2013年10月 9日
#349 竹下 祥平 『“こいつがいなきゃ”という選手になる』
社会人2年目で初キャップを獲得した竹下祥平選手。初出場、初先発して開始15分に同点に追いつく初トライを決め、公式戦デビューをフル出場1トライで飾りました。シーズン序盤でのトップリーグ初登場を果たして、さらに期待が高まる竹下選手に話を聞きました。
◆いつも通りで試合に臨めた
—— 今シーズンの第4節の九州電力戦で初キャップ初スタメンを獲得しました!
思ったほど緊張はしなくて、いつも通りの感覚で試合に臨めました。普段からあまり緊張するタイプではなく、大学の頃には先輩である日和佐さんから、試合前に「あまり緊張するな」と言われていましたが、当時からあまり緊張するタイプではなかったので、緊張しているような顔をしていたのかもしれません(笑)。
—— 緊張する時はどんな時ですか?
人前で話をする時は緊張します。試合後にメンバーの前でひとこと話をする時にも緊張します。
—— 九州電力戦では、前半15分で初トライもしましたね
トライに関しては、チームのみんながボールを繋いでくれて、最後に晃征さん(小野)から良いパスが来たので、僕個人の力ではなくチーム全体でのトライだったと思います。トライを獲られた後だったので、トライを獲りたいという気持ちはありましたが、チームのみんなのお陰で、結果として僕がトライをしただけです。
試合が終わってから、初トライを獲れて良かったと感じましたが、試合中にはあまり嬉しさは感じませんでした。初出場の方が嬉しかったですね。
—— フル出場を果たしたことについては?
試合中にあまり良い動きが出来ていなかったので、試合が終わった後もまだまだ走る体力はありました。自信を持っている運動量が発揮出来ていなかったので、心残りはあります。
—— ディフェンスに関してはどうでしたか?
僕個人としては、相手の九州電力さんはキックを多く使う戦術だったので、それに対応するために後ろに下がってしまい、上がる時に遅くなってゲインを切られてしまうことがありました。試合中にその部分を修正出来なかったので、そこが課題だと思います。
—— アタックに関しては?
前の週のキヤノンとの練習試合ではワークレートを意識してプレー出来ていたんですが、今回は思ったようにボールキャリーも出来なくて、まだまだ力が足りていない部分があると感じた試合でした。キヤノンとの練習試合では、第3節のNEC戦で負けた後の試合だったので、チームとして絶対に勝ちたい試合でした。
◆更に体を大きく
—— 調子は上がっていますか?
上がっていると思います。
—— サントリーに入った当初はフルバックで、今年の春シーズンのインタビューではウイングで戦っていくと話していました。九州電力戦ではフルバックでの出場でしたね
試合に出られるのであればどこのポジションでも出たいという気持ちです。試合に出たいという気持ちが一番なので、ポジションにはこだわりません。春のインタビューでは「自信の無さが顔に出ている」という話をしましたが、徐々に改善は出来ていると思います(笑)。
—— 初キャップを獲得し、早く2キャップ目もというところでしょうか?
今の時点では、次も試合に出られるとは考えていません。1回1回の練習で力を100%出して、その練習で直弥さん(大久保監督)やコーチ陣が判断されると思うので、まずは一生懸命練習するだけだと思っています。
—— 2キャップ目を獲得するためには、どこを改善するべきだと思いますか?
次の試合に向けては、周りにあるスペースをもっと見つけられるようにならないといけないと思います。今は、周りのみんなに引っ張ってもらっていると感じているので、自分でスペースを見つけて入っていけるようにならないといけないと思います。
一歩目を考えてしまうので、動き出しが遅くなっていると思います。周りを見て動いていることがあるので、自分から動いて周りに合わせてもらうようなプレーが出来るようにならなければいけないと思っています。そこを発揮出来るようにならなければ、自分の持ち味も発揮出来ないと思います。
—— 2年目の第4節での初キャップは、サントリーに入った時に考えていたイメージの通りですか?
入った頃に考えていたスケジュールよりは遅いですね。1年目から出場したいという思いで練習をしていましたが、1年目の時は調子を崩してしまうことがあり出場出来ませんでした。今年は1年目よりも体が大きくなっていますし、フィジカル面が成長した結果が、初キャップにも繋がったと思います。
—— 体はこれからも大きくしていくんですか?
ファイナルラグビーを目指すのであれば、更に体を大きくしていかなければいけないと思います。トップリーグでは体が大きい選手が多いので、そういう選手に負けないフィジカルが必要だと思っています。
体を大きくするだけでは走れなくなってしまいます。今の体重になってから、体が重く感じることがありました。いまは徐々にフィットしてきているので、一気に体を大きくするのではなく、徐々に大きくしていけば、スピードを落とさずににフィットしていけると思っています。
◆ボールを持っている時のランニングを見て欲しい
—— トップリーグの試合に出場してみて、新たに感じたラグビーの面白さはありましたか?
自分のプレーに一杯一杯でしたが、ラグビー自体を面白いと思ってプレーしているので、どこがと言われると難しいですね。
—— 初キャップを獲得して、いちばん喜んでくれたのは誰ですか?
やっぱり両親だと思います。福岡から家族で試合を見に来てくれました。大学は法政大学だったので、家族はあまり試合を見に来ることが出来ず、久しぶりに試合を見てもらえたと思います。試合後はバタバタしていたので、あまりゆっくり話せませんでしたが、「良かったね」とは言われました。
—— 春のインタビューで、「小野澤選手から色々と教わり、人が手を出せないところを走りたい」と言っていましたが、そういうプレーに近づくことは出来ていますか?
まだまだ力不足です。最近、小野澤さんがやっているクリーンというトレーニングをやり始めて、小野澤さんから「クリーンが出来ると、走っていていつでもステップが切れるようになる」と言われました。いまはトップスピードで走ると、その勢いに負けてステップが切れないんですが、クリーンをやることでどの体勢でもステップが切れるようになると思うので、力を入れて取り組んでいます。
—— 多くの課題があると思いますが、重点的に取り組んでいる部分は何ですか?
僕の中ではフィジカルです。ウエイトトレーニングに取り組めば、クリーンにも繋がり、結果としてスピードトレーニングにも繋がっていくので、重点を置いてトレーニングをしています。
—— 初キャップを経験して、自信にはなりましたか?
確実に一歩は踏み出せていると思います。試合に出ると出ないとでは、天と地の差があると思うので、トップリーグの試合を経験出来たことは良かったと思います。ただ課題は多くあるので、1つ1つ改善していき、メンバーに定着できるようにしていかないといけないと思います。
—— 昨シーズンの終了後にニュージーランドへ留学をしましたが、そのことはプラスになっていますか?
ニュージーランドではフィジカルが強い選手が多くて、そういう選手と一緒に練習出来たことはプラスになりました。ニュージーランドに行く前からフィジカルが課題だと思っていましたが、ニュージーランドに行ったことで、更に上を目指さなければいけないと思うようになりました。
—— 改めて、今シーズンの目標は?
最初は今シーズンの目標がトップリーグに出場することでしたが、その目標が叶った以上は、このまま試合に出続けることを目標にしたいと思います。そして優勝する瞬間にグラウンドに立っていたいですね。「その目標を達成する自信はあります」と言いたいところですが、正直いまの力ではまだまだ足りないと思うので、周りの選手の良い部分を吸収して、試合に出られるようにチャレンジしたいと思います。
初キャップを獲得したことで、1つステップアップしたと思うので、ここからは“こいつがいなきゃ”という選手になれるように頑張りたいと思います。
—— ファンの人たちにはどういうところを見て欲しいですか?
初キャップの試合ではあまり発揮出来ませんでしたが、僕の持ち味はワークレートとボールキャリーの部分なので、これからはもっともっと積極的にボールに触って、ボールを持っている時のランニングを見て欲しいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]