今回のレシピは、鯖のカリカリソテー オリーブとケイパーとレーズンのソースです。サバはスズキ目サバ亜目サバ科サバ族に分類される、いくつかの魚の総称で、一般的に、日本では、サバ族サバ属のマサバとゴマサバと、サバ族グルクマ属のグルクマ、それとサワラ族 ニジョウサバ属 のニジョウサバの4つを鯖と呼んでいます。もうひとつ、日本近海では獲れないのですが、日本の食卓に良く登場するのが、サバ属のタイセイヨウマサバです。タイセイヨウマサバはノルウェー鯖とも呼ばれます。世界の鯖の漁獲量では、タイセイヨウマサバが6割くらいを占めています。FAOの国別漁獲2020年のサバの統計を見ると、1位は中国の39万トン、2位は日本で38万トン、3位はロシアで24万トンです。ちなみにノルウェーは5位で21万トンです。日本は、年度が違うので、単純に率は計算できないのですが、2018年度で25万トンを輸出しています。同じ2018年の輸入が7万トンなので、日本は鯖に関しては輸出の方がずっと多い国なのです。主な輸出先は西アフリカで、日本製の鯖缶が国民食になっている国もあるようです。2021年度の農水省の統計を見ると、鯖は2018年までは、魚種別のトップでした。2019年に、このところ北海道を中心に漁獲量を回復している真鰯に首位の座を明け渡しました。国内の都道府県別漁獲量は、1位茨城県で7.4万トン、2位は長崎県の7.1万トンで、トップ2は時々入れ替わります。その後は静岡県、三重県、北海道と続きます。今回は、この鯖をソテーにします。ソースはオリーブとケイパーとレーズンのソースです。ケイパーはケッパーとも呼ばれます。フウチョウボク科の背丈の低い木です。食べるところは、蕾を早取りにしたものですが、塩蔵か酢漬けにして売られています。今回のレシピは鯖の皮目がパリッと焼けた方が美味しいので、日本のマサバの方が美味しく出来る気がします。タイセイヨウマサバは、和牛の様に筋肉に脂がサシの様に入りますが、日本のマサバは皮の真下に厚く脂が乗るからです。鯖は塩をして15分くらい置いて、小麦粉を振って皮目からソテーします。ソースですが、レーズンを白ワインに5分ほど浸して柔らかくします。ケイパーは塩蔵なら水で戻し、酢漬けなら水分を切ります。グリーンオリーブは粗みじん切りに、セロリは薄切りにします。フライパンにバターを熱し、オリーブ、セロリを炒めて、セロリが少ししんなりしたらケイパー、レーズンをワインごと加えます。さっと煮立たせ、生クリームも加え、塩、こしょうを加えてとろりとするまで煮詰めたらソースの出来上がりです。
この鯖のカリカリソテー オリーブとケイパーとレーズンのソースにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、サントリー フロムファーム 登美の丘 赤でした。登美の丘ワイナリーは山梨県甲斐市大垈(おおぬた)にあります。南には富士山の雄大な姿。 眼下に広がる甲府盆地。この土地は昔から、登って美しい=「登美の丘」と呼ばれていました。これが、ワイナリー名の由来です。標高は麓にある醸造棟で約400m、眺望台のある丘の上で600mです。総面積は約150haで、そのうち、ぶどう栽培面積は約25haです。場内には桜の木が1000本もあり、春になると甲府駅前から徐々に咲いて行き、事務所、醸造棟から、少しづつ標高の高い所が咲いていきます。登美の丘ワイナリーの前身が出来たのが1909年です。当時の鉄道参議官である小山新助が登美農園を開園しました。小山新助さんは中央線を作った人で、その玄孫さんは高田馬場にある餃子の名店である「ムロ」を経営されています。その当時は、日本にぶどう栽培やワイン醸造の技術があまり無かったので、ドイツから醸造技師ハインリッヒ・ハムを招いて 近代的ワインづくりを学びました。1936年には当時の寿屋(サントリーの前身)が寿屋山梨農場として 登美農園の経営を継承しました。当時は赤玉が大ヒットしていましたが、その原料となる欧州産のワインを手に入れ辛くなってきていたのです。1950年代には、日本でいち早く欧州系ワインぶどう品種を本格的に栽培開始しました。また、日本のワイン産業振興のために、園内に葡萄専修学校、寿屋葡萄研究所を開設しました。1975年には、日本初の貴腐ぶどうの収穫と貴腐ワインの醸造に成功しました。また、2003年には国際コンクール「レ・シタデル・デュ・ヴァン」にて「登美1997」が日本初の金賞受賞の栄誉に輝きました。今、登美の丘ワイナリーでは、自然と共生したワインづくりを目指して、「不耕起草生栽培」と呼ばれる、表土の流出を防ぎつつ、傾斜面で余分な水を排出して、ぶどうと他の植物と水分競合、共生する栽培方式を採用しています。また11月16日の朝のNHKのニュースでも取り上げられた「副梢栽培」と呼ばれる、温暖化により、ぶどうが色素やアロマを蓄積する時期と、その蓄積を促進する夜温が低い時期がずれる事を解消する栽培方法もやり始めています。
フロムファーム 登美の丘 赤2020は登美の丘ワイナリー自園産ぶどうを100%使用しており、山梨県の地理的表示であるGI Yamanashiを取得しています。マリアージュ実験に使ったのは2020年ヴィンテージで、ぶどう品種は、プティ・ヴェルド 65%、メルロ 24%とカベルネ・ソーヴィニヨンが11%です。ブルーベリーや赤いさくらんぼ、桑の実などを連想させる青から赤い色調の果実の香りと、スミレの花の砂糖漬けやクローブなどの甘いスパイスのタッチがあります。赤紫蘇のニュアンスも感じる事ができました。熟したまろやかな酸味、しっかり存在感のあるタンニンの充実感のあるミディアムボディのワインです。
鯖のカリカリソテー オリーブとケイパーとレーズンのソースと合わせると鯖の風味がワインと溶け合って、口中を広がっていきます。
「鯖の味わいと登美の丘の赤がとても良く合っています」
「魚料理なのですが、赤ワインがイチオシに選ばれましたね」
「ソースも白色なので、白ワインが合わせ易いのかなぁ・・・と思っていました」
「鯖や鯵、鰯などの青魚は、白ワインとは、結構難しいのです」
「特に、今日の鯖は脂が良く乗っていましたしね」
「鯖にソースをたっぷり付けると、更に登美の丘 赤との相性が良くなりますよ」
「穏やかで、ゆったりとした素敵なマリアージュです」
「うん、しみじみと鯖の美味しさを満喫できる素晴らしいペアリングだと思いました」
皆様も、是非、鯖のカリカリソテー オリーブとケイパーとレーズンのソースを作ってみてください。そしてフロムファーム 登美の丘 赤との絶妙な相性をお楽しみくださいませ。