2013年2月 6日
#315 村田 大志 『良い判断が出来るフィジカルなプレーヤーになっていきたい』
サンゴリアス初キャップ以降、試合メンバーに定着してキャップを重ねる村田大志選手。伸び盛り2年目の大型バックスに、今シーズン後半2度目のインタビューを行いました。
◆成長していると感じます
—— 初キャップ以降、順調に試合に出続けていますが、初キャップ以前と今とでは、何か変わったところはありますか?
今まで練習試合やサテライトでの経験しかなかった中で、今シーズンは中盤から終盤の大事な試合にも出させていただき、プレーオフの試合にも出させていただきました。プレッシャーとは違いますが、大事な試合に出させていただいたことで経験が出来、成長していると感じます。
—— 試合に出る上で気をつけていることは?
自分の中では、第12節のヤマハ戦の出来があまり良くありませんでした。あの試合は、「ミスをしないように」という気持ちで試合に臨んでしまい、積極性という部分がかなり欠けていたと思います。その経験から、あまり考え過ぎないで、「出来ることをしっかりやる」という意識で試合に臨んでいます。
試合に出させていただいていて、ミスをすることでメンバーに入れなくなってしまうという考えが出始めていたのがヤマハ戦でした。その結果、自分のパフォーマンスも下がってしまったので、消極的な考え方は良くないと感じました。
—— それは誰かに指摘されて気づいたんですか?
試合が終わってから、自分で悪かった原因を探した時に、試合に臨む意識が良くなかったと気づきました。
—— ヤマハ戦と次の神戸戦では違いましたか?
神戸戦ではリザーブで、最後の10分間くらいしか出場していません。ディフェンスの多い時間帯でしたが、その中でも良い意識で試合に入ることが出来、自分の出来ることをしっかりとやれたと思います。
自分の出来ることというのは、ディフェンスでしっかりとタックルすることや他の選手とコミュニケーションを取るということです。それをしっかりと意識して、試合に入ることが出来ました。
—— 練習試合やサテライトとトップリーグの試合では、どこに違いを感じますか?
どちらの試合にも出てみて、自分らしいプレーが出来るのは、練習試合やサテライトだと思います。それはトップリーグの試合よりもプレッシャーが少ないからであって、プレッシャーが大きい中でも自分らしいプレーが出来る選手が、今までサントリーで試合に出続けてきた選手たちだと思います。今、試合に出なければ経験出来ない部分を経験出来ているというのは、苦しいと感じることもありますが、凄く楽しさがあります。
大学の時もプレッシャーを感じる試合はありましたが、大学よりもレベルが高いということもありますし、相手チームの選手個々の能力も高いので、大学よりも更にプレッシャーを感じる部分が大きいです。
◆やることは変わりありません
—— 初めてプレーオフの舞台に立ってみて、リーグ戦とは違いましたか?
負けたら終わりという緊張感は多少ありましたが、そこまで深く考えずに試合に臨めました。それに監督やコーチからも、「ファイナルラグビーということを深く考えずに、いつも通りやれ」と言われていたので、自分としてはやることはリーグ戦と変わりはありませんでした。
プレーに関しては、もっとこうすべきだったというポイントがたくさんありましたが、試合に勝つことが一番大事だったので、自分がグラウンドにいて勝つことが出来たということが良かったと思います。
—— こうすべきこととは、具体的にどういうところですか?
チャンスのところでパスとゴーの選択を間違えたり、大事な時間帯でボールを落としてしまいました。そういうミスがこれからの試合では負けに繋がってしまうと思うので、そういうところで集中力を欠かないようにしなければいけないと感じました。
試合中は、ミスをした後は切り替えるしかないので、あまり深く考えていませんでしたが、試合が終わった後にビデオで自分のプレーを見返してみて、もっとこうすべきだったというポイントがたくさんあると感じました。
◆自分にプレッシャーをかける
—— 初キャップ後のインタビューでは緊張したと言っていましたが、自分では緊張する方だと思いますか?
どうなんでしょうね(笑)。多少は緊張した方が良いと思います。僕は緊張しないと集中力を欠くタイプだと思うので、ちょっとずつ自分にプレッシャーをかけるようにしています。
—— 試合中はどういうことを考えてプレーしていますか?
サントリーの選手は、ポジションによっていろんなことを考えながらプレーしていると思いますし、本来のポジションであるセンターとウイングでは違いもありますが、今はウイングでの出場が多いので、外側から声をかけることが多くなっています。アタックをどう考えるかというよりも、チャンスの時にしっかりと声を出して内側の選手に伝達するのが役割なので、チャンスを逃さないのが大事と考えてプレーしています。
—— 14番での出場については、どう考えていますか?
今は試合に出ることが何よりも大事なので、試合に出られるチャンスがあれば、ポジションは気になりません。
—— 14番だと、もっとトライを取りたいと感じたりしますか?
ヤスさん(長友)があまりトライを取るタイプではなかったので、そこはあまり気にしていません(笑)。その伝統を引き継いでいると思います。
—— プレーと判断のスピードについては、何か変わりましたか?
ウイングで出場していて、走って前に出る力は必要だと思っているので、スピードは継続して大事にしています。
—— 長い距離を速く走ることと、短い距離を瞬間的にスピードを上げて走るのでは、どちらが得意ですか?
もともとそこまで足が速いわけではありませんが、ラグビーに大事なのは一瞬のスピードだと思うので、そういうプレーを意識しています。
◆練習通りにやること
—— ウイングとしての自分の強みはどこだと思いますか?
13番をやっていたので、ディフェンスでインサイドセンターやスタンドオフとコミュニケーションが取れるところが強みだと思います。あとアタックではボールキープだと思います。
—— 今の課題は何ですか?
これまで同様に、プレーと判断のスピードです。あとは試合中、プレーに波のない選手になりたいと思います。
—— プレーに波のない選手になるためには?
練習通りにやることが一番だと思います。試合だからといって、チームとしても個人としても、特別なことをやる必要はないので、いつも通りのプレーをすることを常に考えています。まだ出来ている時もあれば、出来ていない時もあるので、改善していければ、もっともっと安定したプレーヤーになれると思います。
—— 試合に出ることが、自分のペースになってきていますか?
毎試合メンバーに入ることも必死ですし、試合に出てしっかりとしたプレーをすることにも必死なので、今はまだペースやサイクルを考えるよりも、毎日毎日を一生懸命やることだけを考えています。
◆ディフェンスをしている姿
—— 大変なことがたくさんあると思いますが、やっていて良かったと感じることは何ですか?
メンバーに選ばれていなかった時も、メンバーと一緒に練習をしてチームのために頑張っているという意識はありましたが、グラウンドに立って勝った瞬間に喜べるということは、試合のメンバーに選ばれなければ味わえないことなので、その瞬間を味わえるというのは、充実していると感じますし、嬉しい瞬間です。
—— 残り試合が少なくなりましたが(2013年1月21日時点)、これからの目標は?
目標は2冠です。昨シーズンの日本選手権決勝が終わった瞬間からのチームの目標が2年連続の2冠であるので、その目標に関してはこれまでブレていませんし、その2冠獲得に貢献出来る立場にいるというのは嬉しいことなので、出来ればグラウンドに立って喜びたいと思います。
—— 昨シーズンの2冠の瞬間はスタンドから観戦していたんですか?
昨シーズンはほぼ毎試合、試合前のベンチ周りの準備をしていて、試合が始まったら観客席で試合を見るということが多くて、昨シーズンは2冠獲得の瞬間も観客席から見ていました。今シーズンは、もしかしたらグランドで2冠の瞬間を味わえる立場にいて、それは今シーズン頑張った成果で、それを自信にして、2冠を取る瞬間まで一生懸命頑張りたいと思います。
—— 更に先の目標はありますか?
今、試合には出られていますが、スターティングメンバーかと聞かれると、まだまだそこまでの自信はありません。今シーズンはチャンスをいただき試合に出ていますが、来シーズンも試合に出られる保証はないので、もっともっとチームに必要とされるプレーヤーになることが目標です。
サントリーはアタッキングチームで、良い判断をするプレーヤーが必要とされていると思います。僕も良い判断が出来るプレーヤーになっていきたいと思いますし、もっともっとフィジカルなプレーヤーになっていきたいと思います。
—— 背番号は関係ありませんか?
今は背番号を選んでいる余裕はありませんが、いずれは13番を着たいと思っています。
—— キャップ数は数えなくなりましたか?
いや、プレーオフのセミファイナル前にキャップ数を数えちゃいました(笑)。
—— ファンに自分のどういうプレーを見て欲しいですか?
もちろんボールを持った時のプレーを見て欲しいですが、僕の売りはディフェンスなので、ディフェンスをしている姿を見ていただきたいと思います。具体的に言うと、タックルですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]