工業用水
製造業などの産業活動に使用される水を
工業用水といいます。
日本での水の総使用量の
約14.5パーセント(平成19年度)が
工業用水で、使用量(補給量)は
減少傾向にあり、
農業用水や生活用水に比べて
節水が進んでいます。
工業用水の特徴や、
節水の様子を調べてみましょう。
工業用水の使用量と
水としての特徴
1)工業用水の量
工業用水は製造業などの産業活動に供給される水のことで、要な用途は、(1)ボイラー用、(2)原料用、(3)製品処理用、(4)洗浄用、(5)冷却用、(6)温度調節用などです。
使用量には、一度使用した水を回収して再利用している水量が含まれており、使用量全体の中で、回収利用している水量が占める割合を回収率と呼んでいます。
工業用水の使用量は1965年から2000年までの間に約3倍に増加しましたが、回収利用が進んだため、新たに河川等から取水することが必要となる水量は1973年をピークに減ってきています。
1日に使われる量としては、平成18年度現在、従業員30人以上の事業所だけで、「使用水量」ベースで1億4260万立方メートル/日、回収再利用を踏まえ減損した水量を補う「補給水量」ベースで3010万立方メートル/日となっています。
2)工業用水はどこから?
工業用水の淡水補給水量の水源別の構成比は、平成18年現在、工業用水道が40.9パーセントと最大の水源となっており、次いでその他淡水(河川水、地表水及び伏流水)が27.3パーセント、地下水が25.2パーセント、上水道が6.6パーセントとなっています(平成18年工業統計表)。

工業用水のリサイクル
(回収利用)
回収率(工業用水使用水量に対する回収水量の割合)については、昭和48年の全業種平均62.0パーセントから、その後の水使用合理化等の進展により平成18年には78.9パーセントまで上昇しています。
最近ではピンチテクノロジーを利用した水の再使用が、工業用水をリサイクルするうえで最先端の方法のひとつとなっています。

ピンチテクノロジーとは、実測に基づいて「需要側(用水)」と「供給側(回収水)」の水質と量を示す2種類の線(コンポジットカーブという)を描き、それらをどんどん近づけて2種類の線の幅を狭くし(つまむ)、再使用可能な回収水量を把握・解析し、用水利用の最適化を図る手法です。これは、例えば家庭でのお風呂の残り湯を洗濯に再利用するように、製造工程ごとに排水の水質を調べた上で、求められる水質レベルに応じた工程で再利用する手法です。
参考文献
- 国土交通省>土地・水資源局>水資源部(http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/index.html)
- 国際環境 NGO FoE Japan>貿易と環境プログラム>「バーチャル・ウォーター」って何?(http://www.foejapan.org/trade/doc/040917.html)
- 東京大学生産技術研究所 沖・鼎研究室 「世界の水危機、日本の水問題」(http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/)
- 経済産業省>政策>地域経済産業「工業用水」(http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/kougyouyousui/index.html)
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