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ITはあくまで手段、目指すはグループの成長。
ITを使って「ビジネス成果」に貢献する

グループ会社のITコンサルタント――彼は自分の仕事をそう呼ぶ。サントリーには、食品・酒類、外食、スポーツ、サービスなどさまざまなグループ会社がある。これまでサントリーが培ってきたITノウハウを提供することで、グループ会社の業務を支援し、「ビジネス成果」につなげていくことがミッションだと考えている。就活中はIT企業を目指していた。そんな彼が最終的にメーカーを選んだのは、自分たちがつくったモノを1人でも多くの人に買ってもらうという仕事に、IT企業にはない魅力を感じたから。2002年の入社以来、出向も含めて情報システム部門に所属。IP電話の導入や受注出荷システムの入れ替えなどいくつもの社内プロジェクトに携わり、09年からサントリービジネスエキスパートに異動となった。今は東京と大阪を往復しながら、グループ会社を回ってITの推進に取り組む日々を送っている。
あるグループ会社を訪れたとき、経営層の第一声にドキリとした。「これをするとどんないいことがありますのん?」。ITを導入するメリットは何なのか、専門技術者という立場から、IT知識の少ない人たちに、その意義や効果を説明することの難しさ、わかりやすく伝えることの大切さを改めて感じた。以来この視点を忘れずに、相手の立場になって、なるほどと腹に落ちるようなシンプルな言葉で伝える、そんな提案を心がけている。また、ようやくあるプロジェクトの受託にこぎつけたとき、担当者から「あなたが普段から頑張っているので御社に任せた」と声をかけられたこともある。とてもうれしかった。

グループ会社の要望に対応し、コストダウンを実現

最近では、彼がリーダーとなり、スポーツクラブを運営するティップネスのシステム基盤革新プロジェクトを手がけた。ティップネスのシステム担当者、関連会社、協力会社のメンバーからなる大きな案件だ。きっかけは、ティップネス側からの「システム構成を見直したいので相談に乗ってほしい」の一言。従来から使っているシステムを全店舗で切り替える、しかも年間のITコストは上げずに新しいことをやりたいという難しい条件つき。ティップネス側の担当者と何度も打ち合わせを重ね、システム環境だけでなく、体制や調達など情報システムに関する業務全体をヒアリング。現状抱えている課題を抽出した上で、メリットがすぐにでる短期的コストダウン活動プランと数年後の大幅なコストダウンを実現するための中期的コストダウン活動プランを組み立て、先方に提案した。
その後、すぐに短期的コストダウン活動がスタートした。短期的コストダウンは、サントリー本体が持っているデータセンターやネットワークを一部共有することによってコストダウンを図るという活動。工程の途中では、現場での切り替え作業で度重なるミスが発生し、一時はティップネス担当者から厳しい目を向けられたことも。冷や汗ものだった。データセンターのネットワークを切り替えるという大仕事を迎えたときは、協力会社との事前打ち合わせを繰り返し、完璧な体制で臨み、自ら現場でコントロールすることで無事作業を終えた。結果、ティップネス社にも満足してもらうことができ、今は中期的コストダウンに向けて活動が進んでいる。
実は、彼の中では海外も視野に入っている。サントリーの事業のグローバル化に合わせて、情報システム部門の活動も海外へ拡げようとしている。すでにIT支援活動がスタートできているのは上海のグループ拠点のみだが、現在、ニュージーランド、フランス、シンガポール、アメリカにあるグループ会社のIT担当者と情報交換の場を持つなど、急速に進展の兆しが見え始めている。グローバルでサントリーグループのビジネス成果をつくりだしていくというのが、これからの大きなミッションであり夢だ。

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