この料理に合うワイン

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1st

タヴェルネッロ オルガニコ トレッビアーノ シャルドネ 

タヴェルネッロ オルガニコ トレッビアーノ シャルドネ

イタリア
ぶどう品種 トレッビアーノ、シャルドネ

今回のレシピは、鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニです。標準和名に〇〇アジとアジの名前が付く魚は50種類くらいありますが、その殆どは、アジ科アジ亜科に属しています。なかにはクサアジやイレズミコンニャクアジのように科すら違っていて、見た目もマアジからは程遠い魚もいます。市場で単にアジと呼ばれるのは、大体マアジです。マアジはアジ亜科のマアジ属です。マアジは、日本では、良く見かける馴染み深い魚ですが、日本の魚種別漁獲ランキングでは意外に低い位置です。農林水産省の2022年版での魚種別漁獲第1位はマイワシ、2位ホタテ、3位サバ類です。その後4位以下がカツオ、スケトウダラ、カタクチイワシと続き、マアジは7位なのです。皆様はもう少し上の順位だと思っていませんでしたか?その後は、ブリ類、サケ類、マダラ、スルメイカ、サンマです。スルメイカとサンマは、近年の絶不漁のあおりを受けて、こんなに順位を落としているのです。マアジは、日本人には大変ポピュラーな魚ですから、世界中に住んでいると思いがちですが、生息域は比較的狭くて、太平洋の北西部にしかいません。なので学名はTrachurus japonicusで日本の名前が与えられているのです。英語ではJapanese jack mackerelとかJapanese horse mackerelです。Japanese horse mackerelを直訳すると日本の馬のような鯖です。
欧米の方にとっては、マアジは鯖に似た魚なのですね。マアジは、味が美味しいからアジになったと言われる位、年中美味しい魚ですが、特に美味しいのは5月から夏にかけてだと言われています。さて、今回のレシピのもう一つの主役はフルーツトマトです。フルーツトマトと言っても、フルーツトマトという品種が有る訳ではありません。農水省の「こどもそうだん」のページでは「フルーツトマトは品種名でなく、特別な栽培方法でつくられた高糖度なトマトとされています。一般的なトマトの糖度は6度くらいですが、くだものと同じくらいの10度以上のものもあります。フルーツトマトは水やりを少なくして育てるので、甘味が増して、普通のトマトほど大きくなりません。また、根があまり伸びないようにしたり、肥料の吸収を抑える事でトマトにストレスを与え、トマトに糖分を蓄えさせたりして、甘くします。」と記載されています。フルーツトマトの多くは、お尻から放射状に伸びる白っぽい線が見えます。これはスターマークと言って、甘いトマトに出る線だ、と言われています。ブランド化されたものでは、群馬県のブリックスナイン、静岡県を中心としたアメーラ、高知県の徳谷トマトなどがあります。特に糖度が高いのはキャンディドロップで、一般的なトマトの倍以上の糖度である12度から13度くらいもあります。フルーツトマトは水やりを制限して育てる事が多いので、玉の大きさは、小さい事が多いですが、茨城県のスーパーフルーツトマトは比較的大玉のトマトです。
今回はフルーツトマトと鯵を冷製のカッペリーニにして頂きました。カッペリーニはドライタイプのロングパスタで最も細いタイプで、メーカーによって太さが多少違いますが、0.9mmから1.2mm位のとても細い麺です。イタリアでは鳥の巣状に丸まっているものが、袋に詰められて売られている事が多いのですが、日本では普通のストレートタイプで、袋や箱で販売されています。普通のスパゲッティのように、茹で上げてからフライパンでソースと合わせると、ぐちゃっとした食感になりがちなので、冷製で食べる事が多い麺です。鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニの味付けは、摺り下ろしにんにくとオリーブオイル、バルサミコ酢、塩、白こしょうでシンプルに仕上げて頂きました。さて、この鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはタヴェルネッロ オルガニコ トレッビアーノ シャルドネでした。タヴェルネッロはイタリア国内販売量 No.1 (※1) で、しかも、世界で一番売れているイタリアワイン (※2) なのですよ。オルガニコ トレッビアーノ シャルドネは、最近注目の有機ワインです。農林水産省の定義によると、有機ワインとは、有機農業で栽培されたぶどうを使って、総ての製造ラインにおいて、有機ワインではないものと隔離され、しかも公的機関で認証されたものと定義されています。更に有機農業とは、「有機農業の推進に関する法律」の第二条に、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組み換え技術を使用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定められています。そして化学肥料や農薬を使用できないのは、過去3年に遡ると規定されています。そして認証機関ですが日本の代表的な有機認証団体は、農林水産省から認定を受けた「オーガニック認証センター(OCC)」です。いま世界中で有機農産物がつくられていますが、それを輸入する時に日本で再検査することは、事実上不可能です。それは、他の国々が他国から輸入する時にも同じ事情です。なので、日本はEUやアメリカなどの国と「有機認証の平等性の評価」が完了しており、相互に認証しあえる仕組みを作っているのです。タヴェルネッロ オルガニコ トレッビアーノ シャルドネのぶどうはエミリア・ロマーニャ州ルビコーネ地区の有機栽培のトレッビアーノが85%と残り15%は有機栽培のシャルドネです。グラスからは熟したグレープフルーツやりんご、黄色い花やハチミツなどを連想させる甘い香りが漂ってきます。有機ワインらしい素直な味わいで、フレッシュな果実とまろやかな酸味とのバランスがとれています。鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニと合わせると、主役のひとりであるフルーツトマトの表情が、より一層活き活きとします。

「トマトの香りが素直に増幅されますね」

「トレッビアーノには、緑系の香りの成分は少ないと思っていましたが、密かに隠し持っていたのでしょうね」

「タヴェルネッロが出てくるといつも思うのですが、白も赤もトマト系の料理との相性が本当にいいですよね 」

「甘いフルーツトマトが、更に甘くなります。でもトマトとバルサミコの豊かな酸味のお陰で、とてもバランスが良いです」

「冷たく冷やして食べる料理だから、温かい時にはちょっと甘すぎかなぁ・・・・位のバランスで丁度良いのですよ」

「鯵のコクと奥行きが、明確に感じられます。ある意味、ワインの味わいがシンプルだからこその、コントラストなのでしょうかね・・・・」

 今年の夏も暑そうです。皆様も、是非、この鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニを作ってください。そしてタヴェルネッロ オルガニコ トレッビアーノ シャルドネとの素敵なマリアージュをお楽しみください。トマトソースを先に作って、冷凍しておいても美味しいですよ。その時にはフルーツトマトは6等分位の小さめに切って、少し大きめのジッパー袋などに薄く入れて凍らせ、パスタに掛ける時に、凍ったソースを割りながら掛けると良いですよ。

 ※1 シンフォニーIRIグループ 202112月報告データ(イタリアスーパーマーケット 100平方M以上の規模における)

 ※2 The IMPACT DATABANK 2021 EDITION に基づく

2位に選ばれたのは、コルンピオ カルメネールでした。コルンピオ カルメネールは、前回掲載の万願寺唐辛子にすり身を詰めたタイカレーでも第2位に輝いた、料理との相性の良いワインです。コルンピオは、今年の春先にネットと首都圏だけで先行販売を始めた新ブランドですが、Amazon様では3月18日にワインカテゴリーランキングNo.1の好評を頂きました。ワインを選ぶ基準の“香り”に、もっと焦点を当てて、もっともっと直感的に「自分好みのワイン」を選ぶ事が出来るワイン、それがコルンピオなのです。 カルメネールは、フィロキセラ(ぶどうの宿敵であるぶどう根アブラムシと呼ばれる害虫)以前のボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨンよりも多く栽培されていました。ぶどうが開花してから完熟までの時間がカベルネ・ソーヴィニヨンよりも20日以上長いので病気のリスクが高くなるために、現在のボルドーではほとんど栽培されていません。ぶどうの開花後、収穫まで1回も雨が降らないチリでは、カルメネールが病気にかかるリスクは、、とても低いので、多く栽培され続けていたのです。コルンピオは、凝縮した果実味の強いカルメネールにオークを漬け込むことでカフェモカを連想される香ばしい香りを実現しました。 鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニとのマリアージュで第2位に選ばれたのですが、ソムリエ協会の重鎮のソムリエの中にも、鯵や鰯などの青魚とワインのマリアージュをお客様に提案する時に、白ワインではなく赤ワインを選ばれる方が結構いらっしゃいます。今回も鯵の味わいの広がりが白ワインとは明らかに違っていました。鯵の血合いの部分の鉄っぽい味わいが強調され、そこにカルメネールが合わさる事でスモーキーなニュアンスが生まれていました。鯵の脂とカルメネールのタンニンが出会って甘みに転換し甘いフルーツトマトと、とても良く合っていました。先行販売で好評を頂いたコルンピオは9月10日から全国に発売拡大されます。見かけられたら是非お試しくださいませ。

2nd

コルンピオ カルメネール 

コルンピオ カルメネール

チリ
ぶどう品種 カルメネール

3位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム かみのやま シャルドネ でした。山形県上山市の木村さんに育てて頂いたぶどうを醸したワインです。かみのやま温泉駅から南東に車で10分ほど行った上山市原口に手打ち蕎麦の名店である「手打 原口そばや」があります。そのあたりは田んぼに囲まれているのですが、そこから少し丘を登った所に木村さんのシャルドネの畑はあります。周りを洋梨の畑やさくらんぼの畑にかこまれています。木村さんは生食用のぶどうや洋梨の有名な生産者でもあり、都内の超高級果物店に卸されている凄腕の果樹栽培家です。シャインマスカットをいち早く山形に導入したのも木村さんなのです。 マリアージュ実験に使った2023年の夏は非常に暑かったです。7-9月中旬ころまで降水量がかなり少なく、乾燥した気候でぶどうには最適でした。その後、気温は下がり9月末から10月上はやや雨が多い傾向でしたがぶどうは健全でした。成熟度合い、アロマの乗り具合と天候を見極めて、シャルドネは9月21日に収獲しました。 グラスからは、追熟済みの洋梨や杏仁豆腐などを連想させる甘い香りがあります。きちんと熟したぶどうのしっかりとした果実の風味の乗りを感じさせます。酸はかみのやまのシャルドネとしては比較的控え目ですが、厚みを感じる丁度良いバランス感です。ゆったりとした果実味があり、やさしい旨味を感じさせるワインです。鯵とフルーツトマトの冷製カッペリーニと合わせると鯵の美味しさを存分に味わう事が出来ました。鯵の鯵らしい風味や旨味の広がりが、かみのやま シャルドネと出会う事で深みを増していました。かみのやま シャルドネは単体で試飲すると、一見シンプルな構造に見えるのですが、鯵と出会う事でワインとしての奥行や旨みの余韻が増していました。料理とワインの両方が上がる、幸せなマリアージュだと思いました。

3rd

サントリーフロムファーム かみのやま シャルドネ 

サントリーフロムファーム かみのやま シャルドネ

日本
ぶどう品種 シャルドネ

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