今回この「バラット」におすすめしたいワインが「ドメーヌ バロン ド ロートシルト ボルドー レゼルブ スペシアル(白)」です。ボルドー地方の五大シャトーのひとつ、「シャトー ラフィット ロートシルト」を擁するロスチャイルド家が手掛けるワインです。ボルドー地方の白ワインの主要品種であるセミヨン、ソーヴィニヨン・ブランで醸されています。ソーヴィニヨン・ブランという品種の特徴でもあるハーブを連想させる香りは、シェーヴルと相性が良い定石の組み合わせといわれています。テイスティングする前からメンバーの期待が高まったワインでした。色調はグリーンがかったやや淡い麦藁色。香りはグレープフルーツを思わせる柑橘系と、ソーヴィニヨン・ブラン特有のハーブや青芝のような爽やかさが特徴です。味わいは爽やかな果実味と若々しいフレッシュな酸味が広がり、ハーブの風味と共に心地よい苦味が感じられます。アルコールのボリュームもほどよく、余韻はすっきりとした辛口でセミヨンの柔らかで膨らみある味わいが楽しめます。
そんな爽やかな「ドメーヌ バロン ド ロートシルト ボルドー レゼルブ スペシアル(白)」に「バラット」を合わせてみると、チーズの酸味の中にワインのハーブを思わせるアロマティックな香りが加わり、まるでハーブをまぶしたシェーヴルを食べているかのようです。また、ワインの心地よい苦味により、シェーヴルのミルクの風味がより上品に引き立ちました。まるで、新緑の季節に対するお母さん山羊の喜びを表現しているような、旬のマリアージュでした。
若いシェーヴルと爽やかなソーヴィニヨン・ブラン種のワインの相性の良さを堪能したあと、おすすめの赤ワインを探す際にメンバー一同は心配になりました。「バラッド」と白ワインの相性があまりにも良かった為、それに劣らないおすすめの赤ワインを挙げられるか不安に思ったからです。ところが、心配とは裏腹に一押しの赤ワインが見つかりました。それはイタリア、トスカーナ州の「ヴォロロッソ キャンティ」です。このワインはイタリアNo.1ワインメーカー「カヴィロ社」が世界的に展開する「ヴォロロッソ」ブランドのキャンティで、サンジョヴェーゼ種100%の赤ワインです。ヴォロロッソとは「赤い飛行物体」の意味で、ラベルにも飛行する「はやぶさ」をモチーフにイタリア半島が描かれています。色調は輝きのある明るいルビー色。香りの第一印象はもぎたての赤色ベリーを連想させます。口に含むと、若々しい果実味とフレッシュな酸味とのバランスが心地良く感じられます。比較的軽やかな、若々しい印象の赤ワインです。渋味が穏やかな赤ワインなので少し冷やして飲んでも良いでしょう。
「バラット」とは国も産地も違うワインですが、合わせるとフレッシュな山羊のチーズにフランボワーズ(木苺)を添えて食べているかのような風味を感じさせます。また、「バラット」だけ食べていると爽やかな印象で終わるところに「ヴォロロッソ キャンティ」が加わることで、山羊乳のミルキーさと風味がボリュームアップしました。また、キャンティだけ飲んでいると軽やかな赤の印象ですが、「バラット」とあわせることで、ワインのもつ赤いフルーツの風味が増し、果実の凝縮感を楽しめました。数々のワインとチーズのマリアージュを試してきたメンバー一同にとって、初めての出会いでしたが意見は一致。「ぜひ皆様にもご紹介したい!」と赤の一押しの組み合わせとなりました。
外に出たくなる爽やかな新緑の季節。旬のチーズとワインを満喫してみてはいかがでしょうか?爽やかな組み合わせ、もしくは新しい発見に出会えるでしょう。