自分の原点と向きあい10年目の転身、「天然水の森」活動の最前線へ
自分の原点と向きあい10年目の転身、「天然水の森」活動の最前線へ

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自分の原点と向きあい10年目の転身、「天然水の森」活動の最前線へ

23.07.20

全国22ヵ所、総面積は1万2,000haにも及ぶ「サントリー天然水の森」。サントリーでは20年も前から良質な地下水を育む「天然水の森」活動を続けていますが、この4月、その最前線に新たなメンバーが加わりました。10年従事した酒販営業から一転、自らの意思で異動を決意したサントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進部 爲ケ谷(ためがや)優さん。今年協定を結んだばかりの「天然水の森 とうきょう檜原」で行われた植樹活動のレポートとともに、着任1ヵ月にしてその運営に奔走した爲ケ谷さんの挑戦する姿を紹介します。

地元にも観光客にも愛される森に

東京・八王子駅からバスで1時間ほど。「天然水の森 とうきょう檜原」は、サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野やサントリープロダクツ(株)多摩川工場の上流に位置する自然豊かな場所です。

「天然水の森でふかふかの土壌を育て、サントリーの生命線である地下水の涵養量をしっかり増やすことが、一番大きな目的です」

そう話してくれたのは、今回の植樹活動の運営を担当するサントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部 天然水の森グループの爲ケ谷優(ためがやゆう)さん。取材直前の4月に赴任したばかりで、全国の天然水の森に足を運ぶなか気づいたことがあると言います。

「同じ天然水の森と言っても、場所が違えばまったく別物なんだなということです。地域ごとに、植物の種類も違えば課題も違います。その場所に行って、何が課題なのかをまず調べることから入るのが重要だと聞いていましたが、その通りだと実感しました」

「天然水の森」は地域と協定を結んで行う活動なので、「その地域にとって良くなること」が大前提。まずは現地の課題を探り、その土地にあった取り組みをすることを重視しています。

今回、植樹を行う「天然水の森 とうきょう檜原」の斜面は、住宅への日当たりを確保するために人工林を伐採した場所。木を切ったことで日当たりは向上したものの、地面が剥き出しのままでは土砂崩れの危険性もあります。「天然水の森」活動の大きな目的である地下水を育む土壌づくりだけでなく、日当たりの確保と防災という地域課題の解決も目指します。

1.1ha、斜度約40度の急斜面に全体で1,250本の落葉樹を植樹する計画です

「土砂崩れの起きにくい強い土壌づくりには、木の根の形状が大切。深くて杭の役割になるもの、地表でネットの役割を果たすものなどを効果的に組みあわせます。

檜原村の玄関口とも言える場所だけに、美しい景観も意識しました。斜面の上に長年佇むイロハモミジの大木を中心に、紅葉する木や花の咲く木もバランスよく織り交ぜます。また、ふもとには低木を配置することで、日差しを遮らない工夫も行うことにしました」

20年、30年後に良質な地下水を生み出し、暮らしを守り、そして地元にも観光客にも愛される新たな森を創造するのです。

森が育っていくのを見守る楽しみも

標高や斜面の向きなどに適した落葉広葉樹10種を選んで植樹

素晴らしい晴天に恵まれた取材日は、サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部のメンバーが研修として植樹を行いました。ペットボトルの水もあっという間に飲み干してしまうほどの暑さのなか、現場は40度の急斜面で、歩くだけでもかなりの労力を要します。

「こんな急な斜面での植樹は大変でした。斜面の多い日本では、ほかにもそんな現場があるのだろうなと改めて実感しました」と話すのは、参加者の伊澤樹さん。伊澤さんはコロナ禍での入社ということもあり、交流の機会としてもかけがえのない体験になったそう。

齊藤ひろみさんも「ほかのチームの方とお話しできて、部署として一体感が感じられました」と、机の前にいるだけでは得られない貴重な体験だと話してくれました。

川崎優太さんは「実際に体験してみることで、社外の人に伝える時も実感をもってお話しできそうです」と、参加者それぞれが研修の意義を実感していました。

左から、サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部 伊澤樹さん、齊藤ひろみさん、川崎優太さん

「都心からもアクセスしやすいので、これから森が育っていくのを見守る楽しみもできましたと話してくれた参加者もいました」と爲ケ谷さん。さまざまな学びが得られた、植樹活動となりました。

新しい働き方に挑戦できるサントリー

植生コンサルタント会社の方など専門家の協力を得て植樹を行っています

爲ケ谷さんは、実は営業出身。勤続10年という節目のタイミングで、これから先の働き方を考えたことが「天然水の森グループ」に来るきっかけとなりました。

「二年間ほどかけて、これから本当に何をしたいのかを考えました。自己分析をするなかで気づいた“核”は、サントリーがとても好きだということと、お酒にかかわりたいということの二つです。サントリーに入社したのは、人と人とをつなぐお酒が好きだからです。お酒づくりにも水が重要ですし、お酒の原点は水。改めて、その根幹の水にかかわる仕事をしたいと思いました」

そうして、ほかの部署の仕事内容を調べるうちに出会ったのが「天然水の森グループ」でした。

「天然水の森活動は、ボランティアではなく基幹事業として位置づけ、やるべき仕事として20年前から続けています。サントリーの核となる活動で、まさにこれだと確信しました」

部署異動にあたっては、当時の上司が爲ケ谷さんの唐突な相談にも、一緒に向きあってくれたと言います。

「人の横のつながりがあり、ほかの部署にも気軽に連絡し話を聞きやすいサントリーの会社風土も、気持ちを固める後押しになりました」

その願いが叶って異動した「天然水の森グループ」。驚いたのは、思っていた以上に関係者が多いことだったそう。

「林業会社や植生コンサルタント会社の方などの民間企業もあれば、林業組合さんや大学教授、国、県、市町村の行政の方、個人の所有者の方など、森ごとに本当にたくさんの方がかかわっています。それぞれの分野のプロフェッショナルの方の力をお借りして、正しい森の姿を模索してきたという積み重ねを感じています」

挑戦を楽しみ、学びを楽しむ

植樹活動に参加した従業員の皆さんを引率する爲ケ谷さん

新しい仕事に挑戦中の爲ケ谷さん。植物やそこに暮らす動物、地質や土壌など、これから身につけるべき知識は山積みで、日々、資料となる図鑑や本を背負って山の斜面を登っているそう。

さらに、昨年は「ウイスキープロフェッショナル」(ウイスキー文化研究所主宰)という認定資格に挑戦し見事取得。今年はソムリエの資格取得にも挑戦しようとしています。

「営業時代、ウイスキーを売っているのにそれほど詳しくないことに、自分でモヤモヤしていたのが出発点です。勉強をしてみると『そうだったのか』と、答えあわせのような楽しさがあります」

新しいチャレンジをする人の背中を押してくれる風土のなかで、生き生きと働く爲ケ谷さんに、改めてサントリーという会社について聞いてみました。



「僕自身もそうですが、従業員の自社愛が強い会社だと思います。世界規模の大きい会社なのに、一人ひとりが自分の会社に誇りを持っているというのは、本当に素晴らしいことだと思います」

今後の目標について、「サントリーの取り組みをもっと伝えていきたい」と話す爲ケ谷さん。

「サステナブルな取り組みはもちろん、天然水の会社として天然水の森は根幹の仕事だということを、社内にも、流通に携わる方にも、その先のお客さまにも、もっと知っていただきたい。サステナブルな活動を伝え理解してもらうことがブランド価値の向上につながり、サントリーのファンになってもらえればいいなと思っています」

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