今回のレシピは、サーモンとぶどうとディルのマリネです。英語のsalmonは、もともとはイギリスで漁獲されるタイセイヨウサケだけを指す単語でした。また、日本語の鮭は、日本で獲れるシロザケの事でした。世界には、いろんなサケ類の魚がいますので、世界との交流が広がり、新しく見つかった鮭に似た魚に、○○鮭や○○サーモンの名前を当てはめていきました。ややこしいのは鱒の存在です。日本ではサクラマスやサツキマスを示す言葉が鱒でした。英語のtroutは、同様にブリテン諸島に分布するブラウントラウトの事でした。これも各国で、姿かたちが似ているものがみつかると、トラウトや鱒の名前を当てはめていきました。学術調査が進むと、サケ類には孵化して海に下る降海型と非降海型がいる事が判ってきました。更に調査が進むと、例えば、体長50cm程度のベニザケと体長20cm程度のヒメマスの遺伝子が同じである事が判明しました。同じ種類の魚が海に下るとベニザケになり、川に留まるとヒメマスになるのです。また、同じ魚で日本と海外で鮭と鱒の名前が異なる事も多くあります。例えばキングサーモンは日本ではマスノスケと呼ばれています。現在、日本の鱒の定義はサケ科の中でサケ類(シロザケ、ベニザケ、タイセイヨウサケなど)を除く魚という大雑把なものになっています。
日本で漁獲される鮭のほとんどはシロザケです。アイヌ民族は鮭をカムイチェプ、またシペと呼びます。カムイチェプの「カムイ」は「神」、「チェプ」は「魚」で神の魚を意味し、シペの「シ」が「本当に、まったく、最も」という最上を表す言葉で「ペ」は「食品」なので、最も上級の食べ物といったような意味になります。2018年には日本で85,000トン獲れ、魚種別では10位ですが、減少傾向で10年前の4割程度になっています。サーモンは日本人の大好きな魚で、マルハニチロさんの「回転寿司に関する消費者実態調査 2019」を見ると回転寿司店でよく食べるネタは、「サーモン」が8年連続堂々の第1位に輝いています。
今日のサーモンはチリ産の生食用を使いました。それを、ぶどうとディルで、マリネにします。味付けは、素材の味わいを活かす為、塩こしょうと白ワインと白ワインビネガーでシンプルにします。この、サーモンとぶどうとディルのマリネにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは昨年の11月に新発売されたフレシネ フレスカでした。世界NO.1※カヴァ メーカーであるフレシネ社の新たな試みである、シャルマ製法(タンク内二次発酵)のフレッシュなスパークリングワインです。フレシネ社はスペインにおける瓶内二次発酵のスパークリングワインの盟主として、「フレシネブランド」としては、今までずっと瓶の中での二次発酵にこだわってきました。昨今の世界的な「軽やかタイプのスパークリングワイン」の好調さをみて、新しいタイプに挑戦したのでした。それが、新しいフレシネ「フレシネ フレスカ(Fresca)」なのです。「Fresca」とは、スペイン語で「フレッシュ」の意味です。ぶどう品種はマカベオが50%、アイレン45%、シャルドネ5%です。熟成期間を短かくし、フレッシュさを強調しました。フレシネ社の売れ筋であるコルドン ネグロ同様のミネラル感は持ちながら、柑橘系を思わせる香りが豊かで、爽やかです。白桃をイメージさせる香りもあって華やかです。サーモンとぶどうとディルのマリネに合わせると、サーモンの風味がスッと広がります。玉ねぎの味わいも、強調される気がしました。
「合いますね。どこかが特に強く合うという感じではないのですが、自然に馴染みます」
「サーモンって食感が、ねっとりした感じですよね。たくさん食べると口の中がべったりしてくるのですが、フレスカがさらりと洗い流してくれます」
「そう、単純に洗い流すだけなのではなくて、フレスカの泡が去った後にサーモン独特の旨味が戻ってきますよね」
「サーモンのマリネも冷たくして美味しい料理ですし、フレスカもキリリと冷やして際立つタイプなので温度帯の一致というのも、美味しく感じる要素ですね」
暑い夏に美味しいサーモンとぶどうとディルのマリネ、皆様も是非、作ってみてください。そしてフレシネ フレスカとの素敵なマリアージュをお楽しみください。
※The IWSR 2017 スペインスパークリング販売数量