この料理に合うワイン

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1st

タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソ 

タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソ

イタリア
ぶどう品種 ネロ・ダヴォラ、シラー、メルロ

今回のレシピは、フェンネルといわしのパスタです。シチリアの伝統的なパスタで、パスタ コン レ サルデ(Pasta con le sarde)と呼ばれています。シチリアでは、約1200年の歴史があるとされている伝統料理です。イタリアの農業食品林業政策省が発行している伝統料理のリストにも入っている由緒正しき料理なのですよ。モンテ物産でイタリア駐在を長くされていた方の情報によると、使用されるパスタは、太めのロングパスタが殆どで、なかでもシチリア生まれのブカティーニが使われる事が圧倒的に多いそうです。ショートパスタで、同じくシチリア生まれのカザレッチェは、このパスタに関しては、時たま見かける程度だそうです。料理のポイントはフィノッキオ(フェンネル)の葉も使う事です。地元の方で、このパスタ コン レ サルデにこだわる方に言わせると「パスタ コン レ サルデに使うフィノッキオは、Finocchietto selvaticoでなきゃ、本物じゃ無い!」との事なのですが、Finocchietto selvaticoはイタリアでも、ほぼシチリアでしか売られていないレアキャラのとても珍しいフィノッキオなので、今回は普通のフィノッキオ(フェンネル)を使います。フィノッキオは、和名はウイキョウで漢字で書くと茴香です。セリ科のウイキョウ属の植物で、葉っぱは、ディルやアスパラガスの成長した葉のように、細く、糸状にツンツンした形になっています。根元に近い部分はセロリの様な形で、それが集まって、扁平な麟茎を形作っています、茎の部分は繊維が強いので、繊維を断ち切るように薄く切る事が多いです。それでも繊維が気になる方は、表面をピーラーで剥くと良いですよ。フィノッキオ(フェンネル)は今ぐらいの季節が旬だと言われています。先にパスタを茹でるお湯で葉っぱのほうを茹でて取り上げ、その茹で汁でパスタを茹でます。また、このフェンネルといわしのパスタの必須食材としてはサフラン、松の実、レーズンが重要な役目を果たします。更に大きなポイントは、最後に煎ったパン粉をたっぷりと振りかける事です。

ニンニクを炒めたオリーブオイルで玉ねぎ、フェンネルの茎の部分、アンチョビを加えて、玉ねぎが透き通るまで炒めます。干しブドウ、松の実も加えてさっと炒め合わせ、白ワイン、サフランを加えていわしを入れて、火を入れながら突き崩していきます。塩で味を調え、全体がなじんだら茹で上がったパスタ、フェンネルの葉の部分を加え合わせます。お皿に盛って煎ったパン粉を盛大に振りかけたら出来上がりです。

マリアージュ実験のときには、パスタは太めのパスタで撮影・実験をしました。定番はブカティーニなのですが、大きなスーパー程度では、ブカティーニの取り扱いが無い事が多く、イタリア食材に特に強い店か、ネットでないと手に入り辛いからです。ブカティーニは中空の太いパスタなので、お湯にいれてもなかなか曲がりません。かなり大きめの鍋か寸胴でないと均一に茹でるのが難しいです。ル・クルーゼのココット・ロンドのような、ブカティーニを寝かせて茹でる事が出来る大きさの鍋が一番使い易いかもしれません。

さて、このフェンネルといわしのパスタにテイスティングメンバーが選んだイチオシは、タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソでした。タヴェルネッロは1983年発売されて40年間、愛され続けている国民的ワインブランドです。伝統があるだけでなく、現在においてもイタリア国内でのワイン販売量がNo.1※1のトップブランドなのです。タヴェルネッロの言葉の意味は「小さな居酒屋」です。イタリアのみならず、世界各国にも輸出されており、イタリアワインブランドで販売量世界No.1!※2と、世界中で親しまれているイタリアワインなのです。

タヴェルネッロを醸しているカヴィロ社は、循環型でのワインづくりにいち早く取り組んだ企業です。2020年には、世界基準の循環型エコノミーという評価の高いエクオリタス(サステナブル認証)を取得しています。このIGT テッレ シチリアーネは、EUオーガニック認証であるユーロリーフに承認されたぶどうを使用しています。品種はネロ・ダヴォラとシラー、メルロです。ネーロ・ダヴォラ(Nero d’Avola)はシチリアの土着ぶどうで、言葉の意味はアヴォラの黒、つまりシチリア島の南東部のアヴォラ村にあった色の濃いぶどうという意味です。

グラスに注ぐと、やや濃い印象のラズベリーレッドです。赤いベリーやブルーベリーを思わせる香りが豊かで、菫やアイリスの花の印象やスパイシーなタッチもあります。スワリング(グラスを回してワインと空気を触れさせる)すると濃厚さが出てきます。ラズベリーのコンポートのような甘やかな香りも立ってきます。口に含むと軽やなアタックの後に、果実がギュッと詰まった凝縮感があり、爽やかな酸味もありバランスがとれています。ミディアムボディで、タンニンは控えめな飲み心地の良いワインです。パスタのいわしにぴったりと寄り添います。

「口の中に広がる赤い果実味といわしが、こんなにも相性が良いとは思っていませんでした」

「パリパリのパン粉のクリスプな食感が楽しいですね」

フェンネルの葉からはアニス的なウイキョウの香りが漂ってきます。このウイキョウのハーブ香とタヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソのちょっとスパイシーな香りとが混然一体となります。

「いわしの独特な風味とちょっと焦げたパン粉とオリーブオイルが穏やかに纏まっています。そこにオルガニコを合わせると、ふわっと香り立って、今までに無い美味しさを感じました」

フェンネルの茎を噛むとアニス的なウイキョウの香りが更に強まります。松の実のカリカリとした食感とすこし樹脂っぽいコクが地中海沿岸のハーブの茂みであるガリグー的な雰囲気を高めます。地中海に浮かぶ島であるシチリアでバカンスを楽しんでいるような素敵なマリアージュでした。

※1シンフォニーIRIグループ 2021年12月報告データ(イタリアスーパーマーケット 100平方m以上の規模における)
※2 The IMPACT DATABANK 2021 EDITION  に基づく

2位に選ばれたのは、マテウス ロゼでした。今年は、マテウス ロゼをサントリーが輸入し始めてから丁度50年です。当時、まだ本格的な辛口ワインには、なかなか馴染めなかった日本人に、「ワインって美味しい♪」と感じさせてくれたのが、この、ほんのり甘酸っぱいマテウス ロゼやドイツのマドンナなのです。ぶどう品種はバーガなどのポルトガル原産品種です。味わいは、かつてよりもずっと甘さ控え目になっています。マテウス ロゼとフェンネルといわしのパスタを合わせていて、特に美味しいなぁと思える瞬間はレーズンを噛んだ時です。レーズンからの甘酸っぱさが口中に広がると、ちょっと驚くくらいマテウス ロゼとの相性が良くなりました。

2nd

マテウス ロゼ 

マテウス ロゼ

ポルトガル
ぶどう品種 バーガ、その他

3位に選ばれたのは、ワインのみらい 立科町甲州、「ワインのみらい」シリーズのワインでした。「ワインのみらい」シリーズは昨年ブランド一新したサントリーの日本ワイン「フロムファーム」の4つあるシリーズの1つです。「お客さまにわくわくしてほしい!そのためには、自分たちつくり手自身がわくわくするワインをつくろう!」という思いで始まったシリーズです。

長野県立科町は、冬は極寒の冷涼地です。夏は酷暑になる山梨の甲州とは気象条件が違います。マリアージュ実験の時の、立科町甲州はシトラス系の印象のある香がすっと立ち昇りました。通常、甲州種は熟度を求めると、柑橘系の香りを引き起こす匂い物質が減少するのですが、立科の甲州で造ったワインには、異なるタイプの爽やかな柑橘系のフレーバーがありました。また、口に含むとキレのある酸が、とても豊かでした。

フェンネルといわしのパスタを合わせると、甲州がとても爽やかで、キラキラと輝く印象でした。フェンネルのウイキョウ的な風味ともとても良く合っていました。この、立科町甲州は、先日発表されたばかりのデカンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA:Decanter World Wine Awards)で金賞を頂戴いたしました。是非、お試しくださいませ。

3rd

サントリーフロムファーム ワインのみらい 立科町 甲州 冷涼地育ち  

サントリーフロムファーム ワインのみらい 立科町 甲州 冷涼地育ち

日本
ぶどう品種 甲州

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