試験管から店頭に並ぶまで

さし木はこうして苗になる

  • わたしたちの仕事は、グローバル ブリーディング&リソースセンターでうみ出された新品種の苗をお客様の手にとっていただける形にすること。マーケティングを考えながら、ポット苗のサイズなどの仕立てを考えます。サントリーの苗は、シーズン前には販売日程が確定しています。確実に発売日に店頭に並べるためには、さし木からポット苗になるまでのスケジュール管理が欠かせません。
    サントリーの花は、すべて組織培養からスタートします。グローバル ブリーディング&リソースセンターで母株のおおもととなる培養苗を試験管から出したら、まずは温室の空気に慣れさせます。サフィニアなど春に植える苗であれば発売前年の7月、その小さな苗は母株の生産に携わっている生産者のもとへ渡されます。そこで母株の数を増やしたうえで、商品となるポット苗の生産者へ。
    成長している茎や枝の先端を切ると、新しく枝がたくさん出てきます。増やした枝をさし木して、さらに増やす。種類にもよりますが1株から、およそ20株に増やすことができます。これを1シーズンに3回、4回と繰り返すのです。この手順もマニュアル化して、全国数十軒の生産農家さんに伝えます。こうして生産された苗が、次の年の3月に園芸店やホームセンターに配送されるという流れです。

園芸を変えたくて、サントリーに転職

  • サントリーフラワーズの花のおもしろさは、新しい花の品種づくりから、苗の生産、宣伝、販売まですべてにこだわり、自社で運営しているところ。花という生きものの世界を、マーケティングの手法で切り開いているところだと思います。わたしは園芸業界に25年いますが、実はサントリーフラワーズに入社してまだ3年です。もともとは他の種苗会社で仕事をしていました。市場にも出入りし、可憐な花をあつかう業界とは思えないほど荒々しい世界も垣間見てきました。かけ出しのころ、生花市場でセリのサポートをしたこともあり、その時は見本出しでモタモタして、競りにかけられる花を買参人たちに見せるセリ子の先輩に蹴りとばされたこともあるんですよ。
    種苗会社は生産者にタネを卸します。生産者は育てた苗を市場へ。市場は小売店へ。小売店はお客様へ。園芸業界ではふつう、次の段階に商品を渡せばそれで基本的に完結です。生産農家さんも、自分がつくったものがどこでどうなっているか分からない。そこを一貫した形で行うことが園芸業界のさらなる発展につながるに違いないという思いをずっと持っていました。
    そんな中で、サントリーフラワーズという会社は、まさに一貫した仕組みで商売している会社でした。園芸業界を変えていくには、こんな会社がキーになるに違いない。転職を決意したのは、そんな想いからでした。

わたしの花語り【はながたり】…マックスマム※1

今は、この2016年春にデビューしたマックスマムに夢中です。古来日本人が愛してきたキクの花の流れをくんでいますから、和風の花が好きな方にも親しんでいただけるのではないでしょうか。手をかければかけるほど、目に見えて美しく、大きく咲いてくれるのがこの花の魅力のひとつ。たとえ世話をしすぎたとしても、受けとめてくれるだけの度量のある花です。どうぞ、好きなだけ可愛がってあげてください。

  • ※1・・・マックスマムスペシャルページはこちら
  • ■取材日:2015年11月16日

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