この料理に合うワイン

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1st

ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダー 

ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダー

ドイツ
ぶどう品種 ピノ・グリ

今回のレシピは、ゲーンパー(ジャングルカレー)です。ゲーンパーの「ゲーン」は「カレー」、「パー」は「森」ですので、直訳すると「森のカレー」です。タイは大きく分けて、バンコクを中心とした中部、プーケットなどの南部、チェンマイなどの北部、パタヤやトラ―トなどのリゾート地がある東部と東北部のイサーン地方の5つの地方に分割され、それぞれに地方料理があります。

イサーン地方は大きなエリアで、タイの1/3の面積を占めます。日本で言うと北海道と東北地方全部を足したよりも大きいエリアです。山間の農村地域で、比較的貧しいエリアです。タイのカレーはココナッツミルクを使うものが多いのですが、ゲーンパーは使いません。東北地方は海から遠い山奥です。海までは一番近い所でも100km以上離れています。ココ椰子から採取するココナッツミルクは縁遠い存在なのです。代わりにたけのこや山菜、野菜が多く使われます。イサーン料理の代表格「ソムタム(青パパイヤのサラダ)」、「ラープ(肉や魚や野菜を煎り米で和えたもの)」や「ナムトック(豚焼肉とハーブのサラダ)」など、山で採れたものを多用し、濃い目で、かなり辛い味付けです。また、イサーン地方でも特に北のエリアは長細いタイ米ではなく、もち米(カオニヤオ)と一緒に食べることが多いようです。また、昆虫の唐揚げや昆虫サラダなどもイサーン地方の郷土料理です。

さて、今回のゲーンパーの主たる素材は鶏肉の腿と茹でたけのことエリンギ、いんげんまめです。カレーペーストの材料リストを見て「うわぁ、こんなにタイ食材は揃えられないなぁ」と思われた方も多いと思います。リストには、プリックチーファーヘン(タイ乾燥唐辛子大)、プリッキーヌヘン(タイ乾燥唐辛子小)、レモングラス、カー、ホムデン(タイの小さい赤玉ねぎ)、カピ(海老のペースト状の調味料)となっているからです。でもご安心ください!ネットかアジア食材屋さんに行けばレッドカレーペーストがパックや、カップに入ったものが売られています。これにクラチャイを1,2本入れて温めれば、ゲーンパーのカレーペーストが出来ます。クラチャイは和名を白ウコンという植物の根で日本では、ほぼ沖縄だけで栽培されています。ショウガ目ショウガ科の植物なのですが、高麗人参に近い独特の香りや味で、ゲーンパーの味わいの鍵になるスパイスです。沖縄以外ではなかなか手に入り難いのですが、ネットで、100g300円程度で購入できます。クラチャイの名前ではなく、ガチャーイやカチャーイと表記されている事もありますが、発音が「クラ」と「ガ」の中間くらいの日本語にはない音なので、表記が違うだけで同じです。鍋で鶏肉を茹で、カレーペーストとその他の具材を入れます。ナンプラーやココナッツシュガー、タマリンドペーストで味を調えたら出来上がりなのですが、ゲーンパーはココナッツミルクを使いませんので、タイのカレーの中でもさらさらとしています。

さて、このゲーンパー (ジャングルカレー)にティスティングメンバーが選んだイチオシワインはロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダーでした。ロバート ヴァイルは1868年創設の名門ワイナリーです。パリの名門ソルボンヌ大学でドイツ学教授をしていたドクター R ヴァイルによって創業されました。時の「皇帝ヴィルヘルムII世」がこよなく愛した伝説のワインとして名声を誇るエステートです。皇帝が開いた正餐会のメニューには赤はラフィットやラトゥールに並んで、白は必ずヴァイルの名が記されていました。1988年にサントリーが経営参画しました。現当主ヴィルヘルム・ヴァイルの指揮のもと、極上の甘口ワインと力強い辛口ワインで世界中から高い評価を得ています。食関係で出版物の多いゴー・ミヨのドイツワインガイドではロバート ヴァイル醸造所が最高得点の19点を獲得しました。ワインスペクテーターのブルース・サンダーソンは、ヴィルヘルムを評して「ヴィルヘルム・ヴァイルは見事な完璧主義者である。この醸造所においては、どんな些細なことであろうとも、ことワインづくりに関して“大目に見る”ことはありえない。常にその年のベスト・ワインをつくるべく情熱を傾けている。ロバート ヴァイルのワインの特徴は、バランスのよさとハーモニーの美しさだ」と言っています。

グラウブルグンダーはフランスではピノ・グリ、イタリアではピノ・グリージョと呼ばれている品種で、名前からも判るように、ピノ族、つまりピノ・ノワールの変異種で、ブルゴーニュ原産です。世界中で、凄い勢いで栽培面積が広がっています。世界の白ぶどうの栽培面積では6位(ソムリエ協会2019年度教本を集計)です。ドイツでも温暖化の影響で栽培可能なエリアが増えており白ぶどうの栽培面積で3位、1995年から2018年の間の増加面積では、なんと白ぶどうのトップなのです。

ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダーはアロマティックな黄桃や煮詰めたりんご、アカシアのハチミツの香りがあります。やわらかなアタック、まろやかで穏やかな酸と、ほろ苦さが心地よい辛口の白ワインです。

ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダーを合わせると、様々なスパイスが調和するのが判ります。

カーの生姜辛さ、レモングラスの爽やかさ、クラチャイの高麗人参を思わせる、土っぽく力のある香りがロバート ヴァイルの香りと溶け合って混然一体となります。

「ワインと合わせるとバランスが良くなりますね」

「ワインに力がありますので、個性的なゲーンパーの香りや味わいをしっかりと受け止めてくれます」

「厚みがあるからでしょうかね、カレーの辛さを優しく静めてくれますね」

「ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダーは、きっとスパイシーな四川料理とかにも相性が良いと思います」

これから暑くなり、湿度も高くなります。スパイシーな料理が食べたくなる季節ですよね!是非、皆さまもゲーンパーに挑戦してみてください。そしてロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダーとの素晴らしいマリアージュをお楽しみください。

 

2位に選ばれたのはレオナルド ヴェルメンティーノでした。レオナルドは、レオナルド ダ ヴィンチが生まれた村であるヴィンチ村にワイナリーがあります。ラベルには有名な「ウィトルウィウス的人体図」があしらわれています。チーフワインメーカーはリカルド・プッチ氏です。彼はキャンティ、キャンティ・クラッシコ、ブルネッロ ディ モンタルチーノといった名立たるDOCGを擁するトスカーナ州のDOCG協議会の長を務め、イタリアワイン評価本、「ガンベロロッソ」でも高く評価されている実力者です。
レオナルド ヴェルメンティーノは、グレープフルーツや、もぎたての白桃などを連想させるフレッシュな果実の香りがあります。鮮度のある果実感と、心地よい酸味が特長の、少し厚みが感じられるバランスの良い辛口です。ゲーンパーと合わせると、ハーブやスパイスの香りがくっきりと見える感じがします。唐辛子の辛さと生姜の刺激的な辛さとを受け止めるボディがあります。鶏の旨みともぴったりとマッチしていて、なかなか優れた組み合わせでした。

2nd

レオナルド ヴェルメンティーノ 

レオナルド ヴェルメンティーノ

イタリア
ぶどう品種 ヴェルメンティーノ

3位に選ばれたのは、スクレ ド リュネス シラーでした。スクレ ド リュネス シラーのつくり手のマス ド リュネスはラングドック・ルーションの生産者です。マスは大きな農家の事で、リュネスは月です。フランス最大のオーガニックワイン産地であるラングドック・ルーションで80年以上オーガニック栽培に取り組んでいる生産者です。1000haの所有面積に対して、畑は僅かに80ha、ガリッグ(低灌木)によって隔絶された環境はオーガニック栽培に適し、2013年にエコセールの認証を受けています。
グラスに注ぐと、深みのある赤です。カシスやブラックベリーを思わせる香りと、黒こしょうのようなスパイシーさとトーストの様な、少し香ばしい香りもあります。ゲーンパーと合わせるとたけのこ独特の土っぽい香りが際立つのが感じられました。様々なハーブやスパイスが織り成す複雑で刺激的な香りを優しく包んで受け止める、そんな感じのマリアージュでした。

3rd

スクレ ド リュネス シラー 

スクレ ド リュネス シラー

フランス
ぶどう品種 シラー

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