春らしい優しいチーズにお勧めのワインが「サントリージャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ」です。このワインは先月2月に数量限定で発売されたばかりで、ワインのプロ一押しのロゼです。原料に使われている葡萄は、2010年に山梨県で収穫された「マスカット・ベーリーA」100%。「マスカット・ベーリーA」は日本を代表する赤ワイン用品種で、"日本ワインの父"と呼ばれる川上善兵衛が1927年に交配して作り上げた品種です。低温でゆっくりと発酵させることで、赤いベリーを連想させる香りが最大限に引き出されています。色合いは春にぴったりの桜色。もぎたての葡萄をほおばったような、フルーティで華やかな香りが広がります。爽やかな酸味とほのかな甘みのバランスが心地よく、日本人が好むといわれる風味に仕上がったのも、日本生まれの葡萄から生み出されたロゼワインならではないでしょうか。
そんな「サントリージャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ」に「サン・マルスラン・ドーフィノワ」を合わせてみると、ワインの弾けるような豊かな果実味が、チーズのほど良い酸味を更に引き出してくれます。チーズの軽やかな酸味に目を覚ましたかのように、ワインの華やかな香りが広がり、まるで口の中で桜が開花したかのようです。また、滑らかな口当たりのチーズに、ワインの葡萄由来の甘みが合わさると、チーズにジャムを添えて食べているように感じます。桜の下で味わいたい春らしいマリマージュを是非お試しください。
また、赤ワインのお薦めは「ジョルジュ デュブッフ ムーラン・ナ・ヴァン」です。前回に引き続きボジョレーの帝王と称される名醸造家ジョルジュ デュブッフのワインです。「ムーラン・ナ・ヴァン」は風車の意味を持つ村のワインで、10のクリュ・デュ・ボジョレーのうちの1つです。ボジョレーの中で最も力強く芳醇なワインを生み出します。グラスに注ぐと赤や紫のバラを思わせる華やかな香りが漂います。口に含むと、ガメ種由来の柔らかなタンニンによる深く濃くなめらかな味わいを楽しめます。何故、美食の街フランス リヨンの北部に位置するボジョレー地方で誕生したワインと、東側に位置するドーフィネ地方の生まれのチーズのマリアージュをお薦めに挙げたのか。それは、まるで美食の街リヨンで運命的な出会いを果たしたかのように、ワインの深みと、チーズのマイルドな味わいが引き立つからです。また、ワインの程よいタンニンとチーズの表皮部分の複雑味が調和し、ロゼワインの時とは異なるチーズの個性を感じる事が出来ます。春は新しい出会いの季節でもあります。ワインとチーズの出会い(マリアージュ)を楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後に春ならではの、とっておきのひと手間をご紹介します。必要なのは「ピンク・ペッパー」です。直訳すると「ピンクの胡椒」ですが、コショウボクという木の実を乾燥させており、胡椒のような辛味はありません。色鮮やかなピンク色で、ほのかな苦味と甘い香りが特徴です。チーズの表面にまぶせば、白いチーズがたちまち春カラーに変身です。見た目の楽しさだけではなく、ペッパーのほのかな苦味がワインの香りをぐっと引き立たせてくれるので是非お試しください。五感をフル活用できるこの春お勧めのマリアージュ。心はいっきに春カラーですね。