お知らせ
掲載日:2020/12/18|岐阜
全国に約200の地歌舞伎(地芝居、農村歌舞伎、素人歌舞伎)の保存会がある中、岐阜県には全国最多の32団体があり、昔ながらの芝居を継承しています。 中でも「美濃歌舞伎博物館 相生座」は地歌舞伎を上演しながら衣装や小道具の保存や修繕を行うとともに、他の団体にも衣装を貸し出して公演を支えるなど、美濃の地歌舞伎の振興に貢献してきました。こうした取り組みが高く評価され、「第42回サントリー地域文化賞」を受賞しました!
■「サントリー地域文化賞」とは?
※写真は昨年の様子
サントリー文化財団が、地域文化の発展に貢献した個人や団体を顕彰する「サントリー地域文化賞」。全国の地域文化活動の発展・向上を応援したいという想いから、音楽、美術、歴史・伝統継承、国際交流などの活動を対象に、設立以来40年以上にわたり、全国の地域文化活動を対象に評価、顕彰を行っています。
1979年の本賞創設以来、全国すべての都道府県より受賞者が誕生し、本年度の受賞者を含めて総数は225件に達しました。42回目となる今年は、全国の6団体(うち1団体は特別賞)が受賞されました。
■「美濃歌舞伎博物館 相生座」の歴史
江戸時代、街道沿いに多くの宿場町が栄えた美濃地方では、地歌舞伎が各地で盛んに行われていました。江戸や大阪などの都市で演じられる大歌舞伎とは異なり、地歌舞伎では年中行事の一環として素人が演じるという特長があります。そのため個人が歌舞伎のための豪華な衣装を所有することが難しく、美濃では衣装専門の業者が代々貸衣装を管理していたのです。しかし戦後、地歌舞伎の人気が陰るとともに衣装屋の経営も難しくなり、貴重な衣装が散逸していきました。
そのような中、岐阜県瑞浪市でゴルフ場を経営していた小栗克介(かつすけ)氏と長女の幸江(さちえ)氏は、地元の衣装屋が廃業するのに伴い、地歌舞伎の衣装やかつらなどを譲り受けました。これを機に1972年、「美濃歌舞伎保存会」を発足させ、ゴルフ場の職員らとともに地歌舞伎の上演を始めるようになったのです。
1976年には解体寸前だった県内の2つの芝居小屋を敷地内に移築・復元し、現在、保存会の活動拠点としている「美濃歌舞伎博物館 相生座」が誕生しました。
■歌舞伎の技術や衣装などを保存・継承する「美濃歌舞伎博物館 相生座」の活動
※「相生座」での歌舞伎公演(2001年頃)の様子
劇場のこけら落しでは、小栗克介氏・長女の幸江氏と交流のあった市川猿之助(現・猿翁)氏の一座が、ロウソクを灯りに用いた江戸時代の舞台を再現して大きな話題を呼びました。以後、「相生座」では毎年9月に「美濃歌舞伎保存会」の定期公演が行われており、全国各地から多くの見物客が訪れています。
父・克介氏から「相生座」の館長を継いだ幸江氏は、役者、脚本、太夫、三味線から衣装やかつらの修繕、着付けまでに精通し、知識も豊富な地歌舞伎界のエキスパート。子ども向けの歌舞伎教室で次世代の育成を行うほか、他の団体の公演の際には衣装を貸し出して着付けを行うなど、地域の地歌舞伎の振興にも尽力しています。
さらに「相生座」では、実際に使用される約4000点の衣装や小道具を修繕しながら保存し、一部は劇場内にも展示するなど、まさに地歌舞伎の生きた博物館となっています。「相生座」と「美濃歌舞伎保存会」の活躍によって、地歌舞伎の魅力が改めて理解されるようになり、一時は廃れていた活動が各地で再開されるようになったのです。
また「相生座」では、ヨーロッパやハワイなどの海外のフェスティバルやシンポジウムにも積極的に参加し、公演や着付け体験などを通じて歌舞伎の魅力を伝える活動にも力を注いでいます。
かつて人々の往来によって美濃の地にもたらされ、地域に豊かな文化を育んできた美濃の地歌舞伎は、「相生座」の活動によって現代にも活き活きと継承され、さらに国境を越えた文化の交流にも大きく貢献しています。
これからもサントリーは地域文化の発展を応援していきます。
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▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第42回「サントリー地域文化賞」決定(ニュースリリース)
対象都道府県 | 岐阜 |
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