この料理に合うワイン

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1st

ボッラ ソアーヴェ クラッシコ ※終売しました。

ボッラ ソアーヴェ クラッシコ
※終売しました。

イタリア
ぶどう品種 ガルガネガ、トレッビアーノ

今回のレシピは、キエフ風チキンカツ(キーウ チキン)です。キエフはウクライナの首都のキーウのロシア語での発音ですので、本来であればキーウ チキンと表記すべきだとは思いましたが、日本で古くからキエフチキンの名前で親しまれてきた料理ですので、正しくキーウと表記すると「キエフ チキンとは違う料理だ」と勘違いされる方もいらっしゃるのではないか?と思いキエフを先に表記しました。日本で、現存するロシア料理の店が開店したのは、かなり古く、1951年の春に渋谷でロゴスキーが開店したのが最初だと言われています。1965年には神保町のサラファンも開店しているのですが、この両店のメニューにはキエフ チキンが掲載されています。キエフ チキンは、叩いて薄く広げた鶏の胸肉にバターやチーズなどを巻いてパン粉を付けて揚げた料理です。この料理のルーツは、ポクロブキンに拠ると「1912年にサンクトペテルブルクで生まれた料理である」と記していますが、ポクロブキンの著述しているキエフチキンレシピの内容が、現代のキエフ チキンと大分異なるので、同一の料理かどうか、定かではないようです。1915年のモスクワの「主婦のジャーナル」は、バターを鶏の胸肉で包んで揚げる現代のキエフ チキンとほぼ同一のレシピを「鶏肉または仔牛肉のキエフ風カツレツ」として紹介しています。どうやら、これが現代風のキエフ チキンが書籍に記された最初のようです。ウクライナのネットでキーウ チキンを検索すると胸肉にぴょこん手羽元の骨がくっついて、その骨を持って食べるように仕上げている写真が多くありました。本場キーウのキーウ チキンは、骨の付いたその形が定番のようで、手羽元の骨には白い「チャップ花」が飾られています。チャップ花はクリスマス定番料理である鶏腿肉のローストに付けられる骨飾りの紙の事で、チャップはchapletで花の冠という意味です。

キーウの街にはあちらこちらに小さなブロンズ像が飾られているそうです。Shukaiプロジェクトというプロジェクトで2018年から小さなブロンズ像の設置が始まりました。Shukaiプロジェクトとは、小さなブロンズ像でキーウの歴史を語ろう、というプロジェクト、で2018年から37体設置されています。一番最初に設置されたグループのうちの1体が、なんとセルゲイ・ガレンコ製作の「キーウ チキン」でキーウのオリンピスキスタジアムの傍の公園にあるそうです。

キーウでは骨付きが定番のようなのですが、日本では胸肉に手羽元がくっついた状態で販売される事は、ほぼありません。その状態の胸肉を手に入れようとすると、丸鶏を自分で捌かなくてならず、ちょっと面倒です。なので今回のレシピでは、普通に売られている胸肉を使いました。

さて、このキーウ チキンにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、ボッラ ソアーヴェ クラッシコでした。ボッラ社は1883年にアデレ・ボッラ氏により創業しました。当時素朴な地酒であったソアーヴェの白ワインの品質を磨き上げました。アデレの長男ジョルジオは優れた醸造家で優れたマーケッターでもありました。彼はいち早くアメリカ市場に目を付け、「イタリアワインスの白ならソアーヴェ、それもボッラのソアーヴェ」というイメージ作りに成功しました。現在、ボッラは、ヴァルポリチェッラ クラシコ、ソアーヴェ地域、ガルダ湖地域に300haを超えるぶどう畑を所有しています。ボッラは、2006年からグルッポ イタリアーノ ヴィーニの一員となりました。グルッポ イタリアーノ ヴィーニは15もの老舗ブランドを抱えるグループです。グループの中には1705年創業のキャンティのメリーニや1520年創業のコッリオのフォルメンティーニもあります。

ボッラ ソアーヴェ クラッシコのぶどう品種はガルガネガとトレッビアーノ ディ ソアーヴェです。グラスからは、爽やかな柑橘と白い花のような甘い香りが立ってきます。口に含むと辛口でフレッシュな酸を感じます。軽やかでフルーティ、すっきりとした後口の白ワインです。キーウ チキンにナイフをいれると、とろりとバターが流れ出します。レモンを絞り、溶け出てきたバターを絡めてソアーヴェと合わせると、レモンの香りが引き立つのが判ります。程良く火が通った胸肉の肉汁とソアーヴェが絶妙にバランスしています。

「鶏の胸肉って、焼くとぱさぱさになりがちですがしっとりしていますね」

「胸肉でバターを包み込んで揚げていますからね、バターが肉にジューシーさを与えています」

「ソアーヴェと鶏って、良く合うんですね。ソアーヴェは、イタリアの白ワインで最も知名度が高いワインのひとつじゃないですか?今まで、なんとなく魚介と合わせてばかりいました」

「実は、ソアーヴェのエリアの人々は肉が大好きなんです。鶏、豚、牛肉、馬肉、ロバにウサギ、何でも大好きです。逆に海の魚はあまり食べません。フィレンツェから100km以上も離れている事もあり、またガルダ湖が近い事もあって、魚と言えば鱒などの川魚が多いです。なので、ソアーヴェは鶏や豚などの白身の肉の方が、より美味しく楽しめたりするんですよ」

「だから、こんなに鶏とソアーヴェがしっくり来るのですね」

皆様も是非、キーウチキンにトライしてみてください。そして、ボッラ ソアーヴェ クラッシコとの抜群の相性をお楽しみくださいませ。

2位に選ばれたのは、ル オー メドック ド ラグランジュでした。ル オー メドック ド ラグランジュを醸しているのはシャトー ラグランジュ、1855年に実施されたメドック格付けで3級に選ばれたシャトーです。シャトー ラグランジュは17世紀のワイン地図には、現在の位置にラ グランジュとして掲載されている歴史あるシャトーです。19世紀半ばルイ・フィリップ朝で内務大臣を務めたデュシャテル伯爵が所有者となり、生産量は大幅に増加しました。1855年パリ万博を機に制定された公式な格付けで「グランクリュ3級」に格付けされました。その後、所有者は変わり品質が低下した時期もありましたが、1983年、サントリーが経営を引き継ぎました。
ここ10年くらいの間に、ボルドーの高級ワインの価格は、一気に高騰してしまいました。あっという間に、ボルドーの一流ワイン達は、ごく一部の消費者にしか手の届かないものになってしまったのでした。そこで、「もっと気軽に食卓で飲んでもらえるボルドー」を目指して、シャトー ラグランジュはサンジュリアン村の隣のサンローラン村(16.3ha)と、キュサック村(3.2ha)に新たに畑を取得し、2012年に1stヴィンテージのル オー メドック ド ラグランジュをリリースしました。平均樹齢約30年の畑から収穫したぶどうを、ラグランジュチームが醸造、フレンチオーク樽で14ヶ月熟成させたワインは果実味に富み、エレガントな味わいです。キーウ チキンと合わせるとバターで強化された鶏肉の旨みとル オー メドック ド ラグランジュのボディ感とが丁度良くバランスしていました。衣のカリッとした香ばしさとル オー メドック ド ラグランジュのフレンチオークのニュアンスも旨く調和していました。

2nd

ル オー メドック ド ラグランジュ ※終売しました。

ル オー メドック ド ラグランジュ
※終売しました。

フランス
ぶどう品種 カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ

3位に選ばれたのは、ウイリアム フェーブル シャブリでした。揚げたて熱々のキーウチキンを齧って、シャブリを一口飲むと、カツにレモンなどの柑橘を絞り掛けたような爽やかさが広がりました。テイスティングメンバーの一人が「鶏の胸肉が、シャブリと合わせると、一瞬、極上の白身魚の揚げ物を食べている錯覚に陥りました」という話を聞いた時に、ウクライナでは鶏の胸肉の替わりに白身魚を使うバージョンも良く食べられているという話を思い出しました。一度、白身魚でバターを巻いて揚げてシャブリと併せたいなぁ…と思いました。

3rd

ウィリアム フェーブル シャブリ 

ウィリアム フェーブル シャブリ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

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