この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨン 

サントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨン

日本
ぶどう品種 カベルネ・ソーヴィニヨン

今回のレシピは、ポルペッテ(肉団子)のトマト煮です。ポルペッテ(Polpette)はポルペッタ(Polpetta)の複数形で、イタリア語で肉団子の事です。素材がお肉でなくても、団子の形の物も、ポルペッタと呼ぶ事があります。団子の大きさで呼び名が変わります。ポルペッタは、直径が4cmくらいのものが多いです。丁度、ピンポン玉くらいですね。拳大くらいの大きなものはポルペットーネ(polpettone)で、小さな団子はポルペッティーナ(polpettina)です。肉団子は、今や世界中で食べられています。起源は、古すぎてはっきりとは判りませんがペルシャ発祥説が有力です。肉団子は、中東ではキョフテやコーフテと呼ばれますが、これはペルシャ語の「叩いた」、「掻き混ぜた」を意味するクーフテが転じたものだと考えられています。ペルシャ帝国時代だとすると今から2500-2600年も昔の話ですね。東へ伝わり、インドやバングラデシュではコフタ(kofta)、西へ伝わりクロアチアではクフタ(ćufta)、ギリシャではケフテス(κεφτές 、keftés)と呼ばれています。1世紀に記されたアピキウスの料理書でも、挽肉料理は取り上げられています。肉を叩いて豚肉の網脂で包んだ料理です。アピキウスは、この料理名をエシショーメンタータ(esicia omentata)と呼んでいます。名前からはクーフテとの関連性を窺い知る事は出来ませんね。スペインでは肉団子の事をアルボンディガス(albóndigas)と呼びますが、この名前は、アラビア語のアルボナディ(al-bonâdiq البوناديك)から来ていると考えられ、イベリア半島がアラビア人に征服されている頃に持ち込まれた料理と推測されます。

さて、今回のポルペッテ(肉団子)のトマト煮ですが、肉は合い挽き肉を使いました。一緒に団子にするのは、干しぶどうを赤ワインで戻したものと乾煎りした松の実です。パルミジャーノチーズの擦り下ろしとナツメグを入れて良く捏ねます。フライパンか鍋で表面をしっかり焼き固めたら、赤ワインとトマトソースで煮込んでいきます。

さて、このポルペッタ(肉団子)のトマト煮にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、サントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨンでした。前回のレンコンのビーフサンドフライ バルサミコソースに続いての2連覇です。山形県は、さくらんぼや洋梨を始めとした果物が大変美味しい県です。上山市は、山形市の直ぐ南側に位置し、宮城県と山形県の間に聳えている蔵王の西側にあたります。盆地になっていて、昼夜の寒暖差があるので、果実が良く色付き、甘いうえに酸味がきちんと残って美味しいのです。かみのやま温泉駅から東南東に3㎞くらい行った小高い山の頂点に葉山神社があります。標高660mくらいの山ですが、蔵王は頂上が1841mもある大きな山塊です。葉山神社のある小山は、蔵王の山塊の西の端っこに位置します。このワインの原料ぶどうを供給してくださっている奈良崎園は、その小山の中腹の、南に向いた素晴らしい斜面にあるのです。葉山神社と言えば、上山には、あと、2つも葉山神社があるのです。駅の西側に1.5㎞くらい行った所に医王山 葉山神社と葉山神社があります。更にややこしい事に、山形県長井市白兎にも葉山神社があります。かみのやま温泉駅から直線距離で20㎞くらいしか離れていませんが、この葉山神社は、全国でも珍しく狛兎がお迎えしてくれる神社で、山形県で葉山神社を検索すると長井市の方が上位に表示されます。

奈良崎園の初代園主は、二代目園主の奈良崎洋一さんのお父さんの久吉(きゅうきち)さんで、ぶどう栽培の名手と言われた人です。現在は奈良崎洋一さんが、丁寧に丁寧に栽培してくださっています。今回、イチオシに選ばれた2021年ヴィンテージから、今までよりも、より一層収量を制限する取り組みをして頂きました。それは、このかみのやまの地から、世界に誇れる素晴らしいワインをつくる事を目指す為でした。その初めての取り組みの成果が、正にマリアージュ実験でイチオシに選ばれたサントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨン2021だったのでした。従来までは、新梢の元気さを見ながら、1本の枝に2房から1房、ぶどうを成らせるように剪定していただいていましたが、この年のカベルネ・ソーヴィニヨンは1新梢に1房を徹底してもらいました。サントリー向けのカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが植わっているところは、標高が360mから380mの所で、かなりの急斜面で、畑に降った雨は速やかに排水されます。360mの所に小道があって、その下は、少し斜面が緩やかになっています。2023年には、畑よりも上の山から流れ込む水を排除するための明渠を、標高380mの所にいれて頂きました。

サントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨンをグラスに注ぐと、例年のワインよりも色が、ずっと濃いです。ワイン的に表現するならば、濃い目のダークチェリーレッドという表現になると思います。紫の色素が多く、脚もしっかりと出ています。良く熟したダークチェリーやカシスを連想させる豊かな香りに、複雑さを与える樽からのヴァニラのタッチがあります。凝縮感がしっかりとあり、カベルネ・ソーヴィニヨンの良さであるがっちりとした骨格が感じられながらも、しなやかさもあります。上品で力強い味わいとなめらかで長い余韻を楽しめる赤ワインです。ポルペッテ(肉団子)のトマト煮の肉団子を齧って、かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨンのグラスを鼻に近づけると、合い挽き肉の香りとカベルネ・ソーヴィニヨンの香りとが共鳴し、肉の香りが強くなります。香りだけで、既にマリアージュが始まっているのが、良く判ります。ワインを口に含むと、表面が焼き固められて閉じ込められていた肉汁とワインとが渾然一体となります。

「ワインのスパイシーな香りと、黒胡椒やナツメグが、お互いを高めあっていますね」

「煎られた松の実の香ばしい風味とカベルネ・ソーヴィニヨンの樽のニュアンスも良く合いますね」

「干しぶどうって、味わいが強いのに、このかみのやまカベルネ・ソーヴィニヨンは楽々受け止めています」

「団子の中から旨味たっぷりの肉汁が出てきて、本当に楽しい料理ですね」

皆様も是非、ポルペッテ(肉団子)のトマト煮に挑戦してみてください。そしてサントリーフロムファーム かみのやま カベルネ・ソーヴィニヨンとの素晴らしいマリアージュをお楽しみください。

かみのやま温泉駅前にあるワインカーブで3/2(土)-3(日)の2日間14:30~15:30、サントネージュさんと合同で、ワインと料理とのマリアージュイベントを実施します。事前のお申込みが必要ですが、是非、遊びに来てください。

2位に選ばれたのは、カロ アルマ マルベックでした。ボデガス カロは、1998年創設、ボルドーのトップシャトーを擁するDBR(ドメーヌ バロン ド ロートシルト[ラフィット])社とアルゼンチンマルベックのパイオニアと称されるカテナ社のジョイントベンチャーです。DBRラフィット社は、ボルドー格付第1級のトップシャトー<シャトー ラフィット ロートシルト>をはじめ、世界のワイン銘醸地やその知見で探し当てた土地において、適地適品種による高品質なワイン造りを行っています。その品質の証としてラフィットグループのワインには、ロートシルト家の5本の矢のロゴとキャップシールに黄色いラインがあしらわれています。「ボデガス カテナ社」は、1902年創設です。1980年代に高級カリフォルニアワインが世界で成功・発展した事に刺激を受け、「アルゼンチンでも、世界に認められる最高のワインを造る」ことを目指し、高級ワイン造りに取り掛かりました。世界各地で行われたブラインドテイスティングで1位、2位に入る快挙を果たし、世界にカテナの名が知れ渡りました。カテナ社の3代目当主ニコラス・カテナ氏は、アルゼンチンワインの世界的向上の功績を認められ、英国Decanter(デカンター)紙の「マン オブ ザ イヤー2009」に選ばれました、これは当時南半球からは、初めての選出という快挙でした。「カロ」は「カテナ社」の「CA」とロートシルト家の頭文字「RO」を合わせて生まれた名前です。エリック男爵の夫人がイタリア人であることから、「愛しい人」というイタリア語にも訳されるこの言葉が選ばれたそうです。「CA」が「RO」よりも前にきているのもアルゼンチンに敬意を評しているからとのことです。「ボデガス カテナ社」が所有している畑のほか、優良な栽培家と契約。標高の異なる8つの畑の中から毎年優れた区画を選び醸造します。高地では空気が薄いので強い紫外線がぶどうに当たります。その事により、黒ぶどうは、自分自身を紫外線から守るためにポリフェノールの含有を高めるそうです。その結果、色の濃い果実となるのです。メンドーサは標高が高く、偏西風がアンデスを超える時にフェーン現象が起こり空気が乾燥しているため、除草剤や殺虫剤に頼る必要がないとされています。

自然で豊かな香り立ち、ブルーベリーを思わせる香りとスパイスを連想させる香りがあります。心地良い果実の凝縮感とラフィットらしいエレガントさがある、フルボディのワインです。ポルペッテと合わせると、合い挽き肉の脂の旨味と良く調和しています。ナツメグの香り立ちとアルマのスパイシーなニュアンスとが良くマッチした、安心して楽しめるマリアージュでした。

2nd

カロ アルマ マルベック 

カロ アルマ マルベック

アルゼンチン
ぶどう品種 マルベック

3位に選ばれたのは、ローラン・ペリエ ロゼでした。ローラン・ペリエ社は世界第5位の規模でありながら、ノナンクール家の家族経営のもと、独創的なラインナップを持つシャンパンメゾンです。1位から3位が通常の企業ですので、家族経営世界としては1位なのです。ローラン・ペリエ ロゼは1968年に発売されました。フランスでは、ロゼのスティルワインをつくるときに赤ワインと白ワインを混ぜ合わせて作ることは法律で禁止されています。ワインで、赤ワインと白ワインを混ぜ合わせて作ることが認められているのはシャンパンだけなのです。それは、フランスの10ある銘醸地で、シャンパーニュ地方が最も北にあり、黒ぶどうが色付くのに、ヴィンテージの差が大きく、安定してロゼの色を出すのが難しいために特別に許されているのです。故ノナンクール会長の信念は「お客様に最高の美味しさのシャンパンを楽しんで貰う事」でした。会長は「スティルワインで赤ワインと白ワインを混ぜ合わせ方法が認められないのは、普通のロゼワインの作り方である、発酵途中まで、果皮を浸漬して作るマセレーション法よりも、赤ワインと白ワインを混ぜ合わせる方法の方が美味しく無いからだ。だったらローラン・ペリエのロゼシャンパンはマセレーション法で作ろう」と決意しました。美しい色合いで、美味しいロゼを安定的に醸すことは、非常に困難でした。1968年にやっと、満足のゆくロゼが出来て、ようやく発売されたのです。

ピノ・ノワール100%で、瓶内発酵後の熟成期間は60ヶ月です。グラスを鼻に近づけると、赤いベリーの香りが豊かに立ち昇ります。口に含むと、フレッシュな赤いサクランボ、イチゴ、カシスラズベリーをまとめて口に放り込んで、ぎゅっと噛んだ時のような、生き生きとした果実感が口いっぱいに広がります。ふくらみのある充実感とさわやかな酸のバランスも素晴らしく、じつに余韻の長いシャンパンです。ポルペッテと合わせると、トマトソースと物凄く良く合っています。肉団子の表面をしっかりと焼いた焦げたタッチとロゼシャンパンのトースティーなニュアンスとが楽しい、心がウキウキするような素敵なマリアージュでした。

3rd

ローラン・ペリエ ロゼ 

ローラン・ペリエ ロゼ

フランス
ぶどう品種 ピノ・ノワール

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