SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2013年11月27日

#356 阪本 圭輔 『やり切るだけ』

まだトップリーグには出場していませんが、サテライトの試合などでグングン頭角を現してきた阪本圭輔選手。他の新人選手の活躍にも刺激されて、キックの精度を始めとして、プレーの質が向上し続けています。「いよいよ登場か?」と思わせる阪本選手にインタビューをしました。

◆まだまだ力不足

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—— 11月9日に行われたサテライトのリコー戦にフル出場。出来はどうでしたか?

晃征さん(小野)やトゥシさん(ピシ)がいない中で、たくさんプレー出来る機会だったので、試合にフォーカスして臨みました。フル出場することが出来て、成長したと感じる部分はありましたが、まだまだ力不足を感じる部分がありました。

僕は練習で出来たことしか試合では出せないと思っています。ですので、試合自体が久しぶりだったんですが、練習で積み重ねてきた事をどれだけ試合で出せるかという部分で、試合をすることを楽しみにしていました。

—— 成長した部分はどこですか?

ずっと監督やヒューイ(ピーター・ヒューワット/アシスタントコーチ)から言われているんですが、ボールのもらい方やシェイプのオーガナイズの部分を、11月に入ってからは特に意識的にやってきて、練習で上手くいったことを試合でも発揮することが出来たと思います。

具体的には、ボールのもらい方でいえば、ゲインしている状況で、自分の立ち位置が深過ぎたりしていたので、浅い位置でもらうようにしたりしました。あとは周りとリンクしてボールをもらうことを意識してプレーして、まだまだと思う時もありましたが、何回かは上手くもらえたと思います。

あとシェイプのオーガナイズの部分では、前半の最初のところで、自陣からボールをもらって、しっかりと前を向いてパスをして、仲宗根さんが抜け出したプレーがあったんですが、そういった部分で、まずはキャッチをして、前を見て判断することが出来ました。

以前までは、キャッチだけに意識がいってしまったり、前を見ていてキャッチを疎かになってしまったりしていたので、そこが改善出来て良かったと思います。

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—— 上手くいかなかったところはどこですか?

ゲームコントロールの部分で、まだ周りの選手のサポートがなければやっていけない気がしています。ヒューイからは、「しっかりとコントロールするように」と言われていて、ゲームコントロールも含めて、スピードコントロールを意識するようにしていました。まだ自分のコントロールばかりになってしまっているので、スタンドオフとしてゲームをコントロールするという意味では、まだまだ足りない部分があると感じています。

—— ヒューワットコーチからはどのような方法で指導を受けているんですか?

最近は、練習が終わった後に毎回呼んでくれて、その日の練習の映像を一緒に見ながらチェックして、改善出来るところは改善して、次の練習に繋げています。あと今まではボールキャリーの回数が凄く少なかったので、「スタンドオフでもゲインラインを切っていけるように」と言われています。リコー戦でも後半に相手のディフェンスが有利な時に、自分からボールキャリーが出来ていなかった時があり、味方に任せっぱなしになってしまうことがありました。試合を読んで、自分でゲインラインを切りに行くとか、そういうところの判断力はまだ足りないですね。

—— 気にしなければいけないことがたくさんありますね

最初の頃は全部やらなきゃと思っていて、頭の中で整理出来ずに練習していたんですが、最近はやるべきことを1つや2つくらいに絞って、その日の練習でのターゲットをはっきりさせて練習するようにしています。

そういうターゲットを絞ることは、周りの方からのアドバイスもありましたし、ヒューイと面談をしていくうちに、大事なことはシンプルな事ばかりだと気づきました。ボールのもらい方や立ち位置、スピードコントロールを意識するために、そのキーワードを手に書いて、練習中に出来ているかどうかを確認しながらやるようになりました。

大学と比べて全然違うと感じたことは、毎回の練習が撮影されていて、それをフィードバック出来ることです。それがあるから、次の練習への準備にもなっていて、準備することが重要だと思います。

◆左利き

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—— リコー戦ではキック7本がすべて成功していましたね

大学までは試合でゴールキックを蹴ったことはなかったんです。10月11日に行われたサテライトのNTTコミュニケーションズ戦で、初めてゴールキックを蹴り、今回が2回目でした。晃征さんが「コンバージョンキックを練習したら?」と言ってくれて、ヒューイにお願いをして練習していました。

NTTコミュニケーション戦では、5本蹴ったうち3本決まりました。最初のキックはタッチライン近くだったんですが、それが決まって、後半残りわずかで同点に追いつきキックが決まれば逆転という場面で、1本目と同じような場所からだったんですが、そこでは決めることが出来ませんでした。

今までは周りに良いキッカーがいたこともありますし、苦手意識を持っていたので、ゴールキックを蹴ることを避けていたんですよ。自分の引き出しを増やす意味でもチャレンジして、ヒューイなどから教えてもらっています。練習では全然入らないんですけどね(笑)。

—— キックをする場所で、得意、不得意はありますか?

僕の場合は、今は真ん中の位置から蹴ることが怖いですね。端からだとチャレンジしてみようという気持ちになるんですが、真ん中からだと、外したらマズイと思ってしまうんです。

—— 1ヶ月の間で、キックの成功率が上がっていますが、ゴールキックのコツは掴みましたか?

前よりはキックのヒットポイントも分かってきて、ヒューイにも教えてもらって改善してきたので、その結果が今回の試合で出せたんだと思います。自信にはなりましたが、コーチが良いんだと思います(笑)。

—— 阪本選手は左利きですが、プレーする上で長所になる時は?

右利きの選手が多い中で、左利きの選手がチームに1人でもいたら、右足では蹴りにくい場所で、代わりに左足で蹴ることが出来ると思います。パスについては、あまり左右は関係ないですね。

—— キックでの課題はありましたか?

リコー戦ではミスはなかったんですが、もっと精度を上げたいですね。あとはメンタルの部分です。

—— 緊張するタイプですか?

キックについては、まだ経験が浅いので緊張します。あと最初の頃は試合の前に緊張していましたが、最近は準備という部分で、1週間かけてこれをターゲットにしてきたから、試合ではこれをするという流れが出来て、試合ではサントリーのラグビーをすればいいと思い試合に臨んでいるので、緊張することは減ってきていると思います。ただ僕はまだトップリーグでの出場がないので、トップリーグでの試合になったら、どうなるか分からないですけどね。

◆サントリーの10番は楽しい

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—— 同期の選手がトップリーグの試合に出ていますね

メンバー発表の時には、毎回刺激を受けていて、自分も頑張らなければという気持ちで練習に臨んでいます。試合で同期が活躍しているところを見ると、凄く嬉しいですし、自分もこの舞台に立たなければいけないという気持ちになります。

—— 何歳から10番でプレーしているんですか?

小学校の時からずっと10番ですね。あとは12番もやったことがあります。リコー戦でも後半の途中から12番をやらせてもらいました。

—— 10番と12番ではどちらが楽しいですか?

サントリーの10番は本当に楽しいですね。

—— 10番でいちばん大切なことは何だと思いますか?

チームを勝たせることがいちばん大事だと思います。その中に、スキルやコントロールなどが含まれてくると思います。

—— 今シーズンの目標は?

トップリーグに出場することです。まずはメンバーに選ばれるように頑張って、出場してチームの信頼を得ていき、出場機会を増やしていきたいと思っています。

—— トップリーグに出場するための課題は何だと思いますか?

経験というよりも、準備の部分で自分が出来ることをしっかりすることと、ミスを恐れないで積極的にプレーすることだと思います。練習でも迷ってしまうことがあり、周りから「迷うな」と言われています。迷うということは、準備が足りないということだと思うので、そういうことを無くしていくことが課題です。

—— 試合中に発言をする方ですか?

今はサントリーのラグビーが確立されているので、出来なかった時には自分の中で考えたりしますが、昔は自分の考えを周りの選手に伝えることが多かったと思います。

—— 落ち着いているように見えますが、自分ではどう思いますか?

最近はサントリーのラグビーの理解度も高まってきて、“やり切るだけ”という意識でやっているので、試合中に慌てたりすることは少なくなっていると思います。

—— 前回のインタビューで話してくれた幼なじみの茂野選手(NEC)もまだトップリーグでの出場はないんですか?

まだ出てないですね。どちらが先にトップリーグデビューするかが楽しみです。

—— ファンに向けて、アピールポイントはどこですか?

周りを活かすプレーと、自分でゲインラインを切っていけるような、前に仕掛けるプレーを見て欲しいです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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