2012年11月21日
#305 村田 大志 サンゴリアス初キャップ 『毎日を普通に過ごしていたのでは追いつけない』
今シーズン前半節最後の試合の後半にトップリーグデビューを果たした村田大志選手。2年目半ばの初キャップからどこまでキャップを伸ばすか?本人の自覚と意気込みが伝わってくるインタビューとなりました。
◆少しずつ出場時間を伸ばしていければ
—— 第8節の福岡サニックス戦での初キャップ。どうでしたか?
自分の予定では、昨シーズンにキャップを取りたかったという思いはありましたが、怪我などがあり、なかなかチャンスをモノに出来ませんでしたし、今シーズンの初めに手術を行い、他の選手よりも出遅れてしまった部分がありました。なかなか上手くいかない時間が長かった分、初キャップは嬉しかったです。
—— 後半24分からの出場でしたが、出番を迎える時はどんな気持ちでしたか?
もっとリラックスして試合に入っていけるかと思っていましたが、トップリーグというプレッシャーもありましたし、サテライトとはまた違うプレッシャーの中での試合だったので、緊張しました。
その試合でのファーストタッチは、相手選手がディフェンスの裏にキックしたボールを処理した時で、その後にボールを持って走っていたら、ヘスケス(カーン)にぶん投げられました(笑)。その後に何回かタックルしたと思います。ディフェンスに関しては、問題なくいつも通りに出来たと思います。
アタックでは、そのヘスケスにぶん投げられた時に、ボールを落としてしまったのでマズいと思いましたが、その後はスタンドオフの晃征さん(小野)とコミュニケーションを取りながら、いつもよりは堅いプレーを選択しながらやったつもりです。
—— 出場時間が短くて、やり足りないという気持ちにはなりませんでしたか?
もっとプレーしたかったんですが、初めての試合だったので、これから少しずつ出場時間を伸ばしていければと思っています。
—— シーズン初めの頃にインタビューした時には、アタックの時にボールを触る回数を増やしたいと言っていましたが、シーズン中盤になり、そこの課題はクリア出来ていますか?
あれからいくつかサテライトや練習試合もあり、その中で意識してボールを触ったり、内側や外側の選手とコミュニケーションを取ってやってきたことが、多少評価されてサニックス戦のメンバーに選んでもらえたと思うので、まだまだ足りない部分はありますが、改善はしてきていると思います。
◆経験とスピード
—— ウインドウマンスで取り組んでいる課題は何ですか?
プレーに関しての課題はいくつかありますが、今の自分に一番必要なことは経験だと思います。特にウインドウマンス中はジャパンのメンバーがいないですし、強いチームと試合をすることで経験を積むことが出来るチャンスだと思うので、11月は楽しみです。
プレーに関しては、スピードを意識しなければいけないと思っています。ボールを持っている時にしても、ボールを持っていない時の動きにしても、スピードチェンジなどは必要になってくると思います。スピードと言っても、プレーのスピードだけではなく、判断のスピードも大事です。
—— そこが社会人と大学との差ですか?
大学の時は、そこまで考えてラグビーをしていなかったですね(笑)。大学時代は、毎試合一生懸命やることだけで精一杯でしたが、今は自分には何が足りないのかということを意識しながらやっているつもりではいるので、成長はしていると思います。
サントリーのラグビーはやること自体はシンプルで、その中で自分には何が足りないかを考えている人間と、考えていない人間では、かなりの差がつくのかなと思います。特にサントリーで試合に出ている選手は、ずっと試合に出ている選手で、毎日を普通に過ごしていたのでは、その選手たちには追いつけないと思うので、しっかりと考えてラグビーに取り組まなければいけないと思います。
—— 毎朝、早くから練習をしているんですか?
バックスはそこまで多くはないんですが、フォワードの若手選手は週に何回も朝早くから練習をしています。
—— 2キャップ目の目途は立っていますか?
ウインドウマンス明けのNTTドコモ戦は、ジャパン選手のコンディション等も考えて、多少メンバーに変更があると思います。同じポジションの浩二さん(平)はずっとチームにいるので何とも言えませんが、13番じゃなくてもチャンスはあると思いますし、NTTドコモ戦で2キャップ目を取るということを目標にやっています。
—— 村田選手のスケジュールの中では、1年遅れているという感覚がありますか?
遅れているというよりは、昨シーズンからすごく試合に出たくて、その中で試合に出ていないという焦りもありましたし、実力が足りていないということも分かっていたので、気持ちの面で波があったと思います。今はもうやるしかないと思っています。
◆キャップを数えているうちは、まだまだ
—— 11月からまた府中に戻ってきましたが、新しいクラブハウスはどうですか?
やっぱり府中のクラブハウスは良いですね。よみうりランドのクラブハウスではシャワーしかなくて、なかなか疲れが取れなかったので、お風呂に入れるのは良いです。その分、11月の練習はハードです(笑)。府中に戻ってきて今までよりも良いリカバリーが出来るようになったので、良いトレーニングサイクルになると思います。
—— 新しくなったクラブハウスのどこが気に入っていますか?
やっぱりお風呂ですね。1人で入れるお風呂が出来て、そこでジャグジーやアイスバスも出来るので、長時間お風呂に入ってしまいます(笑)。
—— 今、不安に思っていることはありますか?
一番は怪我です。怪我をしてグラウンドを離れてしまうと、今まで積み上げてきたものが、少なからず無くなってしまうと思うので、常にグラウンドに立ってチャンスを掴みにいかなければいけないと思います。
—— 怪我には強い方ですか?
肩以外は大きな怪我をしたことがありません。
—— 楽しみにしていることは何ですか?
まだ1キャップですが、これからキャップ数が増えていくことは嬉しいことだと思います。けれど、直弥さん(大久保監督)から「キャップを数えているうちは、まだまだだ」って言われたので、早くキャップを数えなくなる域にいきたいと思います(笑)。
今、クラブハウスには引退された方で100キャップを超えた選手の写真が飾ってありますが、あそこまでの選手になると、自分でキャップを数えずに、気がついたらあれだけのキャップ数になっていたと思うので、その域にいきたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]