SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
「チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」動画企画 -Our Stories- 第一弾 ブラインドサッカー・平林太一選手に密着。 若きエースのブラインドサッカーにかける思いとは
「サントリー チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」は、地域におけるチャレンジド・スポーツ(パラスポーツ)の普及拡大を目的として、各都道府県、政令指定都市の障がい者スポーツ協会から推薦を受けたチャレンジド・スポーツの未来を担う若手アスリートと各協会・競技団体等に対して給付するものです。
今回は第1期に採択された1人、ブラインドサッカー選手の平林太一さんを取材しました。
4歳から全盲になりながらも、苦難を乗り越え、日の丸を背負うまでの選手になった平林太一選手。しかし、普段は、普通科の高校に通っている高校生。日常の高校生活を送っている彼の姿を追いつつ、ブラインドサッカーにかける思いを聞きました。
動画には収まりきらなかった、平林選手へのインタビューを一部、記事として紹介します。
Q.他の競技ではなく、なぜブラインドサッカーなのですか?
シンプルにやっていて楽しいのが1番の理由になると思います。盲学校時代の部活では、フロアバレーやサウンドテーブルテニス、ゴールボールもやっていて、一応大体の競技はかじってきたと思います。その中で、ブラインドサッカーにしか無いものが、「自由に走り回れる」というところだと思っています。視覚障がい者のスポーツでは、走り回ったりコンタクトが多かったりするものはあまりないんですよね。けれど、ブラインドサッカーは、20×40mのピッチの中で自由に動けます。そのスリルや豪快さがすごく好きで、ハマったのかなと思います。
Q.ブラインドサッカーと学業を両立していて、大変だったことはありますか?
時間が無いことですかね。ブラインドサッカーの合宿やオンライントレーニングが多く入っているので、部活と勉強をする時間があまりないです。遠征に行っている間も毎回課題をこなしていますが、授業はどんどん進んでいくので、そこは1番しんどいところかなと思います。
また、ブラジルへ海外遠征に行った時、移動だけで1日以上かかったり、気候や食べ物が日本と違ったりするのでコンディションを調整することが大変でした。しかし、高校生があまりできないような良い経験をさせてもらっているので、ありがたいことだなと思っています。
大変なこともありますが、高校でお世話になっている先生や友人がブラインドサッカーを見てくれることがとても嬉しいです。遠征や大会のとき、配信がある場合はクラスラインに流したりしているのですが、結構見てくれる人がいます。それがきっかけでブラインドサッカーの認知が少しでも広まっているかなと思うと嬉しく感じます。
Q.普段の学校生活では、何をしている時が1番楽しいですか?
やっぱり部活ですね。軽音部のメンバーと一緒にいたり、音楽の練習をしたりする時間がすごく好きです。バンドのメンバーからは「声量についていけない」と言われていて、自分でも声がデカすぎるなと思っています。ライブでは割と強みかもしれないですが、カラオケで歌うときにはもうちょっと優しく歌いたいのになーと感じています。
あとは、アーティストのライブにもよく行きます。特に、優里さんが好きで、5.6回ほど行ったことがあります。優里さんの歌声を聴くと熱くなれるので、スイッチを入れたい時にいつも聴いています。試合前はもちろんですが、普段の平日の朝もよく流します。優里さんにはもうめっちゃ会いたくて...。ちょっとすごすぎるけれど、優里さんに曲を作ってもらうことが夢です。
Q.平林選手の座右の銘を教えてください。
「太く、短く」というのを持っています。なんでも濃い人生がいいなと思っているからです。そのために、たとえ無謀なことだとしても、挑戦することが好きです。「なんでもやる」というチャレンジ精神もそこから生まれていると思います。
この座右の銘は、プロ野球の選手の言葉がきっかけです。彼が引退するときに、自分のプロ野球人生を振り返って伝えた言葉でした。その選手は32歳で早くに引退をされていて、キャリアとしては短かったのですが、すごく記憶に残るようなプレーヤーでした。それで自分も、彼が言っていたように「太く、短く」が良いなと感じました。
Q.一番目標にしていることはなんですか?
まずは、パリでメダルを取ることです。今まで代表として6回ほど大会に行ったのですが、この前のアジア大会の試合が本当に悔しくて、ここまで悔しかったことは無いなぁというぐらいの感じでした。ここで折れたらやっぱりダメだと思うので、パリでメダルを取るということをチームとして目標にしています。
パリでメダルを取るような活躍をすることで、ブラインドサッカーの人気が広がっていくと思います。そういう機会を自分でつくっていきたいです。また、いろいろな方のサポートを受けているので、目標を達成しなければならない責任のようなものも感じています。
自分はやっぱり得点を取るというところで貢献して行きたいですが、それ以外でも貢献できるところはたくさんあるので、自分がちゃんとチームの役に立てるバリエーションを増やしてメダルを取りに行きたいです。