今回のレシピは、新玉ねぎとひき肉の白ワイン煮です。玉ねぎは文字通り、丸く玉のようになる葱と言う意味です。玉ねぎの原産は中央アジアのパキスタンからイランにかけてのエリアではないか?と言われていますが、確定していません。それは、そのエリアで玉ねぎの原種となる植物が見つかっていないからです。文献に最初に登場するのは、今から3770年前に書かれたとされている古代メソポタミア・バビロン第1王朝時代のエール・バビロニアン・タブレットと呼ばれている古代のレシピ書です。玉ねぎは、その子羊のシチューの項目にペルシアン・シャロットと言う名前で記載されています。名前からしても、メソポタミアよりも東の中央アジアから来たと言う風情がありますね。古代ローマの大プリニウスは有名な『博物誌』のなかで様々な種類の玉ねぎについて言及しています。ローマ人はニンニクと玉ねぎをこよなく愛し、その遠征先にもぶどうなどと一緒に持って行って栽培したのでヨーロッパ中に玉ねぎが広まりました。
中国でも前漢時代の礼記(らいき)には玉ねぎが何ヶ所にも登場していてその時代に既に常食されていた様です。時代が下ってくると、道教や仏教では、肺に良くない食べ物で、かつ、攻撃本能や性本能を刺激する食べ物であるとして忌むべき食品扱いされてしまいました。日本にもその頃の名残があって、禅宗の寺の入り口に「不許葷酒入山門」(葷酒山門に入るを許さず)と書かれていますが、葷とはニンニクや玉ねぎなどの香りの強い物を指す言葉なのです。
玉ねぎは、英語ではオニオン(onion)、フランス語がオニョン(oignon)ですが、こちらはラテン語の玉ねぎであるunionem=連合、幾重にも重なった様から来ています。またイタリア語のチポッラ(cipolla)やスペイン語のセボーリャ(cebolla)はラテン語のもうひとつの玉ねぎであるcepaから来ていると言われています。ちなみに、玉ねぎの丸い部分は根ではなく茎で、鱗茎と呼ばれています。ヨーロッパでは18世紀以降品種改良が盛んに行われ、辛味品種と甘味品種が出来たと言われています。
玉の外側の薄皮の色は銅黄色、紅紫色、白色の3色があって、それぞれ黄玉ねぎ、紫玉ねぎ、白玉ねぎと分類されています。日本で普通にスーパーに沢山並んでいるのは黄玉ねぎで、一年中季節を問わず店頭にあるのは、玉ねぎが鱗茎を膨らますのに適した昼間の時間=日長条件が、品種によって違うのを利用しているからです。北海道でよく栽培される「札幌黄」は16時間日照があると膨らんできます。なので、春に植えて夏にふくらみ、秋に収穫するのです。本州や九州でよく栽培される「泉州黄」は12時間くらいまで陽が伸びると丸くなってきます。なので、秋撒きで春以降に収穫します。新玉ねぎは黄玉ねぎや白玉ねぎを若い状態で収穫したものです。新玉ねぎは水分を多く含みますので、煮るとトロトロになるのです。
農林水産省「令和2年産指定野菜(春野菜、夏秋野菜等)の作付面積、収穫量及び出荷量」を見ると1位は北海道で66万トン、全国のなんと66%を占めるのです。2位は佐賀県の12万トン、3位は兵庫県で10万トンです。この3位までで全国のかなりの部分を栽培しています。
今回は新玉ねぎを、牛のひき肉を相方に白ワインで煮ます。この新玉ねぎとひき肉の煮物は、鈴木都先生と鈴木薫先生姉妹のご実家の、春の定番メニューだそうです。
この新玉ねぎとひき肉の白ワイン煮にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、2022年3月15日に新発売されたばかりのサンタ ゴールド ディープ レッド ブレンドでした。サンタ ゴールド ディープ レッド ブレンドは、チリアンライオンのアイコンで大人気のサンタのプレミアムレンジです。1875年創業の老舗ワイナリー「サンタ カロリーナ」の最高醸造責任者と、サントリーの共同開発で生まれました。「とろっと濃い旨」な味わいのポイントは、フレンチオークとアメリカンオークの2種類の樫のステイブ(少し焦がした板)を漬け込んだ、ダブルオーク製法です。
新玉ねぎとひき肉の白ワイン煮にサンタ ゴールド ディープ レッド ブレンドを合わせると、玉ねぎの甘さと、サンタ ゴールドの甘やかな味わいレベルがぴったりと合います。
「オーク由来のバニラを思わせる香りが心地良いですね」
「牛肉の旨味を玉ねぎが吸い込んで複雑な味わいです。サンタ ゴールドの華やかな香り立ちと良くマッチしています」
「玉ねぎのとろけるテクスチュアと、サンタ ゴールドのとろりとした舌ざわりも同じニュアンスなんですよ。こういう肌触りも『似ていると美味しく思える』のですね」
「はい、『似た者同士は良い相性』なんですよ」
皆様も是非、新玉ねぎとひき肉の白ワイン煮に挑戦してください。そしてサンタ ゴールド ディープ レッド ブレンドとの素適な相性をお楽しみくださいませ。