音楽による福島まち造り実行委員会
「ミュージック・フロム・ジャパン 2013年音楽祭・福島」
「子どものための雅楽教室−飯館村立小学校のために」
- 実施日時
- 2013年2月10日(日)10:00開演
- 実施場所
- 福島市音楽堂大ホール
- プログラム
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第1部「越天楽(えてんらく)」
雅楽についてのお話、雅楽の楽器の紹介、唱歌(しょうが)の体験
管弦「平調音取(ひょうぢょうのねとり)」、「越天楽」、各小学校の「校歌」
舞楽「納曽利急(なそりのきゅう)」
第2部
楽器の体験 (笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき))
芝 祐靖:ポン太と神鳴(かみな)りさま
- 出演
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伶楽舎
朗読=三浦礼美、笙=石川高、日比和子、篳篥=中村仁美、須崎時彦、龍笛=笹本武志、谷内信一、琵琶=中村華子、筝(そう)=野田美香、太鼓=本橋文、鞨鼓(かっこ)・お話=宮丸直子、鉦鼓(しょうこ)=田口和美
1975年に設立されたミュージック・フロム・ジャパンは、アメリカと福島で日本の音楽を紹介する活動を続けていますが、今年の福島公演は震災復興の願いを込めた特別な内容で開催しました。東日本大震災の原発事故により指定避難区域となった相馬郡飯館村の村民や子どもたちを励ますために委嘱した作品などによるコンサート。それに先立ち、隣の川俣町の仮校舎で学ぶ飯館村立草野(くさの)・飯樋(いいとい)・臼石(うすいし)小学校の児童約220名のために、雅楽教室が開かれました。
飯館村教育委員会の広瀬教育長の挨拶、伶楽舎による雅楽についてのお話に続き演奏を2曲聞いた後、各小学校の校歌が演奏されましたが、仮校舎で一緒に学ぶ児童達は自分の小学校以外の校歌も知っていて、うろ覚えながらも元気良く歌ってくれました。楽器の体験コーナーでは、笙・篳篥・龍笛・太鼓それぞれを5年生と6年生が2回に分けて約90名が、太鼓・鉦鼓は1〜4年生の中から12名が体験しました。最も音を出すのが難しい龍笛もしっかり音が出せるなど、皆、上手に出来ました。体験した感想を聞いたところ、「難しかったけど、楽しかった。」「もっと長くやりたかった。」などとても楽しんだ様子。小学校に訪れるイベントはあるそうですが、こんな大規模なイベントは初めてだったそうです。
基調講演「日本の再生と伝統文化の役割」
- 実施日時
- 2013年2月10日(日)13:00開演
- 実施場所
- 福島市音楽堂小ホール
- 講演者
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文化庁長官 近藤誠一
200名収容の小ホールにあふれんばかりに集まった聴衆は、なかなか聞く機会のない文化庁長官のお話を熱心に聞き、聞き漏らさないようにとメモを取る姿もありました。世界と比較した日本の暮らしの現状を幸福度・所得・教育・安全などのランキングで紹介、日本は年々心の豊かさ(=文化)への需要が高まっているが、国・民間ともに文化への援助が極めて不十分であることや文化芸術の力そして日本の伝統文化・思想の価値のすばらしさ。そして、今後何をすべきかを判りやすく熱く語っていただきました。
「コンサート」
- 実施日時
- 2013年2月10日(日)14:30開演
- 実施場所
- 福島市音楽堂大ホール
- プログラム
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①「悲歌」「Resurrection with You(君と復活)」
佐々木冬彦作曲 ハープ独奏
②飯館の四季・四句」
*日本初演 黛まどか作句 嶋津武仁作曲
③「ひとであるあかしとして」
*日本初演 若松丈太郎作詞 佐々木冬彦作曲
④「おやすみなさい」
*世界初演 長田弘作詞 湯浅譲二作曲
⑤「ときよめぐれ(までいのロンド)」
*日本初演 伊武トーマ作詞 山根明季子作曲
⑥「嬉遊楽—雅楽鑑賞入門—」(縮小版)
*増本伎共子(きくこ)作曲
⑦古典舞楽「納曽利破・急」
*ミュージック・フロム・ジャパン委嘱曲
- 出演
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①佐々木冬彦(ハープ)
②青山恵子(女声)、中村仁美(篳篥・大篳篥)、小林直央(打楽器)
③中村仁美(歌)、佐々木冬彦(箜篌 くご)、笹本武志(排簫 はいしょう)
④青山恵子(メゾ・ソプラノ)、中畑淳(ピアノ)
⑤童声合唱(飯館村立草野、飯樋、臼石小学校4〜6年生)
⑥伶楽舎:三浦礼美(笙)、中村仁美・本橋文(篳篥)、笹本武志(龍笛)、中村華子(琵琶)、野田美香(筝)、中村華子(琵琶)、野田美香(筝)
⑦伶楽舎:中村かほる(舞)、中村仁美・本橋文・須崎時彦(篳篥)、谷内信一・笹本武志・田口和美(龍笛)、宮丸直子(三の鼓)、中村華子(太鼓)、野田美香(鉦鼓)
ミュージック・フロム・ジャパン代表の三浦氏と飯館村の菅野村長の挨拶に続き、コンサートの開幕です。避難生活を送る飯館村の村民や子どもたちを励ますためにミュージック・フロム・ジャパンが昨年委嘱した3曲と新たに委嘱した作品と雅楽で構成されました。その中の1曲、子どもたちのために作曲された「ときよめぐれ(までいのロンド)」は、昨年ニューヨークで初演され、それを聴いた菅野村長の「是非、飯館村の子どもたちで歌い続けて欲しい」との強い思いの第一弾が実現しました。飯館村立草野、飯樋、臼石小学校4〜6年生の約110名による歌と踊りはコンサートのハイライトでした。約650名のお客様の前での初めてのステージ。生徒達は1月から練習を開始、歌は各学級で朝の活動等で毎日練習、踊り(4年生女子)は朝や放課後に毎日20分ほど練習したそうです。リズムを取りやすくするためタンバリンも加える工夫もされました。生徒達の感想は、「歌詞やメロディがじーんと心に伝わってくる曲」「歌っているうちに勇気がわいてくる曲」「緊張したけど上手に歌えて良かった。」「大勢の方々が、じっと見ていてくださって、とても嬉しかった。」「歌っているうちに村を思い出して懐かしくなった。」など、歌と踊りに感動しましたが、感想にも感動してしまいました。これから長く歌い継がれて欲しいですね。