今回のテイスティング会では、11月17日(木)解禁になるボジョレー ヌーヴォーに合わせて、秋から美味しくなる季節限定チーズ「モン・ドール」を選びました。
「モン・ドール」の名は、黄金の山という意味を持つ山の名前に由来します。産地はフランスとスイスの国境沿いのジュラ地方。この産地はもともと「コンテ」という40kgもある牛乳製の大型チーズで有名でしたが、冬場は雪深く「コンテ」製造場までミルクを運べないため、各農家ごとに自家用として小ぶりの円盤型のウォッシュチーズ「モン・ドール」を造っていました。その後、冬場に訪れるスキーヤー達によってこの地元の「モン・ドール」が美味しいと評判になり、だんだん生産量が増えていきました。当初は冬場限定のチーズでしたが、今では製造期間が少し長くなり、8月15日~翌年3月15日までと定められています。
「モン・ドール」の特徴は、樅の木の一種であるエピセアという木のベルトを側面に巻き、またエピセアの木の板の上で熟成させることです。時々塩水で表面を洗って仕上げていきます。熟成が進むとチーズの組織はまるでカスタードクリームのようなテクスチャーに変化します。
今回試飲会で実験したワインはボジョレー の2010年、ヌーヴォーは解禁日までお預けです。生産者はボジョレーの帝王と称されるジョルジュ デュブッフ社です。テイスティング会のメンバーからは「ボジョレー ヌーヴォーの果実味が「モン・ドール」のクリーミーさに合うね。」とコメントがあがりました。
「モン・ドール」の脂肪分が、ボジョレー ヌーヴォーのフレッシュさで爽やかになりました。また、チーズの優しいながらも個性ある腐葉土や森の香りは、ワインと合わせることでより引き立ちました。
気になるのは今年の出来です。収穫は、気象統計上、100年に一度と言われた2003年に次ぐ早さで、なんと8月24日から収穫が始まりました。2011年のブドウは小粒で、果実がぎゅっと凝縮されています。糖度の測定結果もかなり良好で、区画によっては50年に一度のヴィンテージと言われた2009年よりも高い所もあったほどです。アントシアニンの値も2005年や2009年に匹敵しているそうです。デュブッフさんからも「発酵段階では、深みのあるきれいな濃い赤の果汁から、ずっと嗅いでいたくなるような心地よいベリーの香りが感じられ、素晴らしい出来になる事は間違いない!」という力強いメッセージが届いています。ソペクサ(フランス食品振興会)の発表も3年連続のグレートヴィンテージ!との事です、期待が持てますね!!2011年のボジョレー ヌーヴォーも、「モン・ドール」との相性の良さをお楽しみ頂けることでしょう。
そして「モン・ドール」に合うもう1本のおすすめワインは、「ジャパンプレミアム 高山村シャルドネ」です。
「ジャパンプレミアム 高山村シャルドネ」のブドウが収穫される高山村は長野県北部の北信地域に位置しています。この地域を流れる千曲川は、かつて「暴れ川」とよばれたほどよく氾濫した川でした。その結果、この土地は小石が堆積し、水はけが非常に良い土地となりました。高山村は現在、高品質のワイン用ブドウ シャルドネを栽培する土地として有名になりつつあります。
「ジャパンプレミアム 高山村シャルドネ」の色合いはややグリーンがかった輝き透明感のある麦わら色。洋ナシやリンゴを連想させる果実香とフローラルなニュアンスを楽しめます。味わいはシャルドネの豊かな果実味とまろやかな酸味、フレンチオークの複雑さを感じられます。
「モン・ドール」と合わせると、ほんのりと香るヴァニラやローストしたナッツを思わせるワインの香りが、チーズの持つエピセアの木の香りにとてもマッチし、まるでヴァニラ風味のクリームを食べているかのようです。北信地域高山村のシャルドネのポテンシャルが「モン・ドール」によってさらに高められた組み合わせとなりました。
ボジョレー ヌーヴォー解禁日にはぜひ親しい仲間と一緒に秋の味覚「モン・ドール」を囲んで楽しんではいかがでしょう。