お知らせ
掲載日:2023/11/13|三重
三重県鈴鹿市で、着物などの生地に模様を染めるために用いる「伊勢型紙」の技術の練磨と研究、次世代への伝承などに取り組む「伊勢型紙技術保存会」。公募した未経験者が受講する「伊勢型紙技術伝承講座」から新たに後継者が誕生していることも高く評価され、今回「第45回サントリー地域文化賞」を受賞しました!
■「サントリー地域文化賞」とは?
公益財団法人サントリー文化財団が、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域の文化向上と活性化に貢献した団体や個人を顕彰するサントリー地域文化賞」。今年も活動の継続性、独創性、発展性、地域への影響力の大きさなどを考慮し、東海北陸エリアでは「伊勢型紙技術保存会」が受賞しました。
■伝承者養成事業を引き継いで発足した「伊勢型紙技術保存協会」
江戸時代中期以降、現在の三重県鈴鹿市の白子・寺家地域で発展した「伊勢型紙」は、着物などの生地に模様を染色するための工芸用具で、型地紙と呼ばれる特殊な紙に彫刻刀で精緻な模様を彫ったものです。この型紙を用いて生地に糊を置くと、染めたときに糊の部分が白く残り模様となります。小紋やゆかた、手拭いなどを染めるために欠かせない用具として全国的に流通しました。
布地に芸術的な模様をうつしだす「伊勢型紙」には、「突彫(つきぼり)」「錐彫(きりぼり)」「道具彫(どうぐぼり)」「縞彫(しまぼり)」の4つの彫刻技法と、染色の際に型紙を補強する「糸入れ」という技法があり、職人は一つの技法を生涯をかけて極めていきます。この技術を継承するため、1963年に鈴鹿市による「伝承者養成事業」がスタート。職人による若手の指導が始まり、1991年には「伝承者養成事業」を引き継いで「伊勢型紙技術保存会」が発足しました。1993年に国の重要無形文化財保持団体に認定された後も市が事務局を務めていて、「伊勢型紙技術保存会」の「会員」と認定された者は伊勢型紙の「わざ」の保持者とされています。
■公募による未経験者から後継者の誕生!「伊勢型紙技術伝承講座」
「伊勢型紙技術保存会」の発足当初は、修業中の業界関係者を対象に指導を行っていました。しかし、着物離れが進み型紙の需要が減る中、受講者も減少したため、2003年からは公募した未経験者を対象に「伊勢型紙技術伝承講座」を開催するようになりました。「伊勢型紙技術伝承講座」は白子の型紙問屋だった古民家を活用した「伊勢型紙資料館」の一角で行われています。受講生は型紙を彫るための彫刻刀づくりから修業を始め、「研修生」、「研修者」、「伝承者」、「会員」と昇級していきます。かつての職人は師匠が専門とする技法のみに接し、この講座でも受講生は自らの専門技法を選択しますが、「伊勢型紙技術保存会」の様々な活動を通して他の技法に自然と触れる機会があるため、伊勢型紙についてより総合的に知ることができます。「伊勢型紙」の技術の習得には長い年月を要するため、新たな「会員」が生まれないことが長年の課題でしたが、今年初めて一人前とみなされる「会員」が7名誕生し、それまでの12人から19名となりました。
鈴鹿市内の小学校では授業や課外学習で「伊勢型紙」を学ぶほか、彫刻体験をする機会も充実していて、郷土が誇る文化として市民に親しまれています。
また、近年の研究で、伊勢型紙の斬新なデザインが19世紀後半に海外の多くの画家や工芸家に影響を与えたことが明らかになり、伊勢型紙をインテリアや日用品などに活用する試みも進んでいます。
これからもサントリーは、日本の地域文化を応援していきます。
▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第45回 サントリー地域文化賞決定(ニュースリリース)
対象都道府県 | 三重 |
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タグ | サントリー地域文化賞 |
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