この料理に合うワイン

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1st

登美の丘ワイナリー 登美の丘 甲州<br>※フロムファームにブランド名が変わりました。

登美の丘ワイナリー
登美の丘 甲州
※フロムファームにブランド名が変わりました。

日本
ぶどう品種 甲州

鰤は、スズキ目アジ科の海水魚で太平洋の北西エリアに棲む魚です。農林水産省の2019年大海区都道府県振興局別統計 魚種別漁獲量によると、2019年の全国の、ぶり類(天然)の漁獲高は10万9千トンです。県別漁獲高の1位は長崎で1万6千トン、以下島根、岩手、北海道と続き、ここまでが1万トン以上です。5位は千葉で9千トンです。これを見ると、全国で満遍なく漁獲されている魚である事が判ります。一方、養殖は2018年データですが、全国で、約10万トンで、1位は鹿児島で2万8千トン、2位は大分で1万7千トン、3位が愛媛で1万3千トン、4位は宮崎で9千トンです。養殖は、暖かい海の方が、成長が早いので、南のエリアに集中していますね。大西洋には居ませんので、国別漁獲量の上位が、アジアの国々になるのは予想される所ですが、実は日本がダントツの1位なのです。2018年、世界で31万トン漁獲している中で日本が21万トンですから、実に世界の2/3以上を日本だけで漁獲しているのです。2位は中国ですが、大体1/10です。

鰤は皆さんも良くご存じの出世魚で、関東では、モジャコ、ワカシ、ワラサ、イナダ、ブリと出世します。面白いは、出世の途中の呼び名は全国バラバラなのですが、とどのつまりのブリは全国どこでも一緒なのです。モジャコの名は、春に産まれた稚魚が、海面を漂う藻に隠れて生活する為で、藻につく小魚=じゃこでモジャコなのです。養殖業者は、そのモジャコを捕まえて生簀に入れて育てます。鰤の文字は師走(12月)に美味しくなるから、とも言われており、寒鰤の美味しさは、一段以上優れたものがあります。寒鰤の旬を1-2月と記しているホームページが多いようですが、これは、4月から5月の産卵で一気に味が落ちるからで、産卵前の2-3月も、私は美味しいと思います。また、養殖の鰤では、産卵期をずらすことにより、夏の旬を迎えるようにコントロールされている宮崎の黒瀬ぶりなどもあります。今回はその鰤をソテーにします。付け合わせを、鈴木薫先生に、ワインスクエア流の「ワインに良く合うアレンジ」にして頂きました。今回は、ハーブにディルとイタリアンパセリを使いましたが、いろいろなハーブと合いますので、試してみてください。鰤は塩、こしょう、小麦粉を全体に軽くふります。フライパンにバターを熱し、鰤を並べて焼きます。しっかり水気を切った大根おろしに、粗みじん切りにしたハーブとオリーブオイルを混ぜて、添えれば完成です。とっても簡単な料理です。

この鰤のソテー ハーブ大根おろし添えに、テイスティングメンバーが選んだイチオシワインは登美の丘ワイナリー 登美の丘 甲州でした。マリアージュ実験には2019年ヴィンテージを使いました。登美の丘 甲州は、サントリー登美の丘ワイナリーで栽培されている甲州ぶどう100%で醸したワインです。この年から、しばらく前に植えた垣根の区画も、ようやく成木になってきたので、ワインとして使えるようになり、酸のニュアンスが、より生き生きと、キレのあるタッチになりました。垣根の畑と一文字短梢の畑のぶどうはホールバンチプレスをしてトップノートの華やかさを引き出しました。ホールバンチプレスとは、ぶどうを除梗(ぶどうの実を果梗から外す)したり、破砕(ぶどうの実を潰す)したりせず、房のまま圧搾機に入れて、空気圧で絞ります。そうする事で除梗や圧搾の時の酸化を防ぐことが出来ます。果物の酸化のイメージは、リンゴをナイフで切ってそのまま、放置すると茶色くなってしまいますよね、あの感じです。果汁が酸化するとどうしてもフレッシュさが失われてしまいます。除梗機は、中心から放射状に棒が何本も突き出た物が回転している所に、ぶどうの房を通す事で、棒が房に激しくぶつかって、果梗から実を叩き落す事で除梗します。また破砕機のローラーで、ぶどうの粒を潰す間も、やはり酸化は進行してしまうのです。登美の丘では、そのホールバンチの良さを更に引き出す為に窒素置換を使います。圧搾機の、ぶどうが入っている空間に窒素を充填する事で、酸素を追い出します。それから圧搾するので、果汁は酸素に触れる事無く発酵タンクへと運ばれるのです。また、ホールバンチプレスをする時に果梗がクッションの役割を果たして、優しく絞られますので、果汁はより瑞々しい状態を保つことが出来るのです。棚栽培の区画は、樹齢も古く、力はあるのですが、更に凍結濃縮し、味わいの全体の厚みを出しました。

グラスに注ぐと、柑橘系を思わせる香りがあります。柑橘でも、特に、ポンカンやミカンなどの和柑橘を連想させます。少しハーブを思わせる緑のタッチもあります。辛口で、軽やかなボディ感です。酸の量はそれほど多くは無いですが、すこし切れのある酸です。穏やかで柔らかみがありゆったりとした印象の甲州です。

鰤と出会うと、鰤のパワーに負けてしまうのではなく、甲州の、芯のしっかりとした所が前面に出てきました。軽やかに感じていたワインが、鰤の脂や旨みのある肉汁と溶け合い、逆に、少し粘り気すら感じさせ、潜在的に持っていた力を感じました。

「鰤を口にいれて、ワインと合わせると、『あ!旨い!!』と無条件に思ってしまいました」

「甲州の和柑橘のニュアンスが鼻に抜ける感じですよね。ワインを飲んだ直後の口中は、甲州の香りが支配的なのですが、じわじわと鰤が地力で押し上げてきて、中盤から、丁度良くマリアージュする感じです」

「大根おろしだけでも、鰤の脂っぽさを和らげて食べやすくなる所に、更にフレッシュな香りのハーブが香り立って、そこに甲州の爽やかな酸が、やって来て、ああ!もう堪らん!!旨い!!!って感じでした」

天然ものが美味しいのも、あともう少しの期間です。皆様も是非、この鰤のソテー ハーブ大根おろし添えに挑戦してみてください。そして登美の丘ワイナリー 登美の丘 甲州との素敵なマリアージュをお楽しみ下さいませ。

2位に選ばれたのは、メゾン カステル マルゴーでした。メゾン カステル AOCシリーズは、フランスNo.1※ワインメーカー カステルが 手掛ける新ブランドです。若手ワインメーカーが、若者をターゲットに、現代の味覚のトレンドに合わせる事で生み出したブランドです。コンセプトは「厳選したぶどうを、伝統的な手法を使う事で産地の魅力を引き出しつつ、現代のトレンドに合わせたモダンな味わいに仕上げる事」です。その為にはカステル社が創業以来、長く信頼関係を築いてきた、フランス各エリアの契約農家の存在が不可欠でした。彼らが居てくれたからこそ、最もその土地の個性を表現する畑・区画のぶどうを厳選する事が出来ました。メゾン カステル マルゴーはAOCマルゴーで、ぶどう品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロです。
ダークチェリーやカシスのような果実の香り、スミレの花や針葉樹、スパイスを思わせる複雑さに加えて、この産地特有の繊細で円みのある果実味と、キメ細かいタンニンが魅力の、しなやか&エレガントな味わいのワインに仕上げる事が出来ました。
鰤のソテー ハーブ大根おろし添えと合わせると、鰤にたっぷりと有る脂と、マルゴーの力のあるタンニンとが出会って甘みに転換するのが判ります。単純に甘みに変わるだけでなく、この甘みがマルゴーの幾重にも折り重なった複雑な味わいと良くマッチしています。ディルの心地良い香りと、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種の特徴香である、緑のニュアンスのある香りとも共鳴しています。鰤の部位で言うと、血合いとの相性が抜群でした。血合いに強くある鉄のニュアンスとマルゴーとの本質的な相性の良さが有るのだなぁと思いました。

※フランス企業で2019年売上数量が最大(IWSR2020)

2nd

メゾン カステル マルゴー  

メゾン カステル マルゴー

フランス
ぶどう品種 カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ

3位に選ばれたのは、サンタ バイ サンタ カロリーナ カルメネール/プティ・ヴェルド、通称、サンタ ブラックでした。カルメネールは、元々はボルドーの主力品種でしたが、現代のボルドーでは、ほぼ、見かける事のない品種です。それが、チリでは脈々と生き残り、今ではチリを代表する品種として売り出し中です。カルメネールの名前はカルミン=鮮やかな紅色から来ているくらい色素の有る品種です。一方、相方のプティ・ヴェルドはボルドーでは補助品種ですが、色は濃く、骨格の逞しいワインになります。
鰤のソテー ハーブ大根おろし添えと合わせると、ハーブの香りとワインの、ちょっとスパイシーな香りとが絶妙にマッチします。鰤は、青魚では最大級の大きさになる魚です。その青魚の王様とも言える存在であるが故に「青魚的な個性」を強く持っているのです。サンタ バイ サンタ カロリーナ カルメネール/プティ・ヴェルドは、その青魚的個性を、上手くマスクしてくれています。その個性的な部分が好きな方には「余計なお世話」かも知れませんが、青魚がちょっと苦手、と思われる方には福音的なマリアージュかもしれません。

3rd

サンタ バイ サンタ カロリーナ カルメネール/プティ・ヴェルド 

サンタ バイ サンタ カロリーナ カルメネール/プティ・ヴェルド

チリ
ぶどう品種 カルメネール、プティ・ヴェルド

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