この辺り一帯は表面を塩水で洗って仕上げる強い匂いのチーズ、「マロワル」を産していますが、ハート型に作られるようになったのは17世紀中頃のこと。アラス（Arras）で毎年行われる「ネズミの祭り（Fete de rats）」で、魚のパテやチーズを平和と愛のシンボル、ハート型に作ったのが始まりだと言われています。当時、スペインの占領下にあったアラス地方がフランス領に返った事を祝ったお祭りですが、勢力のあったスペインからアラスを取り返すなんて、「ネズミがネコを捕る」ようなものだったのです。
　そしてその日以来、ハート型のチーズがこの地方でも、近隣のアヴェンヌでも作られるようになりました。
　表面を洗って仕上げますので、室温に戻すと匂いがちょっと気になるかもしれませんが、一旦食べてしまえば匂いは気になりません。予想に反してクリーミーで優しい香りが漂ってきます。口の中で溶けていくクール・ダヴェヌにサンタムールを合わせていただければ完璧です。バレンタインの余韻を楽しみながら、ロマンチックな夜にぴったりのチーズとワインをお楽しみください。