Liqueur&Cocktail
 
  • PROLOGUE

    緑が濃い影を落とす5月20日(日)、9フロア分の吹き抜けの天蓋に初夏の光が残るパークホテル東京「ザ・ラウンジ」にて、南フランスの香り漂うプラムとマスカット、2種類のリキュールをテーマとし「カクテル・ユニバーシティ」が開催された。

    このセミナーも8回目を数え、今宵のテーマは、南フランスの艶やかなリキュール「プラム・リキュール・ド・フランス・プルシア」と「マスカット・リキュール・ド・フランス・ミスティア」。「春色の墨」展と題し、和のテイストのアート作品を配した吹き抜けのアトリウムに足を踏み入れると、格調高いフルーティなリキュールの香りが出迎える。

    舞台となった「ザ・ラウンジ」は、「汐留で日本に染まる」をテーマにアートコレクション「春色の墨」展の会場を兼ね、スタイリッシュでシンプルな装い。テーブルの上には、プルシア、ミスティア、クランベリー・ジュース、グレープフルーツ・ジュース、グレナデン・シロップにプルシア・ブランデー、マスカット・ブランデー、マスカット・ヴァン・ド・リキュールが並べられ、オープニング前からカクテル講座への期待感が高まる。

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  • INTRODUCTION

    テーマとなったリキュール「プルシア」は、フランス南部モアサック産の高級プラム「ゴールデン・ジャパン」を原料に、コニャックの名門「ルイ・ロワイエ社」のリキュール部門「ジュール・ブルマン」でブランデーの古樽にて熟成させたほのかな甘さのひと品。また「ミスティア」は、フランス地中海沿岸に位置するフロンティニャン産のぶどう「マスカット・プチ・グラン」を使用。「マスカット・ヴァン・ド・リキュール」を原料酒とし、マスカット・ブランデーをブレンド。同じく「ジュール・ブルマン」にて作られた爽やかな逸品だ。

    ナビゲーターは、パークホテル東京「バル ア ヴァン タテルヨシノ」カクテル・デザイナー鈴木隆行氏、そして「ミスティア」の監修も担当した世界一バーテンダー、渋谷「BAR石の華」のオーナー石垣忍氏。2種類のリキュールを題材にした贅沢なカクテル・ユニバーシティである。

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  • ABOUT PRUCIA

    およそ30名の参加者がテーブルに着くと、日差しが残る17時、セミナーはスタート。登壇した鈴木氏は開口一番「みなさん、飲みたくて仕方がなさそうな顔なので、さっそく始めさせて頂きます」と会場を沸かせる。まずは石垣氏がこの夜のテーマ・リキュールについてレクチャー。

    「テーブル上には、香り用のセットもあるので、呑んでしまわないように気をつけてください」と前置きしながら「まずは、プルシア・ブランデーの香りを試してみてください。香りだけです」と手順を説明、続いて「プルシア」のテイスティングを勧める。「プルシアは、プラムのリキュール。日本の梅を思わせる、実に品の良い味。フランスのプラムを使うと、こんな感じに仕上がるという上品さがあります」とお酒の初心者にも判りやすく説く。

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  • ABOUT MISTIA

    「一方、ミスティアは、マスカットのリキュールです。マスカットのリキュールは、ほとんど存在しないに等しい。そのリキュール作りにサントリーさんが挑戦。2年以上をかけて仕上げました。マスカット・リキュールが発売されること自体、画期的です」とその稀少性について謳う。

    「マスカット・ブランデーとマスカット・ヴァン・ド・リキュールを合わせ仕上げています。この2つの香りを試した後、ミスティアを召し上がってください。常温を用意しましたが、実は氷を入れオン・ザ・ロックスでも呑んでもらえる爽やかなリキュール。ブランデーとマスカットだと甘くなり過ぎますが、オレンジフラワーがアクセントになり、かなりすっきりした味わいとなっています」とそのテイストを解説する。

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  • MISTIA COCKTAIL

    ここで参加者にテイスティングの心証を訊ねると、会場の約3分の2がミスティア派、3分の1がプルシア派に別れる。中にはフランス人の参加者もおり、イの一番でプルシアに挙手。お国柄がリキュールの好みにも反映されるのだろうか。

    さらに石垣氏よりミスティアを使用したカクテルが披露される。「モヒートはラムをベースにしたカクテルですが、今日はラムに代わりミスティアを使用します。まずはミントリーフを入れ、ライムジュースを加え、ミスティアを注ぎます。ここでハンマーのような道具でスマッシュ・・・ミントをつぶして香りを引き出します。あとはクラッシュアイスを入れ、ソーダを注ぎ、最後にフレッシュミントの葉をトッピングし出来上がりです」。

    会場からの挙手によりテイスティングを集うが、いち早く手を挙げたのが最前列のフランス人。その感想は「ミントの味がすごく引き立っている。さっぱりして美味しい」と堪能な日本語で模範解答。日本のバーテンダーは、海外からも注目度が高い。その現れだろう。

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  • プルシア、ミスティアを使った参加者による
    思い思いのカクテル(1)

    鈴木氏から「次はみなさんと一緒にカクテルを作ってみましょう」との発声。テーブルの上には、予め置かれたグレープフルーツ・ジュース、クランベリー・ジュース、グレナデン・シロップ・・・。そこにグラスが配られ、「みなさん、好きなジュースを加えてみてください」と促される。

    「グレープフルーツにグレナデンを入れると綺麗なピンクになります。もう少し赤みが欲しい方は、クランベリーを加えてください。ある程度、味が決まったところで、ミスティアが好きな方はミスティアを。プルシアが好きな方はプルシアを加えてください。そこに氷を足し、ペリエを注ぎましょう。あまりかき混ぜず、色のグラデーションを愉しんでください。今日はベルローズというかわいい薔薇の花が手に入ったので、最後にミントの葉とベルローズを飾りましょう。どうでしょう、春色のカクテルが仕上がりましたでしょうか」。

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  • プルシア、ミスティアを使った参加者による
    思い思いのカクテル(2)

    しばし、おごそかな沈黙にグラスの音が響いた後、自らが作ったカクテルを愛おしそうに携帯写真に収める参加者たち。ここで、おのおのが作ったカクテルで乾杯。

    「バーで、プルシア、ミスティアのカクテルを愉しみたい場合は『今日は梅な感じで』とか『マスカットな雰囲気で』と指定して頂ければ大丈夫。ぜひ、バーでも試してみてください。本日、ラウンジでは『春色の墨』展を行っています。せっかくですから、カクテルを飲みながら、このアート作品を鑑賞してください」と休憩時間に。

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  • 南仏のリキュールに山椒、胡瓜・・・・・・
    和仏の調和により幕(1)

    参加者自らの手によるカクテルを飲みながら、アートに浸った後、第二幕へ。石垣氏の「ジャパニーズ・ペッパー・マティーニ」から。「今回は、マルガリータなどに代表されるグラスの縁に塩を使用したカクテルに対抗し、山椒を使ってみました。爽やかなミスティアのテイストにぴりっとした山椒がアクセントになっています」。

    グラスの縁を濡らし、山椒を敢えてハーフにあしらう。「山椒が辛いと思う方は、山椒がついていない側から口を付け、鼻に近付いてくる香りを堪能してください」。これにオレンジジュース、ビーフィーター24、ミスティア30mlを加え、シェイク。この完成品を、最初に挙手した参加者がテイスティング。「甘いんですが、さっぱりした甘さです」との感想に、石垣氏は「山椒がぴりっとしているので、バランスを取るために、やや甘目のテイストにしています」と甘さの意図をつまびらかにする。

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  • 南仏のリキュールに山椒、胡瓜・・・・・・
    和仏の調和により幕(2)

    続いて、鈴木氏の手によるひと品。「もう少しすると、憂鬱な梅雨に入る。いやだなぁっと思うものの、これから来る暑い夏を念頭に置きながら召し上がって頂きたい。イメージとしては、梅雨が始まる頃の青梅を浮かべてください」と創作意図を解説する。

    ブレンダーにプルシア、梅干し、スライスした胡瓜を入れ、酸味を加えるためにライムをスクイーズ。「胡瓜は甘いものと合わせるとメロンのような味になります」と胡瓜の妙について述べると、さらにグレープフルーツ・ジュースを加え、ミキサーする。味見の後、さらにプルシアを加え、氷を足して再度ブレンド。スムージー状な仕上がりをグラスに注ぎ、ミントと胡瓜を飾って完成。その名も『レイニーシーズン』。スムージー状に仕上がったひと品は、カクテルというよりも暑い夏にぴったりなデザートのような色鮮やかさだ。

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  • COCKTAIL PARTY

    ここからは、鈴木氏、石垣氏の2作品を含め、パークホテル東京が誇るバーテンダーたちによるプルシア、ミスティアを使った9種類のオリジナル・カクテルを愉しむパーティとなる。初夏の訪れにぴったりで、それぞれユニークなカクテルが、日曜日のラウンジを彩った。

    〈 9種類のオリジナル・カクテルレシピ 〉ダウンロード(PDF 685KB)
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  • EPILOGUE

    このカクテル・ユニバーシティ、最後の抽選会がさらに豪華。プルシア、ミスティアのフルボトルが当たるほか、「レストラン タテル ヨシノ 汐留」のペアディナー券、ベストカクテルドレッサー賞にパークホテル東京宿泊券が提供される。さらに、参加者全員に、プルシアのミニボトル2本、プルシア・オリジナル・ポーチにレシピカードがセットとなった記念品が手渡される。

    参加者は、南フランスの香りを手に帰路に着き、こうして初夏のリキュールの宴は、華やかに幕を閉じた。

    • 取材:たまさぶろ
    • 写真:斉藤美春
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  • 鈴木 隆行 Takayuki Suzuki
    パークホテル東京 Bar a Vins(Cocktail Designer)

    ニューヨーク国際バーテンダースクール卒。国内外のホテルやバーでカクテルの真髄を学ぶ。自己啓発セミナーとしてのカクテル講座や Suzuki Takayuki Bartender School を主催するなど、個人から企業まで、カクテルを通じてのライフスタイルを提案している。Whisky Magazine Live Tokyo や London Bar Show でのカクテルパフォーマーとして活躍。短編小説「パーフェクト・マティーニを駒草出版より全国発売。連載:Whisky Magazine 日本語版「ウイスキーカクテル http://www.bartenderschool.jp

  • 石垣 忍 Shinobu Ishigaki
    Bar 石の華(オーナーバーテンダー)

    2002年全国バーテンダー技能競技大会で優勝。2003年「Bar 石の華を渋谷にオープン。2005年IBA(国際バーテンダー協会)公認の世界大会(イタリア・トリノにて開催)日本代表として出場。最も権威のあるシニア部門(29歳以上)において優勝。世界一になる。国際的な美術展、老舗高級ブランドのオープン記念等でイメージカクテルの考案に当たるなど、多方面で活躍。「CALPIS BARTIME」「SIKO MECHANICAL 石垣 忍 カクテルモデル」等をプロデュース。 http://www.ishinohana.com

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