にはこの音楽復興基金のコンサート事業に参加し宮城県で演奏しました。いわてフィルの皆さんからは音楽への情熱が伝わってきます。一緒に演奏出来て楽しかったです。」と、昨年11月・今年の3月に続いて基金の活動に最多参加のフロシャウアー氏は、「ブラームスの2番は難しい曲ですが、今日の練習の成果がはっきりと感じられました。音楽は、どこでもひとつになれます。音楽の力で日本を元気にというこの基金のアイデアは本当に良い事だと思います。その活動に参加し、手助けすることが出来るのは本当に幸せです。皆さん、共に頑張りましょう。」と語りました。
終了後、代表で指揮者の寺崎氏に聞いたところ、「今日は本当に感謝しています。おふたりとも、非常に丁寧に指導してくださり、皆の気持ちを引き出してもらいました。指導の前と後での音は激変!いわてフィルの歴史に残る日となりました。」と熱く語ってくれました。本番は8月11日、岩手県民ホールです。さらに変化し、きっと素晴らしい公演になることでしょう。是非、皆さんも会場へ足をお運びください。
第2回定期演奏会
- 実施日時
- 2013年8月11日(日)14:00開演
- 実施場所
- 岩手県民会館大ホール
- プログラム
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ヴェルディ:歌劇『アイーダ』より 凱旋行進曲
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番*
ブラームス:交響曲第2番
<アンコール>
ドビュッシー:亜麻色の髪のおとめ*
グリーグ:過ぎた春
ヘンデル:王宮の花火の音楽
- 出演
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寺崎嚴(指揮)、佐藤彦大(ピアノ)*
吉田智晴、アンディ・マイルス、水間博明(WDRケルン放送管弦楽団木管奏者) いわてフィルハーモニー
7月にウィーン・フィルのメンバー2名が指導に訪れた「いわてフィルハーモニー」の第2回定期演奏会が、開催されました。開演前に、第1回ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞の受賞の賞状が、サントリー芸術財団専務理事の勝田哲司より、いわてフィルハーモニー代表の寺崎巌氏(写真向かって右)へ手渡されました。
いわてフィルは、岩手県在住演奏家を中心に結成されたオーケストラで、岩手出身のプロ奏者や在京オーケストラメンバーも客演として参加しています。今回は、県内外のアマチュア演奏家も交えフル編成での演奏です。さらに、ドイツのWDRケルン放送管弦楽団の木管トリオも参加、ソリストに岩手県出身のピアニスト佐藤彦大氏を迎え、充実した公演となりました。盛岡市近郊に避難されている招待者50名を含めた約800名の観客は、地元岩手県のオーケストラの演奏に感動と応援の惜しみない大きな拍手を送りました。
公演の終わりに指揮者の寺崎氏がご挨拶。まずは、多くの皆様のサポートに感謝を。本日参加のWDRケルン放送管弦楽団の指揮者は、偶然にも7月に指導してくださったウィーン・フィルのダニエル・フロシャウアーさんのお父様と知り驚きました。音楽が結びつけ、そしてそれを聴く皆さんとも繋がっています。震災後に生まれたいわてフィルですが、若い人が活躍し芸術で生きていける人が少しでも増えたらと願っています。それが本当の復興なのではと思い、これからも頑張ってまいります。一昨日の過去にない大雨で土砂崩れがなどの被害がありました。その影響で昨日の花火大会が今夜に延期されましたが、今夜は無事開催されそうです。私達も花火を打ち上げますと「王宮の花火の音楽」が演奏され、幕を閉じました。
演奏した皆さんと聴いた皆さんどちらにも、大きな力が湧いてくるのを感じられる本当に素晴らしい公演でした。