この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム 高山村シャルドネ 

サントリーフロムファーム 高山村シャルドネ

日本
ぶどう品種 シャルドネ

今回のレシピは、白菜オーブン包み焼きです。タイ料理の大家である鈴木都先生のオリジナルレシピです。都先生によると「元々は、1/4切の白菜の葉の所々に、小さくちぎったアンチョビを置いてからオーブンで焼いた料理でした。それはそれで評判の良い料理だったのです。でも、塩気をもっと満遍なく感じる方が美味しいのでは?もう少し、どこか改良できる点があるのでは??と思っていました。いろいろ試行錯誤するなかで、そうだ!ナンプラーは鰯の塩漬けの上澄みだ!! と思いつき、ナンプラーを使ってみたら手軽で、大変美味しく出来ました」との事です。

白菜の学名はブラッシカ ラパBrassica rapa var. glabra 'Pe-tsai'で、アブラナ科アブラナ属の二年生植物です。日本の白菜は結球しますが、ブラッシカ ラパの仲間には結球しないものが多く含まれています。結球する白菜は中国が原産地ですが、結球しないものも含めたブラッシカ ラパの原産地は地中海と考えられています。広い意味のブラッシカ ラパには、タアサイ、青梗菜、パクチョイ、ミブナ、ナタネなどが含まれます。清水桂一の「たべもの語源辞典」によると、白菜の名前は中国語の白菜(パイツァイ)をそのまま持ってきて日本語読みしたものです。日本に結球型が渡来したのは明治8年(1875年)に、清から東京博物館に3株持って来られた記録が初めてです。非結球型は江戸時代後期から何度か渡来しています。種を植えた初年度はちゃんと出来るのですが、翌年、その結実した種を植えると、同じものにならないのです。これはブラッシカ ラパが、非常に交雑性が高い性質を持っている為、他のアブラナの仲間の花粉で受精し交雑してしまった種子になる為と考えられています。板倉聖宣の「白菜のなぞ」によると、明治中期の日清戦争(1894 - 1895年)で、日本兵は清国東北部で見事に結球した白い白菜を見て、軍糧にして、その美味しさを知ったそうです。そして、その種を持ち帰って栽培するようになりました。愛知栽培所の白菜が天皇に献上されたり、白菜は日本人に知られるようにはなったようですが、何代か栽培すると、結球しなくなる現象には、悩まされ続けました。日本で白菜の継続栽培に初めて成功したのは、宮城農学校と伊達家養種園の連合軍です。沼倉吉兵衛と菅野鉱次郎は白菜が徐々に結球しなくなるのは、他のアブラナ科の花粉が原因と考え、松島湾の馬放島のすべてのアブラナ科の植物を根絶やしにして、ちゃんと結球する白菜の種を安定的に採取する事に成功しました。大正3年(1914年)に出版された香月喜六の「結球白菜」には「結球する白菜を栽培するためには本場の清国からの輸入が必須」と書かれていましたが、沼倉と菅野の努力によって、大正5年には自力で結球する白菜の種を供給出来るようになりました。品種名は松島白菜と名付け、その後仙台白菜の商品名で出荷されるようになりました。農水省の令和4年産野菜(41 品目)の年間計収穫量をみると、白菜は41 品目中、馬鈴薯、キャベツ、玉ねぎ、大根に次ぐ5位です。でも昭和50年代は各家庭でも白菜漬けを作っていたせいか判りませんが「東京青果市場に入荷する野菜の中の第1位」だったそうです。

さて、今回はその白菜が主役の白菜オーブン包み焼きです。白菜をアルミホイルに置いて、葉を1枚1枚めくりながら、少しずつまんべんなくナンプラーをふりかけます。粗挽き黒胡椒、オリーブオイルも上からかけてアルミホイルで白菜を包んで焼きます。オーブンの温度は170℃、時間は40分ほどです。葉っぱが少し焦げているくらいが丁度です。

さて、この白菜オーブン包み焼きにテイスティングメンバーが選んだイチオシは、サントリーフロムファーム 高山村 シャルドネ 2021でした。サントリーでは、2022年の9月に日本ワインのブランドを一新しました。新しいブランド名はSUNTORY FROM FARMで、ブランドのテーマは「畑からぶどうづくりと向き合うサントリーの産地が見える、つくり手が見えるワイン」です。副題として「水と、土と、人と」を掲げています。「水と土」は、私たちの国の気候風土のこと、そして「人」は、その風土と共に生きる人の技と愛情のことです。FROM FARMのワインは、日本の自然から命をいただき、知恵を授けられ、日本の魅力を見事に手にしたワインたちを目指しています。これからの豊かさを語る存在となって、世界に届けるワインになっていきます。高山村は長野県の北信地区に位置します。このエリアは、もともとりんご産地として知られていますが、近年は村をあげてぶどう栽培にも精力的に取り組んでいます。降水量が少なく、昼夜の寒暖差が大きく、水はけのよい土壌はシャルドネづくりに最適なのです。高山村では18年くらい前からずっとサントリー向けにシャルドネなどを育ててくださっている農家さんがいらっしゃいます。大内さん、篠原さん、涌井さん、佐藤さん、宮川さんや22ワインぶどう会の皆さんです。畑の標高は、涌井さんの神明下園の490mから大内さんの福井原2園の730mまで様々な高さにあります。高山村はワイン特区をとったり、高山村を冠したワイナリーも出来たりで、日本ワインファンの方々には、少しずつ知名度も上がってきました。今日の高山村シャルドネは2021年ヴィンテージなのですが、この年は高山村シャルドネが新たな高みに挑戦し始めた記念すべき年なのです。この最初の農家の皆さんとの打合せ会で、私共から「高山村シャルドネで、サントリーの白ワインのフラッグシップをつくりたい!そして日本一の白ワインになりたい」とお話をさせて頂いたら、農家の皆さんも「よし!やろう!!」と乗り気になってくださいました。従来からも、ぶどうの単位面積当たりの収量は少なくする設計にはしていたのですが、更なる収量制限に取り組んでもらう為に「1新梢に1房」を徹底して頂きました。その成果が今回のイチオシワインになったサントリーフロムファーム 高山村シャルドネ2021です。2021年は少し遅い萌芽、お盆の頃の前線の停滞と、気温低下の影響を受けて若干生育が遅れ気味ではありました。9月に入り冷涼な好天により、酸の低下が緩やかで、糖度は順調に上がりました。この高山村シャルドネになったぶどうで言うと、収穫は10月の頭の佐藤さんの畑から始まり、涌井さんの裏原園、篠原園、大内さんの福井原2園と続き大内さんの福井原1園が10月19日で最後でした。樽醗酵からそのまま樽熟成した原酒が半分、タンク発酵からタンク熟成のものが半分です。樽を使用した物の60%が新樽で約5か月の熟成でした。

グラスに注ぐと、淡いレモンイエローです。脚は、少し強めです。グラスからは、心地良い香りがしてきます。ミラベルや程よく追熟された洋梨などの果実を連想させる黄色く甘い果実の香りに、そこをキュッと引き締める爽やかな柑橘のタッチがあります。穏やかに複雑さを与える樽熟成由来のトーストのアクセントも感じられます。果実の熟度の高さを感じる膨らみのあるボディ感と、それに負けない引き締まった芯のある酸味を持った、良年の高山村らしい充実感のある味わい。力を感じる辛口シャルドネです。

白菜オーブン包み焼きのお皿からは、火の通った白菜の香ばしい香りとナンプラーの良い香りがしてきます。

口に運ぶと!白菜が甘いです!!

その白菜の甘さとはタイプの異なる高山村シャルドネの果実が素直に完熟した事を思わせる甘やかさが包み込みます。

「今年の2月に松本のヒカリヤニシの田邉シェフの地元野菜の料理と高山村シャルドネとの相性の良さに驚いた記憶が甦ります」

「今年、農水省の料理マスターズに選ばれた田邉真宏シェフですね」

「樽熟もしたリッチなシャルドネの活躍場所と考えると、バターや生クリームを使った魚料理や甲殻類の味噌が効いた濃厚な料理と思いがちですが、繊細な野菜料理と高山村シャルドネがこんなに合うのは驚きです」

「高山村シャルドネのもつ素直さ、きちんと完熟していればこその充実感が素朴な野菜料理とも共鳴するのでしょうね」

「大きな白菜の1/4を焼きましたから、持て余すのでは?と心配しましたが、あっという間に無くなりましたね」

皆様も是非、白菜オーブン包み焼きに挑戦してみてください。1/4を焼きますから、出来上がりも、なかなかの迫力です。そしてこの料理はオーブンに放り込んでおけば出来てしまうお助け料理でもあります。自宅にお客さまをお招きするときなど、準備に忙しい場面の1品として、とても助かる料理なのです。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 津軽スパークリングワインでした。サントリーでは、津軽の地で栽培されたぶどうから、世界に伍するスパークリングワインをつくろうと2017年ヴィンテージから取り組んでまいりました。登美の丘の醸造家の吉野弘道は「10年かけて日本最高峰の瓶内二次醗酵スパークリングワインをつくりたい。津軽という産地は、フランスのシャンパーニュ地方に似た気候で、シャルドネ、ピノ・ノワールも栽培されている。今後この産地で、日本の中でもトップクラスの瓶内二次醗酵スパークリングが作れるのではないか?

津軽という産地を想わせる、りんごのような甘さと酸、爽やかでゆったりとした果実感・・・・。

これは、シャンパーニュの様な緊張感のある酸とは違った、日本らしいニュアンスなのではないか?」と試行錯誤を繰り返してきました。

2020年ヴィンテージは6月下旬から繰り返し雨が降り、曇りがちでぐずついた天候でした。夏の天候回復を期待したのですが、天候不順は8月上旬まで続き、ぶどうは完璧に健全とは言えない状態でした。でも吉野は糖酸バランスにこだわり、生き生きとした酸が豊かにある時期に収穫したぶどうの爽やかな果実味を活かすため、瓶内二次醗酵させ、その後24ケ月の間、澱と一緒に熟成させました。 吉野の工夫が評価されたのか、2020年ヴィンテージの津軽スパークリングワインは、今年の日本ワインコンクールでスパークリングワイン部門最高賞に輝いたのです。でも実は、スパークリングワイン部門最高賞の2020年ヴィンテージにはお兄ちゃんがいるのです。良いヴィンテージに恵まれた2019年ヴィンテージです。2020年よりも長く、36ケ月の間、瓶内二次醗酵させその後、澱と一緒に熟成させました。一回り以上ボディが大きく、長熟によるエレガントさも纏った津軽スパークリングワインに仕上がりました。 白菜オーブン包み焼きと合わせると、津軽スパークリングワインを口に含んだ瞬間に白菜の香りが鼻腔に広がります。ナンプラーの良い香りも白菜単体で食べた時よりも、ワインを合わせて飲んだ時の方が、より香ばしく感じました。この白菜オーブン包み焼きは、酸味がかなり低めの料理です。その少ない酸を津軽スパークリングワインが補う事で甘味、塩味、苦味、旨味と酸味のバランスが取れているんだなぁと感じました。美味の法則の「補完」関係、「五味の中の何かの要素が少ないときに、その要素を足してあげる事が出来るワインが美味しく感じるワインである」が成立しているんだなぁと思いました。

2nd

サントリーフロムファーム 津軽シャルドネ&ピノ・ノワールスパークリング 

サントリーフロムファーム 津軽シャルドネ&ピノ・ノワールスパークリング

日本
ぶどう品種 シャルドネ、ピノ・ノワール

3位に選ばれたのはサントリーフロムファーム 登美の丘 甲州でした。登美の丘ワイナリーの黒ぶどうの主力がプティ・ヴェルドに変わっていったように、白ぶどうの主力はシャルドネから甲州に変わっていっています。サントリーでは登美の丘だけではなく、長野県の立科や山梨県の豊富や山梨県甲斐市宇津谷、中央市の豊富、南アルプス市中野など、異なる気象条件や土壌の場所で様々な特徴を持つ甲州を栽培しています。2023年の6月にイギリスの有名なワイン雑誌のデキャンタが主催するデキャンタワールドワインアワーズ2023でサントリーフロムファーム 登美の丘 甲州2021が栄えあるプラチナ賞、ワインのみらいの立科町甲州冷涼地育ち2021が金賞、サントリーフロムファーム甲州日本の白2020が銀賞という素晴らしい結果でした。プラチナ賞は日本勢では、登美の丘甲州だけが受賞したんですよ!

白菜オーブン包み焼きと合わせると、甲州の自然な旨みが広がりました。日本の甲州でつくったワインには、どこか酒粕を連想させるような発酵臭がある事があります。ナンプラーの発酵のニュアンスと共鳴しているのでしょうか、甲州の旨味が爆発するような、素晴らしいマリアージュでした。

3rd

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州 

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州

日本
ぶどう品種 甲州

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