この料理に合うワイン

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1st

メゾン カステル メドック  

メゾン カステル メドック

フランス
ぶどう品種 カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ

今回の料理はワインと愉しむすき焼きです。日本の鍋料理の定番である「すき焼き」を鈴木薫先生にお願いして、ワインに良く合うよう、ワインスクエア流にアレンジしていただきました。「すき焼き」は、食材を浅い鉄製の鍋で、焼いたり煮たりする料理で、素材は牛肉に限らず、鶏、魚、蟹、うどんなどが「○○すき」として食べられています。「すきやき」の名前が書物に登場するのが、江戸時代初期の代表的料理書で、後の料理書に影響を与えた「料理物語」であるとされています。「料理物語」は寛永13年(1636年)に手書きのものが編纂され、その後寛永20年(1643年)に版本として出版されました。20章にわたり、素材別、料理法別に、具体的に判り易く調理法が書かれてある、実用的な料理の本としては初めての本です。3年ほど前に、立川の国文学研究資料館で「江戸時代の料理書・料理本展」が開催され、寛永20年の版本など、編集や挿絵が異なる複数の「料理物語」が展示されていました。「料理物語」に登場するのは「杉やき」です。「杉やき」は杉製の箱に濃く溶いた味噌と具材をいれて煮る料理なのですが、箱の底には塩を分厚く糊で張り付けておいて、燃えないようにしてあります。具材は鯛や鴨,牡蠣や野菜などでした。今も「すき焼き」のルーツと言われることの多い「鋤やき」が登場するのは「料理早指南」です。「料理早指南」は享和元年(1801年)の発行の料理書で、4部構成になっていて、四季の料理、重詰め、魚料理とそれ以外の煎酒などを収録しており、料理方法だけでなく用具などの図解もしている本です。発行部数が多いからか、今でも古書専門店で時折、現物が販売されているのを見かけます。保存状態が良いと4冊で20万円以上します。どうしても原本がご覧になりたい方は国文学研究資料館のデータベースにアクセスすると全ページを閲覧する事ができます。「料理早指南」での「鋤やき」の解説は、「鋤の上で鳥などを焼く、色が変ったら食べてよい」と書かれています。いずれにしても江戸時代は、基本的に四つ足を禁食としていましたから、牛のすき焼きは、ずっと時代が下ってからの事になります。牛を使って煮た牛鍋の元祖について、神奈川県のHPに「文久2年(1862年)に横浜入船町で居酒屋を営んでいた「伊勢熊(いせくま)」が一部を牛鍋屋として開業したのが、すき焼きを提供した最初の事例である、と掲載していました。ただ、福沢諭吉の福翁自伝の前半部分に、安政4年(1857年)ごろ「大阪中で牛鍋を喰わせる処は唯二軒ある。一軒は難波橋の南詰、一軒は新町の廓の側にあって、肉は臭く最下等の店」と記しています。今の評価と全然違っていて面白いのですが、横浜より先に、大阪で開業しているのは、流石、食道楽の街、大阪です。現代のすき焼きの食べ方には、大きく分けて関東風と関西風があります。関西風は肉に砂糖をまぶして「焼く」すき焼きで、鋤焼きの子孫の感じです。一方、関東風は、割り下を使った煮る料理なので、杉の箱を使って「煮た」杉やきが牛鍋を経てたどり着いた料理のような気がします。

今回、薫先生がつくってくれたレシピでは、普通のすき焼きでは使わない具材として、玉ねぎ、マッシュルーム、カリフラワー、ミニトマトとチーズが2種類、モッツアレラとパルミジャーノを使っています。割り下には赤ワインをたっぷり使います。そして甘み付けは、はちみつです。

このワインに良く合うすき焼きにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは昨年10月に新発売されたばかりのメゾン カステル メドックでした。カステル社は設立1949年で、現会長のピエール カステル氏が一代で築いたカステルファミリーの会社です。現在の社長は、会長の甥のアラン カステル氏です。ワインやビール、飲料など幅広く取り扱う会社ですが、ワインだけをとっても、フランス最大※1のワイン会社です。その伝統あるカステル社が、自らの名前を冠したブランド、それがメゾン カステルなのです。メゾン カステルには品種シリーズ、ペイ ドックシリーズとAOCシリーズがあります。AOCシリーズは、厳選されたぶどうと伝統的なワインづくりにこだわって、産地の魅力を最大限に引き出したシリーズです。今回、イチオシに選ばれたのはメドック、皆様の良くご存じの、フランス銘醸地の東の正横綱とも言える、ボルドーワインです。メドックはジロンド河の左岸にあるワイン産地で、世界中のワインラバーが、「ボルドーワイン」と言われると、まず頭に浮かべるのが、このメドックではないでしょうか?氷河期の終わりにピレネー山脈からやってきた鶏卵大の小石や砂利や、中央山塊からやってきた粘土などが、地層を形作っています。水はけが良いので、カベルネ・ソーヴィニヨンが主体に育てられていて、力強いワインが多いです。

グラスに注ぐと、濃いめのダークチェリーレッドに、紫が少し入っている美しい色あいです。カシスやブルーベリーを思わせる果実香が特長的です。豊かな果実味、まろやかで、熟したタンニンが感じられる力のある赤ワインです。

すき焼きに合わせると、メゾン カステル メドックがグッと引き立てられるのが良く判ります。

「肉も、一段と味わい深くなりますね」

「ミニトマトが凄いんです。トマトと肉を一緒に口に入れたところにワインを飲むと、旨みがパッと広がるんです。それもトマトが潰れて果汁が出た瞬間が凄いです」

「トマトの種の周りのゼリーの部分には、グルタミン酸が果肉の4倍以上も多く含まれますからね」

「チーズがかかった所も、めちゃくちゃワインと良く合いますよ」

「パルミジャーノもグルタミン酸が豊富なチーズです。少しじゃりじゃりしている部分はグルタミン酸が結晶化しているのです」

「ワインを飲むことで、すき焼きの味わいも、更に美味しく、コクや奥行きが感じられますね」

皆様も、今度すき焼きを作ろうかなぁと思うときに、このワインに良く合うすき焼きの事を思い出してください。そしてメゾン カステル メドックとの素晴らしいマリアージュをお楽しみくださいませ。

 

※1IMPACT DATABANK 2019, World’s Top 10 Wine Marketers(世界での販売数量データ)

 

2位に選ばれたのは、ヴュー パープ フランス(赤)です。こちらもカステル社のワインで、ヴューパープは創業当時からある由緒正しきブランドです。80年以上愛され続けるロングセラーブランド、と言うだけではなく、現在においても販売量No.1 ※2のフランスワインなのです。ブラックチェリーやブラックベリーなど完熟した果実の香りに、クローブや黒蜜などを思わせる甘いトーンがあります。まろやかな果実味とやさしい酸味で、軽やかなタンニンの赤ワインです。すき焼きと合わせると、こってりとした味わいのすき焼きが、軽やかに感じられ、ついもう一口食べたくなるような合い方をしました。肉の甘みや、赤身部分の、肉本来の味わいがクローズアップされる素敵な相性でした。
※2 IRI FRANCE 2017データ フランス国内地理的表示のないワイン年間販売数量ヴューパープブランド計

2nd

ヴュー パープ フランス 赤 

ヴュー パープ フランス 赤

フランス
ぶどう品種

3位には、5セレクトレゼルブ(赤)が選ばれました。5セレクトレゼルブは来月新発売のニューフェイスです。チリ、スペイン、イタリア、アルゼンチン、オーストラリアの5カ国の信頼のおけるサプライヤーを選び抜き、サントリーの技術の結晶で生み出した新しいスタイルのワインです。個性豊かなぶどうと、国産ならではの技術が織りなす“フルーティな香り”と“柔らかな口当たり”のじんわり旨いワインなのです。ほんのりとした甘さと渋さのバランスが取れた絶妙な味わいです。ワインと愉しむすき焼きと合わせると、すき焼きのはちみつの風味とワインの自然な甘みとが良くマッチしていました。肉本来の、じっくりとした旨みを素直に味わえる、なかなかの、良いコンビネーションでした。

3rd

5セレクトレゼルブ 赤 ※終売しました。

5セレクトレゼルブ 赤
※終売しました。

日本
ぶどう品種

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