社会と自然との共生を目指す創業精神

私の曽祖父である鳥井信治郎が、大阪の地でサントリーを創業してから125年余。サントリーグループは、お客様に最高品質の商品・サービスをお届けすることで、人々の豊かな生活文化の創造に貢献すると同時に、多様な社会や地球環境との共生を実現することを自らの使命として歩んできました。これからも、「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす。」というパーパスの下、世界中の皆様の「生命（いのち）の輝き」の実現を目指します。

そのために大切にしているのが、先人達によって脈々と受け継がれてきた価値観、「やってみなはれ」と「利益三分主義」です。
サントリーの原点は、日本に洋酒文化を広めたい、日本人の味覚に合った国産ウイスキーをつくりたい、という強い想いに基づく、当時は無謀ともいわれた挑戦にあります。その後も、寡占状態にあったビール事業をはじめ、食品やRTD^※、健康食品事業への参入、グローバル化の推進など、新しい価値の創造を目指し、あきらめずに挑み続ける「やってみなはれ」の歴史を重ねることで、食品酒類総合企業へと成長してまいりました。

また、事業で得た利益は、自社への再投資にとどまらず、お客様や社会に還元していくという「利益三分主義」の下、文化芸術学術振興や環境保全活動などの社会貢献活動に長年取り組んできました。創業以来100年以上にわたって取り組んできた社会や自然との共生を目指した活動は、まさにサステナビリティそのもので、現在ではグローバルに広がっています。

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  RTD：「Ready to Drink」の略語で、そのまますぐ飲める缶チューハイや缶カクテル、ハイボール缶などのアルコール飲料のこと

水のサステナビリティで世界をけん引する

サントリーグループの事業は、水や農作物など自然の恵みに支えられています。この自然の恵み、すなわち豊かな地球環境を次世代に引き継いでいくことは私たちの重要な責務であり、サントリーグループすべての事業活動の未来にとっても必要不可欠です。とりわけ水については、2050年には世界で約50億人が深刻な水不足に見舞われるとの予測もあり、喫緊の課題と認識しています。
サントリーグループでは、地域との貴重な共有資源である水の持続可能性のため、「水理念」をグループ全体で共有し、水資源を守る取り組みを続けてきました。地下水を育む森の水源涵養（かんよう）機能の向上や生物多様性の再生を目的とした活動である「天然水の森」を日本で開始したのは20年以上も前のことです。これからも工場で使用する以上の水を育み水源に還元する、「ウォーター・ポジティブ」をグローバルに推進していきます。また、次世代を担う子どもたちに水の大切さを伝えるサントリー独自の環境教育プログラム「水育」は、2024年に20周年を迎えました。今ではその活動は世界８ヵ国に広がり、累計参加者数は約119万人にのぼります。
長年にわたる活動によりサントリーグループが蓄積してきた知見や技術は、水の持続可能性を実現する上で重要な資産だと考えています。サントリーグループが事業展開するエリアにとどまらず、世界各地の水課題の解決に向けリーダーシップを発揮していく覚悟をもって、引き続き取り組んでまいります。

サステナビリティを経営の中核に据え、持続可能な社会を次世代に引き継ぐ

サントリーグループは、人と自然と響きあう社会の実現を目指し、水をはじめ、容器包装や温室効果ガス（GHG）について「サントリー環境目標2030」を掲げています。2030年まで、あと5年。目標達成に向け、バリューチェーン全体を視野にあらゆるステークホルダーと連携し、グループ一体となってさらに力強く活動を推進します。

私たちはこれからもサステナビリティを経営の中核に据え、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様のお声に耳を傾けながら、時代のニーズに応える最高品質の商品・サービスをお届けしていきます。そして、グローバルに成長を続ける食品酒類総合企業として、さらなる革新と挑戦を続け、「人間の生命（いのち）の輝き」に満ちた持続可能な社会を次世代に引き継ぐことを約束します。

2025年3月
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長
鳥井 信宏