サントリー ワイン スクエア
シャトー ラグランジュの桜井楽生です。
今年もボルドーワインの「プリムール販売」が始まりました!
2020年に収穫・醸造したワインは現在「樽熟成」の最中ですが、ボルドーの多くのシャトーでは、このタイミングで製造途中のワインを「ネゴシアン」と呼ばれるワイン商へ予約販売してしまいます。そのネゴシアンが買い付けたワインの一部は、同時に各国の輸入販売業者へ販売され、さらにその一部は、一般消費者へと販売されます。まだそのワインは、樽熟成の真っただ中なのに!
このボルドーワイン独特の商取引を「プリムール販売」と呼びます。
まだ瓶詰もされていないワインの購入を決めるにあたり、気になるのはもちろん、その品質です。例年は、3月末から4月1週目にかけてボルドー各地で大規模な「プリムールワインの試飲会」が開催され、世界各国からバイヤーを中心に約7000人がボルドーを訪れます。
しかし、コロナ禍では大規模な試飲会は行うことはできません。そこで、昨年に続き、今年もシャトーは世界各地へ大量の試飲用サンプルを送付し、4月から世界中でバイヤー向け試飲会が行われてきました。
ワインの試飲が始まるとすぐに、ワイン業界関係者の間では品質についての情報発信が活発に行われます。2020年は、「2018年、2019年に続く傑出したヴィンテージ!」と試飲でも評判で、品質については太鼓判が押されました。そして、5月に入り、いよいよプリムール販売がスタートを迎えることとなりました。各シャトーが、それぞれ自分たちのワインの価格を決め、タイミングを見て販売を開始します。2年続けてのコロナ禍でのプリムール販売が成功に終わるかどうか、世界中のワイン関係者が注目しています。
さて、2020年産ワインを販売する中、畑では2021年のぶどうが活動を始めています。日本でも大きなニュースとして取り上げられたと思いますが、今年は4月にフランス各地で大規模な霜害が発生しました。春の遅霜では、すでに生育を始めていた芽が寒さでやられてしまいます。地域によっては5割、8割もの新芽が被害を受けたところもあったようです。
幸運なことに、シャトー ラグランジュでは大きな被害は発生しませんでした。5月中旬を過ぎると、もう霜はきません。遅霜の被害を免れたぶどうたちは、今年も順調に生育しています。
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桜井楽生(さくらいらくさ)
登美の丘ワイナリー醸造責任者(2009~2012)、ボルドー大学研究員(2012~2015)、ワイン生産研究本部課長を経て、2020年よりシャトー ラグランジュCSO。ワイン醸造技術管理士(エノログ)