今回のレシピは、万願寺唐辛子にすり身を詰めたタイカレーです。このカレーは、鈴木都先生のオリジナルのタイ料理です。タイの人は、すり身が大好きです。丸くしたすり身はルークチンと言って、あちらこちらの屋台で串に刺したものを焼いて売っています。材料は豚肉や魚介、鶏、牛肉や牛筋など、いろんな種類があります。ルークチンを売っている屋台ではソーセージやフランクフルトも焼いて販売している事が多いです。テニスボールくらいの大きさの、ルークチン ヤックと言う巨大なルークチンも販売されています。直訳すると鬼練り物と言ったところでしょうか・・・。焼くだけではなく、素揚げにしたり、汁麺に入れたり、炒め物に入れたりもします。タイの人はルークチンが大好きなのです。魚介のすり身のルークチンの進化形がトートマンプラーかもしれません。トートマンプラーは魚のすり身にレッドカレーペーストや四角豆をスライスしたものを混ぜて揚げた、タイの代表的なおつまみですよね。タイで一番暑いのは4月のタイの旧正月の頃です。その時期だけの宮廷料理で、カオチェーと言う料理があります。冷製茶漬けのような料理なのですが、お茶ではなくジャスミンの花で香り付けされた氷水をかけて食べます。その料理の時にタイの大きな唐辛子や小玉ねぎに挽肉を詰めてから揚げたものを付け合わせるのです。都先生は、そのカオチェーの時のおかずからアイデアを得て、すり身を詰めた万願寺唐辛子をカレーに入れる事を思いついたそうです。レシピに表記してあるカレーペーストは、作りやすい分量で、2人前での必要量の倍の量です。残ったカレーペーストは冷凍すれば2ヶ月ほどは持ちますので、レッドカレー以外なら、野菜炒めや炒飯などに少し加えても美味しいですよ。
さて、この万願寺唐辛子にすり身を詰めたタイカレーにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはミオネット ヴァルドッビアーデネ DOCG プロセッコ スペリオーレ エクストラ ドライでした。今現在、世界で1番※1売れているスパークリングワインカテゴリーが「プロセッコ」です。スパークリングワインの世界では、シャンパンが年間3億本を販売していて、長らく絶対王者の座に君臨していました。それを2013年にプロセッコが逆転しました。そして、あれよあれよと言う内に5億本に達したのです。なんと直近20年間で15倍の本数になったのですよ。すごいですねぇ・・・。プロセッコはイタリアの特定エリア(2009年DOC認定)でつくられる、グレーラ種主体(85%以上)の軽やかでフルーティな味わいが特長のスパークリングワインのカテゴリーです。特定のエリアとはイタリア北部のヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア ジュリア州です。栽培総面積は約30,000haで、その面積の殆どはヴェネト州に位置しています。
グレーラ種は、以前は"プロセッコ"種と呼ばれていました。そうなんです、プロセッコは産地の名前でもあり、ぶどう品種の名前でもあったのです。20年くらい前からプロセッコのスパークリングワインが世界中で人気になり始め、ブラジルなどでも、プロセッコ種を植えてスパークリングワインをつくるようになりました。低価格のプロセッコの輸出攻勢に会い、イタリア政府は南米各国にプロセッコの名前を使わないように申し出ましたが、南米諸国からは「品種の名前を名乗って何が悪い!」と拒絶されました。イタリア政府は一計を案じました。プロセッコは、原産地だけの名前である事にして、ぶどう品種名は別名(シノニム)のグレーラにするように法律を変更したのです。こうする事で原産地を保護するマドリッド条約の批准国はプロセッコの名前を使う事が出来なくなったのです。ミオネットは1887年の創業で、最古のプロセッコメーカーの1つです。プロセッコの産地のど真ん中の心臓部分とも言えるヴァルドッビアーデネにワイナリーを構え、周辺の優秀なぶどう園から高品質なぶどうを調達する事が出来ます。ミオネットは古いだけでは無く、年間販売数量世界No.1 ※2 プロセッコブランドなのです。
ミオネット ヴァルドッビアーデネ DOCG プロセッコ スペリオーレ エクストラ ドライは、原産地呼称の最上格であるDOCG格付けのプロセッコです。ぶどう品種はグレーラ100%です。ヴァルドッビアーデネとコネリアーノのエリアは、2019年に「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」として世界遺産に登録されました。実際に畑に行くと、幾重にも丘が連なり、等高線に沿うように植えられた垣根栽培のグレーラが、こちらに迫ってくるかの様な迫力がありました。ミオネット ヴァルドッビアーデネ DOCG プロセッコ スペリオーレ エクストラ ドライは、かなり淡い色合いで、グラスの中を泡が連なるように立ち昇ってきます。青りんごのような爽やかな香り立ちと、アカシアの花を思わせる少し甘い香りが感じられます。口に含むときめ細かな泡が口の中に優しく広がります。良質なぶどう由来の芳醇さとプロセッコらしい軽やかさの絶妙なバランスが楽しめるスパークリングワインです。
万願寺唐辛子にすり身を詰めたタイカレーと合わせると、すり身を詰めた万願寺唐辛子の緑のニュアンスの爽やかな香りが際立ちます。
「ミオネットは、すり身の味を引き立たせますね」
「甘やかな香りはありますが、ワインとしての主張が強い方では無いですから、上手に、わき役を演じています」
「甘い香りが、ココナッツの強い香りとも良くマッチしています」
「結構辛いカレーソースですが、ミオネットのほんのりとした甘さが強い刺激を上手に鎮めてくれていますよね」
「プロセッコはスパークリングワインですから口中をすっきりとしてくれる力が強いのですが、カーの生姜風味が、さらにその洗い流し効果を高めてくれます」
「タイ料理とスパークリングワインって気分も上がりますよね」
タイのリゾート地に来て、バカンスを楽しんでいる雰囲気に浸れる、素敵なマリアージュです。皆様も是非、挑戦してみてください。市販のレッドカレーペーストを使うと簡単にできます。そしてその時にはミオネット ヴァルドッビアーデネ DOCG プロセッコ スペリオーレ エクストラ ドライでリゾート気分を満喫してくださいませ。
※1 IWSR2020 スパークリングワイン販売数量
※2 IWSR 2021 International Brandにおけるランキング