この料理に合うワイン

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1st

ヴュー パープ フランス 白 

ヴュー パープ フランス 白

フランス
ぶどう品種 コロンバール、
ユニ・ブラン

今回の料理は、ホイ オッブ タクライ、ハマグリのタイハーブ蒸しです。タイ語で、ホイは貝、オッブは蒸し焼きにする、タクライはレモングラスです。直訳すると貝のレモングラス蒸しと言ったところです。今回はハマグリを使いましたが、タイでは、ハマグリはあまり流通していません。現地では牡蠣やホイメレーンプー(ミドリガイと呼ばれるムール貝そっくりの貝で、殻が綺麗な緑色をした貝)を使ってホイ オッブ タクライを作るそうです。ハマグリはマルスダレガイ科に分類される二枚貝です。現在の日本では、ハマグリとチョウセンハマグリ、シナハマグリなどが、全部「ハマグリ」として流通しています。実はハマグリは環境省レッドリストの絶滅危惧種で、危急種(ききゅうしゅ、Vulnerable species)=絶滅の危険性が高いと判断された種なのです。現在では熊本県の有明海の一部や瀬戸内海西部の周防灘の一部にしか生息していないようなのです。千葉県のレッドブックでは、なんと絶滅生物に指定されています。日本国内で獲れるハマグリの多くは、チョウセンハマグリで、内湾を主たる棲家にしているハマグリより外洋を好む貝です。ハマグリは在来種でシナハマグリは外来種です。チョウセンハマグリは、名前から想像すると、最近日本に入ってきた外来種のように思われるかも知れませんが、在来種です。鹿児島県の南さつま市、金峰町にある阿多貝塚からはチョウセンハマグリの貝殻も数多く出土しています。奈良時代の常陸国風土記の9番目の章に、だいだらぼっち伝説と思われる記述があります。足跡の長さが40歩分もある大男が大櫛にいて、ハマグリを沢山食べて殻を積んだので「大櫛の岡」が出来たというものです。「大櫛の岡」は、大洗に程近い丘にある大串貝塚の事だと想像されます。大串貝塚ふれあい公園には高さ15メートル25センチの白い大男の像があります。その公園の一角には、貝塚の断面を観察出来る切り通しがあります。当時の大櫛は、湖か河川が近くにあったのか、シジミの貝殻が主なのですが、チョウセンハマグリと思われる貝殻も観察出来ます。ハマグリの学名は、Meretrix lusoriaなのですが、「lusoria 」は、ラテン語で「遊びの」という意味です。ハマグリの模式標本はデンマークのコペンハーゲン博物館に収蔵されているのですが、そのハマグリは、なんと!貝覆いや貝合わせに使われる、金箔などで彩色された平安貴族の絵が描かれたハマグリなんですよ!!貝覆いという遊びは、360組のハマグリの殻の左右の内側に同じ絵を描いてある物を用意するところから始まります。同じ側の貝を360個伏せて並べ、出題者が、並べた貝と反対側の貝を1枚だけ、中央に伏せて置きゲームスタートです。周りを取り囲んだ姫君達が思い思いに、並べた貝の中から対の貝と思う貝を手に取ります。そして、ひとりづつ順番に中央に伏せられた貝と左右を合わせてみるのです。ぴたりと合えば正解、合わなければ失敗です。ハマグリの殻は、元の貝以外のものとは絶対に合わない事を利用して遊びに使われたのです。江戸時代には、婚礼の儀式にハマグリの吸い物を用いるよう八代将軍徳川吉宗の時代に定められましたが、これも、他の貝とは添わないようにと願いを込めての事と思われます。その風習が今日の雛祭りへと繋がっているのですね。今回は、そのハマグリをタイ風のハーブ蒸しで頂きます。香りのポイントはレモングラスとコブミカンの葉です。この2つは、なんとかフレッシュなものを準備したいところです。最近はネットで、フレッシュのレモングラスとコブミカンの葉やカー(タイの生姜)をセットにしてワンコインちょっと程度で販売しているショップもでてきました。レモングラスはインド原産のイネ科の多年草です。レモングラスの、このレモンを思わせる香りはシトラールと呼ばれる成分で、レモン自体にも当然同じ成分が含まれています。さて、このホイ オッブ タクライ ハマグリのタイハーブ蒸しにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、モデルチェンジしたばかりのヴュー パープ フランス 白でした。80年以上フランスの家庭で愛される、No.1フランスワイン(※1)です。ヴューパープは、直訳すると老法王です。キリスト教の代々の老法王のように、この世の総ての家庭に幸せを届けたい!という思いから命名されたそうです。果実味が感じられるフルーティーな風味で、程よい酸味があり、辛口で爽やかな味わいです。幅広い料理に、上手く合わせる万能性が感じられるワインです。

ハマグリに合わせるとハマグリから出てくる貝そのものの旨みが強調されます。

「貝の旨み、出汁の味わいがくっきりとします」

「貝の旨みはコハク酸だと言われています。ハマグリは特に旨みを強く感じる貝ですよね」

「ヴューパープは、ワインそのものの個性が控えめです。その分、ハマグリそのものの素材の味わいがより素直に感じられるのでしょうね」

レモングラスの爽やかさ、コブミカンのスパイシーさも真っ直ぐに伝わってきます。春に美味しいハマグリを、タイ風のアレンジで楽しんでみませんか?そしてリニューアルしたヴューパープとの素晴らしい相性をお試しくださいませ。

(※1)IRI FRANCE 2017データ フランス国内地理的表示のないワイン年間販売数量 ヴューパープブランド計

2位に選ばれたのは、ウィリアム フェーブル シャブリです。フェーブル家がぶどう栽培に携わっていた、一番古い記録は1750年代のものです。前のオーナーであるウィリアム フェーブル氏の時代に畑を買い増しし、シャブリのグランクリュにおいては最大の所有者になりました。フェーブル氏にはワインづくりを継いでくれる子供が居らず、1998年にシャンパーニュ アンリオを所有するジョゼフ アンリオ氏が経営を引き継ぎました。ジョゼフ アンリオ氏は新しい醸造長に、弱冠31歳のディディエ セギエ氏を任命しました。セギエ氏は、透明感があり、シャブリ本来の、酸のうまみのあるワインづくりをするため、いくつもの改革を断行しました。最初の改革は、機械収穫がほとんどを占めるシャブリにおいて、手摘みを徹底する事でした。それも13kgのプラスチックケースという、当時のブルゴーニュにおいてはロマネ・コンティしか使っていなかった小型の箱を使って、ぶどうが重なった重みで潰れる事がないようにしました。また、醸造場にも選果台を導入し徹底的に健全な果実にこだわりました。また、シャブリに新樽の風味は必要ないと考え、先代が多用していた新樽使用を止めました。プレス機も酸素を排除し圧搾できる最新鋭の機械を導入したり、様々な改革に取組みました。そうして、セギエ氏が理想としたピュアでクリアなシャブリづくりを達成していったのです。昨年、ついにInternational Wine Challenge(IWC)2018においてディディエ セギエ氏は「ホワイトワインメーカーオブザイヤー」を受賞しました。セギエ氏は、この2月に日本に来日し博多と旭川においてセミナーを実施し、熱い思いを語ってくれました。ハマグリのタイハーブ蒸しと合わせると、ハマグリの繊細な甘みが強調されるのを感じました。ミネラル感というか、ヨードの風味が強まり、貝を食べている悦びに満ち溢れるマリアージュでした。

2nd

ウィリアム フェーブル シャブリ 

ウィリアム フェーブル シャブリ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

3位はポルトガルのヴィーニョ ヴェルデ、ガゼラでした。ヴィーニョ ヴェルデとはポルトガル語で「緑のワイン」と言う意味で、若々しいワインを意味したものです。アルコール度数も低めで、口に含むと、すこしプチプチとした泡を感じます。ポルトガルはヨーロッパでも一番多く魚介を食べる国だといわれています。調理法は、焼く、煮る、揚げる、蒸すといったシンプルな方法がメインです。ハマグリのタイハーブ蒸しと合わせると、タイのハーブの爽やかさと、ヴィーニョ ヴェルデの爽やかさとがシンクロします。特にコブミカンの刺激感を伴った爽やかさとガゼラの緑のニュアンスとが良くマッチしていました。

3rd

ガゼラ 

ガゼラ

ポルトガル
ぶどう品種 ローレイロ、ペデルナン、トラジャドゥーラー、アザル

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