この、ニース風サラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはロス ヴァスコス ロゼでした。チリに最初にぶどうが持ち込まれたのは16世紀半ば、スペインのカトリック伝道者が聖餐用のワインをつくるためにパイスを植えました。最初にフランス系品種を植えたのは、チリ政府がワインの技術向上の為にフランスからクロード ゲイを招聘したときに彼がカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブラン、セミヨンなどを携えてきた1830年の事でした。クロード ゲイの取り組みに触発されたシルベストーレ オチャガビアは1852年に大量のボルドー品種の苗木を持ち帰りました。チリワイン産業が活況に沸いたのは、ヨーロッパがフィロキセラ禍に苦しんだ19世紀終盤です。ヨーロッパへの最初の輸出は1877年で、1870年に9000haだったぶどう園は1900年には4万haにまで増加、その数年後には8万haにまで激増しました。
ロス ヴァスコスは、今から約270年前の1750年、チリに移住したバスク系のスペイン人が創業しました。20世紀の後半、ドメーヌ バロン ド ロートシルト〔ラフィット〕社のエリック男爵が「南米のどこかに比類無きぶどうの楽園は無いのか?」と旅をしていました。長い旅の末、やっとこのワイナリーを探し当てました。男爵はこの土地のポテンシャルに惚れ込み1988年に経営を引き継ぎました。「ロス ヴァスコス」の名前は前のオーナーに敬意を表した「バスクの人たち」という意味に由来します。ワイナリーは、太平洋から内陸に40Km、首都サンチアゴから南西に200Kmの、D.O.(チリでは4階層に分かれている)で言うとリージョンはセントラル ヴァレーでサブリージョンはラペル ヴァレー、ゾーンがコルチャグア ヴァレー、エリアがペラリージョに所在します。敷地面積4000haもある巨大な農園で、現在は、畑面積640haにカベルネ・ソーヴィニヨン(85%)、カルメネール(5%)、シラー(4%)、マルベック(1%)とシャルドネ(5%)が植えられています。イチオシに選ばれたロス ヴァスコスのロゼですが、グラスに注ぐと、少し赤色の濃い、美しいロゼカラーです。ラズベリーやサクランボを連想させる香りがふわっと立ち昇ります。スワリング(グラスに入ったワインを回して香りを立たせる)すると、次第に、甘やかでバレンシアオレンジを思わせるチャーミングな香りが出てきます。キレのある酸味と、ほんのりと感じられる渋味が味わいを引き締める本格的辛口ロゼワインです。
ニース風サラダと合わせると、ニース風サラダの様々な具材で、ワインの表情が変わります。ツナと合わせると、ツナの素朴な旨みが、ロス ヴァスコスのロゼによって強調されるのが判ります。ゆで卵は、自然に、甘やかに解けていく感じがします。
「オリーブと合いますね!やはり地中海性気候の共通性なのですかね」
「ドレッシングのかかったバジルやベビーリーフとロス ヴァスコスのロゼを合わせると、オレンジの香りがとっても強くなります。それもビターオレンジの大人な香りの感じです」
「オレンジの風味も地中海っぽいですよね♪」
「トマトもとっても美味しくなりますね」
ニース風のサラダは初夏から夏にかけて食べたくなるサラダです。皆様も是非お試しください。そしてロス ヴァスコス ロゼとの抜群の相性をお楽しみくださいませ。